アメリカへの野球留学を経験 齋藤雄行選手(神奈川県・121期)

2024.05.22

男女合わせて約2,400名いる競輪選手には、さまざまな経歴や趣味を持った選手がいます。『推すスメ!選手インタビュー』では選手個々のプロフィールを、インタビューを通してひもといていきます。

 

2022年に27歳でデビューした神奈川県・121期の齋藤雄行選手。高校卒業後はプロ野球選手を目指しアメリカの大学へ留学。その後、3年半の留学を経て帰国しモヤモヤしている時期に、テレビで見たプロ野球出身の競輪選手の特集に「これだ!」と思い、野球に終止符を打ちました。

いまは「競輪の道を選んでよかった」と感じているという齋藤選手の歩みを紹介します。

 

 

 

プロ野球選手になることを夢見て

「父が成し遂げられなかったプロ野球選手になる夢を、自分が叶えたい」と思い、中学から野球を始めました。いきなりクラブチームに入ったのですが、周りは幼少の頃から野球をやっている人ばかり。追いつくのはなかなか厳しかったですが、「みんなに追いつきたい」という一心でやっていると、徐々に野球の楽しさにハマっていきました。

もっともっと上手くなりたくて、より多くの練習ができるよう寮や室内練習場も完備されている高校に進学。高校での最高成績は西東京大会ベスト4でした。

高校卒業後はアメリカの大学からプロ野球選手を目指そうと思い、カリフォルニア州にあるコミュニティカレッジに留学しました。決め手は多くの試合に出られること。アメリカは授業後も含めて週に3日は試合があり、より多く試合に出ればプロになるチャンスも増えるんじゃないかと思い決断しました。

 

 

英語は「ジェスチャーで通じるかな」くらいの気持ちで行ったら、当たり前なんですけど、全く通じなくて(笑)。話しかけてくれても、別のチームメイトから「話しかけても何も理解できてないし、“うん”しか言わねえぞ」と言われてしまったり…。悔しい思いもしましたが、だんだんコミュニケーションも取れるようになりました。トータル3年半でアメリカでの野球留学を終えて、日本へ帰国することとなりました。

 

 

帰国後はアルバイト、就職もしながら、『TOKYO METS』というクラブチームで野球を続けていました。その一方で「プロになるのは厳しいな」という気持ちもあったんです。でも、次にやりたいこともなかったので、辞めどころが見つからず、続けているような感じでもありました。

 

 

 

青天の霹靂(へきれき)

そんな“モヤモヤ”している時に、たまたま母が松谷(秀幸)さんが特集されたテレビ番組を見ていて「雄行もやってみれば?」と勧めてくれたんです。その放送を僕も見て、元プロ野球選手だった松谷さんが27歳で競輪選手になったこと、自転車(競技)未経験からの挑戦だったことを知りました。僕にとってはまさに青天の霹靂で、「これだ!」と思いましたね。

すぐに競輪のことを調べて、競輪用の自転車を買いに行ったお店が、後に僕の師匠になってもらった東龍之介さんのお父さん(東晃さん)が経営されている自転車屋さんでした。

それがキッカケとなり、晃さんから自転車競技未経験者でも受験できる“適性試験”のことを教えてもらい、日本競輪選手養成所の受験を決意しました。

 

東晃さんにも練習を見てもらい養成所に合格

 

養成所に入ると自転車競技ですごい成績を残してきた選手がたくさんいて。劣等感や力の差を感じて、野球を始めた時と同じ感覚になりました。なので、「誰よりも多く練習する」と決めたんです。すると少しずつタイムも上がってきて、“ゴールデンキャップ”も獲得することができました。

はじめは「プロスポーツ選手になれそうだから」という理由で競輪の世界に入りましたが、いまは“自転車の世界の奥深さ”を痛感しています。

他の選手のセッティングや身体の使い方、トレーニング方法を教えてもらって、それを見て研究するのが楽しいです。競輪の道を選んでよかったと感じています。

※日本競輪選手養成所では年に3回「記録会」が実施され、以下の4種目におけるタイムを計測する(第3回記録会では3000m以外を測定)。200m・400m・1000m・3000mのそれぞれの種目に5段階の基準タイムが設定されており、最も良い基準タイムを全種目で記録すると、ゴールデンキャップ獲得となる。

 

 

まだまだ、練習で出せる力をレースで出せず、もどかしさを感じています。いざレースとなると焦ってしまったり、勝負どころで“行ききれない”ところが今の課題です。もっとレースに慣れて、“バンク”をもっと上手に使えるように勉強していきたいと思います。

7月からは、S級に上がります。『S級で優勝』、『記念(GⅢ)優勝』、そして『タイトル獲得』を目指して頑張ります!

僕の野球がそうだったように、やっていることが不完全燃焼だったり、競技に心残りがある人はたくさんいると思うんです。そういう人たちにとって、僕の競輪への挑戦が、他の何かに踏み出せるキッカケになったらいいなと思います。

 

 

齋藤雄行 Yuko Saito

 

1995年5月9日生まれ、東京都板橋区出身
身長169.4cm、体重78.4kg
登録地は神奈川県、ホームバンクは川崎競輪場

2021年 日本競輪選手養成所に入所
2022年 適性試験合格者で初めてゴールデンキャップを獲得
2022年 121期として競輪選手デビュー
2023年 A級2班に特別昇班
2024年 7月からS級に昇級

 

趣味は登山。

 

 

登っている最中はいろいろと考える時間になりますし、普段自転車ばかりに乗っているので、歩くことで得る“気付き”もあるんです。なんと言っても、気分爽快!リフレッシュになります。

 

■詳しいプロフィールと出走情報はこちら

 

    この記事が気に入ったら
    いいね! してね。

    その他の推すスメ!選手インタビュー

      おすすめの記事