男として育てられた感じ “怖すぎる父”を変えた2匹の猫 山口伊吹選手(長崎・116期)

2024.12.25

男女合わせて約2,400名いる競輪選手には、さまざまな経歴や趣味を持った選手がいます。『推すスメ!選手インタビュー』では選手個々のプロフィールを、インタビューを通してひもといていきます。

 

今回は長崎県・116期、現在25歳の山口伊吹選手にインタビュー。

小学6年生から自転車競技を始めた山口選手。すでにその頃から「将来は競輪選手になろう」と考えていたそうです。父の“スパルタ指導”もあり、高校時代は『全国高校選抜大会』のケイリンで優勝。ナショナルチームにも招集され、『アジアジュニア選手権』ではチームパーシュートで準優勝という好成績を残しました。

ガールズケイリンデビュー後は、病気やケガによる不調に悩まされるも家族の支えで再起。現在は全GⅠへの出場を目指して一歩ずつ前に進んでいます。プライベートをどのように過ごしているのかにも注目です♡

 

 

2匹の猫のおかげで

私は何に対してもこだわりが無いタイプなんですが、肌に対しては丁寧にケアをしています。例えば、練習は野外が多いので日焼け止めをこまめに塗るのはもちろん、レッグカバーを履いたり、フェイスカバーをつけて顔をほとんど覆うようにしています。家では美顔器やスチーマーも使っています。

 

 

普段はラクな服装が多いですね。Tシャツとパンツのようなカジュアル系ですが、遊びに出かける時やイベントに出演する時だけ、スカートやワンピースを着ることもあります。

私の地元は田舎で買い物ができるようなお店もあまり無いので、レースで都会へ行った時に目についたものを適当に買う感じです(笑)。最近は同期の三森彩桜さんと買い物に行きました。

 

 

2022年から猫を飼い始めて今は2匹います。名前は『キセキちゃん』と『メイちゃん』といいます。父と練習した帰りに、道の真ん中でうずくまっていたのが『キセキちゃん』でした。「これは助けるしかない!」と思って、家に連れて帰りました。

普段、ウチの家族はみんな仕事や練習で家にいないので、それが寂しかったのか、家に来て1年くらい経った頃に様子が変だったんです。

スコティッシュフォールドの『メイちゃん』を飼い始めると、いつも2匹で仲良く寄り添うようになりました。

 

左『キセキちゃん』、右『メイちゃん』

 

2匹とも家族みんなでかわいがっていますが、特に父は「人が変わった!?」っていうくらい性格が丸くなりましたね。本当に『キセキちゃん』と『メイちゃん』を飼って良かったです(笑)。

 

 

 

父の怖さがヤバすぎて…

山口家は父の厳しさゆえに兄弟が強く団結しています(笑)。私は5人兄弟で“唯一の女”なので、よく周りの人たちから「可愛がられたでしょ~」と言われるんですが、そんな甘いもんじゃありません(笑)。“ひとりの男”として育てられた感じです。

 

自転車競技は兄の龍也が始めたことがキッカケになり、私も小学6年生から始めました。すごく楽しかったですし、何より大好きな兄と一緒に練習できるのがうれしかったんです。

ちょうどガールズケイリンが復活したタイミングだったので、「将来は競輪選手になろう」と考えていました。

毎朝4時から父と兄と朝練をしていて、父のバイク・兄・私と並んで山道を走るんですが、少しでも離れるとめちゃくちゃ怒られるんです…。まだ夜明け前の真っ暗な山道の怖さよりも、父の怖さがヤバすぎて「このまま山にこもったほうがきっと幸せだ…」と本気で思っていました(笑)。

 

中学からは兄の高校の自転車競技部と一緒に練習するようになりました。

高校は兄と同じ(長崎県立)鹿町工業高等学校に進学し、朝練をやってから学校へ行き、部活が終わると父がバイクで迎えに来るので、それを自転車で追って帰宅。夕食後は23時くらいまで父と練習する毎日でした。いま考えると、よくやっていたなと思います(笑)。

でも父のおかげで、高校時代は良い成績も残せましたし、競輪学校(現・日本競輪選手養成所)でも“在校1位”で卒業できたんだと思います。

 

 

デビュー戦は全く思い通りに走れず7着でした。ゴール後にはお客さんからのヤジも飛んできてすごく悔しかったです。自分の脚力のなさに「上位の選手たちとこんなにも差があるんだ」と痛感し、「何かを変えなきゃ」と思って。2年目あたりから戦い方を変えてみるようになると、少しずつ成績も上向いてきました。

3年目にコロナにかかり、復帰して調子が戻ってきた頃に落車して…。その頃から突然、「ゴハンがおいしい」と感じなくなり、体重もガクンと落ちてしまったんです。うまくいかず苦しい時期でした。

そんな時期に助けてくれたのが、いま(日本競輪選手)養成所に入っている弟の留稀哉(るきや)だったんです。「行くぞ!」と毎日、練習に連れ出してくれたので、腐らず続けることもできて、やっと調子を取り戻せてきたところです。

また優勝ができるように、そして全てのGⅠへの出場を目指して頑張りたいと思います!

 

 

女性がスポーツで稼ぐことができて、プライベートに充てる時間も取りやすいガールズケイリン選手になって良かったです。

最近はガールズケイリンに“ママさんレーサー”も増えてきました。出産後に復帰して頑張っている選手を見ると、「ライフステージが変わっても続けていける職業なんだ」と自分の将来を考えた時の励みになります。

 

ファンのみなさん、いつも温かい声援をいただき本当にありがとうございます。競輪はお客さんとの距離が近く、金網越しに直接風を感じられて楽しいので、ぜひ現地でレースを観戦してみてくださいね!

 

 

山口伊吹 Ibuki Yamaguchi

 

1999年8月24日生まれ、長崎県松浦市出身

身長161.2cm

登録地は長崎県、ホームバンクは佐世保競輪場

 

2017年 アジアジュニア自転車競技選手権大会 チームパーシュート2位

2017年 全国高等学校選抜自転車競技大会 ケイリン1位

2018年 競輪学校に入学

2019年 116期としてデビュー

 

■詳しいプロフィールと出走情報はコチラ

 

    この記事が気に入ったら
    いいね! してね。

    その他の推すスメ!選手インタビュー

      おすすめの記事