今年40歳を迎える保立沙織 初優勝を自力で勝ち取る!

2023.01.13

デビュー戦は2020年5月の小倉のルーキーシリーズで7、6、3着。

2戦目の伊東も4、6、4着。

悪い予感は的中。

レースの流れに全く乗れず焦りしかなかった。

 

本デビュー戦は7月の宇都宮。

この開催が保立にとってはキーポイントになった。

 

106期の奥井迪から声をかけてもらったそうだ。

 

「奥井さんから声をかけてもらえたのはうれしかった。

ビーチバレー時代の仲間の金田洋世が奥井さんと仲が良くて、自分に声をかけてくれたんです。

人と人のつながりを感じました。

奥井さんが『一度一緒に練習してみる』って誘ってくれた。

どういう練習をすればいいかわからない時期だったのですごく助かりました」

 

奥井の誘いで立川競輪場へ練習に行くと奥井のほかにもGⅠ・3勝のタイトルホルダー高木隆弘(64期・神奈川)、高木真備(106期・東京・引退)がいた。

 

練習は厳しかったが、保立は付いていくしかなかった。

歯を食いしばって苦しい練習に耐えた。

 

 

「デビューしてからすぐに『クビになるかも』って思ったし、練習をするしかなかった。

最初は高木隆弘さんから言われていることが全くできず苦しかった。

毎日毎日怒られていたけどやるしかなかった」

 

高木隆弘

 

苦しい練習に耐えるも、結果はすぐに出なかった。

腐りそうな気持ちを何とか打ち消し、前向きな気持ちで厳しい練習に打ち込んだ。

 

初勝利は2021年2月の奈良一般戦。

打鐘で先頭に立ち、主導権を握って逃げ切り1着。

練習の成果が実を結んだ。

 

「奈良には一緒に練習していた板根ちゃんが居て、めちゃくちゃよろこんでくれました」

 

板根茜弥

 

同年5月の弥彦では初めての決勝進出を決めた。

練習を見てくれている高木隆弘、高木真備との開催で初の決勝進出を決められたことがうれしかったと振り返る。

 

高木真備(左)と高木隆弘(右)

 

「高木隆弘さん、真備ちゃんはすごくよろこんでくれた。

弥彦は同期が多い開催で一緒に参加した同期にも祝福されたことがすごくうれしかった」

 

(左から)保立、山口拳矢、田中月菜、小笠原光、國村美留莉

 

デビュー2年目の2021年は5月弥彦以降も9月函館、10月弥彦、12月高知と4回決勝に乗ることができた。

 

「1年目は何もできなかったけど、2年目はちょっとずつ練習でやっていることができるようなってきた。

このまま頑張っていこうと気持ちが入りました」

 

3年目も1場所目のいわき平一般戦で1着、大垣で決勝進出と波に乗り始めたかと思ったが、3月の豊橋で落車。

前走者に接触、過失走行で失格してしまった。

 

「豊橋の落車は頭蓋骨の骨折でした。

体は影響があまりなく記憶がないくらい。

それよりも『また最初からやり直しか』って感じでした。

でも競輪を辞めようとは全く思わなかった」

 

5月からレースに復帰。

夏に体調を崩してしまい、順調さを欠く状況が続くが保立の気持ちは全く折れていない。

 

(左から)畠山ひすい、増茂るるこ、保立、加瀬加奈子、久米詩

 

「体調を崩して力が入らなかったり、レース中の踏み出しでちぎれたりと苦しい時期が続いたけど、練習は休まずやっていた。

キツい練習をやっているんだし、とにかく自力を出すスタイルで戦っていこうと決めたんです。

 

高木隆弘さんも真備ちゃんも1着を取ると褒めてくれるし、一生懸命教えてくれる。

厳しいことを言ってくれる人は貴重だと思うんです。

 

真備ちゃんは現役を引退したあと、フレームを譲ってくれたり、レースの組み立て方とかを細かくアドバイスしてくれる。

 

 

周りの人たちが自分のことをどうにかしようとしてくれているのに自分が諦めてしまうのはだめ。

やることをやって結果で応えていきたい。

 

成績が悪くて落ち込むことはあるけど、自力のスタイルで頑張っていきたい。

選手生活を長く続けたいし、自力を出せるうちは自力で勝負したい」

 

 

 

今年2戦目の松山1日目の予選1では最終ホームからカマシ先行で2着、2日目の予選2も2着で決勝進出を決め、少しずつ練習の成果が実を結び始めている。

 

ガールズケイリンはラインがなく、自力勝負は苦しい戦いだ。

しかし尾崎睦に奥井迪、高木真備と保立にアドバイスをくれた選手たちはみんな自力選手だ。

 

今年10月に40歳になるが、伸びしろはまだまだたっぷりある。

目標の初優勝を自力で勝ち取る。

その夢のための挑戦はまだまだ続いていく。

 

 

保立沙織 Saori Hotate

生年月日:1983年10月24日

身長:164.9cm

期別:118期

登録地:神奈川県

 

 

松本直 Suguru Matsumoto

誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ(競輪記者歴13年)

 

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