「実力と成績が見合っていない」という葛藤を乗り越えて 清水裕友選手(山口県・105期)

2024.08.07

男女合わせて約2,400名いる競輪選手には、さまざまな経歴や趣味を持った選手がいます。『推すスメ!選手インタビュー』では選手個々のプロフィールを、インタビューを通してひもといていきます。

 

今回は山口県・105期の清水裕友選手にインタビューしました。

2014年にデビューし、現在S級S班。2018年『KEIRINグランプリ』に初出場。2020年には『読売新聞社杯全日本選抜競輪』で初めてGⅠ制覇を達成します。

そんな順風満帆に見える清水選手の競輪人生は「自分の実力と“残せている成績”が見合っていない」と実力以上に良い成績を残せていることに違和感があったそうです。

昨年から「やっとかみ合ってきた」と感じられるようになったと言います。そんな清水選手が今どうしても欲しいタイトルとは!?

 

 

 

自転車との出会いは小学4年生

幼い頃は体が弱くすぐに熱を出すような子どもだったので、幼稚園の年長から柔道を始めました。“自転車との出会い”は小学4年生の頃。友達に誘われて防府競輪場で行われていた『自転車教室』に参加したことがキッカケでした。

その時にロードレーサーに乗せてもらったのですが、それがすごく楽しくて「(自転車競技を)やりたい」と親にお願いしてクラブに入会。それからは自転車を週に4日、柔道を週に3日練習していました。自転車を始めてすぐに「将来は競輪選手になりたい」と考えていたので、柔道は中学2年生で辞めて、自転車に専念しました。

高校に進学して1年生の時にインターハイのケイリンで優勝し、3年生の時はアジアジュニア選手権のケイリンで2位、チームスプリントでは優勝。ジュニア世界選手権にも出場しましたが大学で自転車を続ける気持ちは全くなかったので、卒業して競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に入りました。

 

 

 

初めてのグランプリ出場

2014年にデビューして、2016年にS級に昇級できました。「慣れてきたらそこそこの成績は残せるかな〜」くらいに思っていたんですが、全然勝てなくて…。2017年の前期にはA級に落ちてしまいました。

「このままだと“面白くないな”」

その状況を変えるために、まずは練習量を増やしました。師匠の國村(洋)さんには早朝からバイク誘導をしてもらい、練習ひとつひとつに目的意識を持って取り組むようにすると、その成果が徐々にレースでも現れるようになってきて。それで“面白い”と思えるようになり、さらに練習にも身が入って、S級に復帰することができました。

 

復帰してからは本当に“勢い”に乗っていたと思います。

2018年10月の『寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント』で初めてGⅠの決勝に進出。翌11月の『防府記念(GⅢ)』では初優勝することができて、『朝日新聞社杯競輪祭(GⅠ)』では決勝3着になり、『KEIRINグランプリ』に初出場できました。

「この“勢い”が無かったらグランプリ出場はかなわなかった」と今でも思いますね。

“初めてのグランプリの景色”は鮮明に覚えています。発走機についた時、お客さんの多さと歓声に圧倒されて、感動して「ジーン」ときました。

 

2020年の『読売新聞社杯全日本選抜競輪』で初めてGⅠで優勝することができましたが、この時期くらいから自分の中で“一息ついてしまった感じ”があって。グランプリには出場できていましたが、充実はしていませんでした。

そんな状態だったこともあり、2022年はグランプリに出場できずS級S班からも4年ぶりに落ちてしまいました。ショックでしたが、「落ちるべくして落ちたな」という気持ちの方が強かったですね。

吹っ切れたような感覚もあって「すぐに返り咲いてやろう」というよりも、「しっかりと力をつけて、またあの舞台に戻りたい」と思うようになりました。

 

 

 

実力と成績のギャップ

早いもんで、今年デビュー10年目になりました。デビュー当初は、こんな立場(S級S班)になっているとは全く思っていませんでした。

振り返ってみると、初めてグランプリに出場した2018年あたりは「自分の実力と“残せている成績”が見合っていない」と感じていて苦しかったですね。それからは、少しずつ“そのギャップを埋める作業”をしてきたような感覚です。

 

昨年はトレーニングや自転車のセッティングなど、「やってきたことがかみ合ってきた」と感じられた1年で、グランプリの舞台にも1年で戻ってこられました。

今年は昨年よりもさらに良い状態で上半期を終えたので、残る3つのGⅠで優勝できるよう、毎日変わらず取り組んでいくだけです。今年は「とにかくGⅠを取りたい」という気持ちが強いんです。精いっぱい頑張ります。

 

 

清水裕友 Hiroto Shimizu

 

1994年11月9日生まれ、山口県防府市出身
身長168.8cm
登録地は山口県、ホームバンクは防府競輪場

 

2010年
高校1年:インターハイのケイリンで優勝

2012年
高校3年:アジアジュニア自転車競技大会のケイリンで2位、チームスプリントで優勝

2013年
競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に入学

2014年
105期として競輪選手デビュー

2018年
地元の防府記念『周防国府杯争奪戦(GⅢ)』を初優勝

2018年
『KEIRINグランプリ』初出場

2020年
『読売新聞社杯全日本選抜競輪』でGⅠ初優勝

2020年
『サマーナイトフェスティバル』でGⅡ初優勝

2021年
『ウィナーズカップ(GⅡ)』で優勝

2022年
『ウィナーズカップ(GⅡ)』を連覇

2023年
『周防国府杯争奪戦(GⅢ)』で6連覇達成

2023年
2年ぶり、5回目の『KEIRINグランプリ』出場

 

 

プロ野球・中日ドラゴンズのファンです。

2004年の日本シリーズ『中日vs.西武』の試合をたまたまテレビで見てから、中日を応援するようになりました。その時、なんで中日を応援したかは覚えていないんですけどね(笑)。

今年は試合を見るために名古屋のバンテリンドームへ2回行ってきました。それ以外の趣味は、愛犬と遊ぶことや、最近だとサウナに行くことも多いです。

賞金の使い道は、車ですかね〜。今はフェラーリのF8に乗っています。

 

■詳しいプロフィールと出走情報はコチラ

    この記事が気に入ったら
    いいね! してね。

    その他の推すスメ!選手インタビュー

      おすすめの記事