【アルペンスキー選手からガールズケイリンへ】石井貴子選手(106期)

2024.01.26

競輪学校では「この道しかない!」という思いだったので、必死でしたね。

在校中にはナショナルチームに加入させていただいて、自転車競技のど素人だった私に、コーチと(ナショナルチームに所属する)競輪のトップ選手がたくさんのことを教えてくださいました。

チームスプリントで『世界選手権』にも出場させてもらったんです。スキーでは成し遂げることができなかったけれど、自転車競技で海外のレースにチャレンジさせてもらうことができて、本当にうれしかったです。

 

ただデビュー後は、オフシーズンのないガールズケイリンと、海外遠征などがある自転車競技との両立に難しさを感じていました。

結果的に2017年頃から年間を通してガールズケイリンに注力するようになったことで、2018年から3年連続で『ガールズグランプリ』にも出場できました。

 

 

2019年の『ガールズケイリンフェスティバル』(別府)の優勝や、ファン投票で選んでもらった2020年の『ガールズドリームレース』(名古屋)での優勝はすごくうれしかったですし、私にとって特別なものでした。

 

2019年『ガールズケイリンフェスティバル』優勝時

 

 

失意を救ってくれたファン

 

 

2021年5月の『ガールズケイリンコレクション』(京王閣)で落車し、選手になってから初めて大ケガを経験しました。

体も心もボロボロでしたが、ファン投票で5位に選んでいただいて『ガールズドリームレース』(いわき平)の出走が決まった時、「這(は)ってでも行こう」と思い練習を再開。

このレースから復帰しましたが、その後は以前のような走りができず、苦しかったです。

 

昨年3月の小倉開催では2022年3月の豊橋開催以来1年ぶりに優勝できましたが、その後練習中に落車し、左鎖骨、肋骨、肩甲骨を骨折してしまって…。

この時ばかりは、「ここで辞めよう」と思いました。

心も折れて、「もう十分頑張ったでしょう?」という思いでしたね。

ずっと勝負の世界にいたけど、その緊張の糸も切れて、自分を奮い立たせるものが無くなってしまいました。

 

そんな私を再び救ってくれたのは、ファンの皆さんの後押しだったんです。

ずっとレースを走れていないのにファン投票で12位に選んでいただきました。

「『走っていいよ。走りなさい』と言ってもらっているんだ」と感じ、復帰に向けて再び自転車に乗ることができましたね。

この時、「自分の仕事にしているガールズケイリンというものが、どれほど特別でありがたいものか」しっかりと認識しました。

 

こんなにたくさんの人に応援をしてもらえて、賞金をいただける職業は他に無いですよね。

昨年の『アルテミス賞レース(西武園)を走った時には本当にたくさんの声援をいただいて、実感しました。

改めて、毎レース感謝の思いを胸に走っています。

※ファン投票で8位〜14位の選手が走ることのできるレース

 

 

ガールズケイリンの魅力

 

毎月2〜3開催と、選手は安定してレースを走ることができます。

高額な賞金をいただくことができ、生活の心配をしなくていいとても恵まれたスポーツですし、多くの方にレースを見て、楽しんでいただける喜びも大きいです。

 

成績の良い時も苦しい時も、変わらず応援してくださる方がいることに、心から感謝しています。

毎レース、自分ができる精一杯の力で頑張ることしかできませんが、これからも誠実に向き合っていきたいと思います。

 

 

石井貴子 Takako Ishii

 

1990年2月17日生まれ、岐阜県美濃加茂市出身。

身長163.1cm。

登録地は千葉県、ホームバンクは松戸競輪場。

2014年5月14日に106期としてデビュー。

 

アルペンスキーの他に好きだったことは高校卒業まで10年続けた『箏』。

「音も好きですし、楽譜をもらって初見で演奏する時が楽しかったんです。さあ、どこまで弾けるかな?と、音楽というより“脳トレ”っぽくなっていましたが(笑)。」

 

◆詳しいプロフィールと出走情報はこちら

 

<経歴>

1990年 岐阜県美濃加茂市で誕生

1992年 アルペンスキーを始める

2007年 全国高等学校選抜スキー大会・大回転で2位

2008年 早稲田大学スポーツ科学部 入学

2012年 商社に入社

2013年 競輪学校(現:日本競輪選手養成所)入学

2014年 『世界選手権自転車競技大会トラックレース2014』出場

2014年 ガールズケイリン選手としてデビュー

2015年 『ガールズケイリンコレクション2015松戸ステージ』優勝

2015年 『ガールズグランプリ』初出場

2016年 『トラックワールドカップ(オランダ)』ケイリン8位

2017年 『ガールズケイリンコレクション2017高松ステージ』優勝

2018年 『ガールズケイリンコレクション2018平塚ステージ』優勝

2019年 『ガールズケイリンフェスティバル』優勝

2020年 『ガールズケイリンコレクション2020名古屋ステージ』ガールズドリームレース優勝

※『ガールズグランプリ』は2015年(失格)、2018年(2着)、2019年(2着)、2020年(4着)の4回出場

 

 

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