スポーツの裏方の仕事から“表舞台”へ転身 オールドルーキー 千葉捺美選手(群馬・128期)

2025.09.10

男女合わせて約2,400名いる競輪選手には、さまざまな経歴や趣味を持った選手がいます。『推すスメ!選手インタビュー』では選手個々のプロフィールを、インタビューを通してひもといていきます。

 

今回は群馬県・128期、現在30歳の千葉捺美選手にインタビューしました。

小学3年生の頃からスピードスケートに没頭し、全国中学校スケート大会の女子500メートルで優勝。大学卒業後は群馬県スポーツ協会で働きながら競技を続け、2020年の国民体育大会(現・国民スポーツ大会)では1000メートルで2位入賞を果たしました。

膝のケガをキッカケにスピードスケートを断念。運動のため自転車に乗り始めると、その楽しさに魅了されてガールズケイリン挑戦を決意しました。

今年5月に30歳でプロデビューし、わずか3カ月で初優勝を達成!『ガールズグランプリ』優勝を目指し、駆け上がっていくことが期待されています。

気さくで飾らない人柄の千葉選手。これまでの歩みやプライベートについても聞いてみました。

 

 

 

買ったモノは大切にするタイプ

日曜日が1日オフで、目覚ましをかけないで寝られることが最近の一番の幸せです。オフは友だちと約束があればゴハンを食べに行ったり、ショッピングモールに行ったりしています。

体を動かすことも好きなので、スキーやSUP(サップ)にも挑戦しています!

 

 

私はコメが大好きなので、外食では定食屋さんに行くことが多いですね。前橋だと『割烹桃乃木』がオススメです!高崎はパスタが有名で『スパゲティー専科はらっぱ』も美味しいですよ。

『ほろよい』でガチ酔いしちゃうくらいお酒が飲めないので(笑)、友達と食べて喋って、リフレッシュしています。

 

 

モノを大切にするほうで、何かを買ったら長く使い続けています。

中でも大事にしているのは、7年前に初めて自分で買った車の『エクストレイル』です。もともと父が買ってくれた『ハスラー』に乗っていたのですが、スケートの遠征時に荷物をたくさん載せられる車に乗り換えました。自転車を乗せるようになった今でも役立っています!

走行距離が10万キロを超えたので、そろそろ買い替え時かなと思っているんです。こだわりはありませんが、SUVを狙っています。頑張って稼がないとですね!

 

 

 

努力が結果に現れる世界

スケートを始めたキッカケは、小学2年生から通い始めたスポーツクラブで、夏はローラースケート、冬はスピードスケートができたことでした。

スピードスケートは1回大会に出ただけで、「滑るのが遅いし、寒いからヤダ」と言って、それ以上はやらなかったんです(笑)。

でも、翌年にはローラースケートが上達して速く滑れるようになってきたので、コーチからもう一度声をかけられて。だまされたと思いながらもう一度スケートリンクに行ってみると、速く滑れるしスピード感が楽しくてどハマりしました。

中学からは前橋のスピードスケートクラブに入り、伊勢崎の家から練習地の伊香保リンクまで1時間半ほどの距離を母が送り迎えしてくれていました。

今思えば本当に大変だったと思います。感謝しかないですね。

 

中学3年生の時には全国大会で優勝できました。(オリンピック金メダリストの)髙木美帆とは同学年で、よく同じレースを走っていたんですよ。

「将来はオリンピックに出たい」と夢見る一方で、現実的にはスケートだけで食べていくのは難しいだろうと思っていて。スケートをしながら何か資格を取れたらいいなと思い、高崎健康福祉大学に進学しました。

 

 

大学卒業後は就職するつもりでしたが、スケートへの思いも断ち切れなかったんです。それしかやってこなかったから、変にしがみついていた部分もあったと思います。

就職活動の時、お世話になっていたコーチから「群馬県スポーツ協会の新卒採用の募集が出るぞ」と教えてもらい、内定をいただけました。

スケートを続けることはあくまで“自分の都合”なので、フルタイムで働いた後に練習して、合宿には仕事を終わらせた上で参加するなどして、7年間勤めていました。

 

スポーツ協会では、国体(国スポ)前の関東ブロック予選に選手を派遣したり、群馬県の強化指定選手の医・科学サポートやスポーツ少年団に携わったり。選手を支える仕事をしていました。

この仕事を通じて、たくさんの人の支えがあって競技ができていることも痛いほど分かったので、スケートも、競輪に対しても生半可な気持ちでは臨めないなと思います。

 

当時の目標は『全日本スピードスケート距離別選手権大会』への出場でしたが参加資格を得られず、さらに膝にケガをしてスケートを続けられなくなってしまいました。

その時は、ユニフォームも靴も“全部視界に入らないように封印”して、「もう二度とスケートなんか見たくない」という気持ちでしたね。

 

 

ケガをしても体は動かしたかったので、職場で知り合った自転車競技に携わっている方に「人生1回でいいからバンクを走ってみたい!」とお願いして、前橋競輪場へ連れて行ってもらったんです。

実際に乗ってみるとすごく楽しくて、仕事後には前橋競輪場で高校の自転車競技部の練習に混ぜてもらうようになりました。

 

競輪場で顔を合わせていた選手の方から「ガールズケイリンをやってみないか?」と声をかけてもらったんです。

前職は主に事務仕事。どれだけ頑張っても光は当たらないですし、対価(給与)も変わらないことに悶々としていた気持ちもあって。努力が結果に現れる世界に魅力を感じて、挑戦を決意しました。

 

(日本競輪選手)養成所の受験は一度だけと決めて受けた126期生の試験に合格しましたが、合格直前の練習中にケガをしてしまったので1年後に入所させていただくことになり、128期としてデビューしました。

 

 

デビュー後は、想像よりも戦えているのかなと思います。

8月に弥彦で初優勝できた時は、ビックリしました!一つ結果として残せたので良かったです。

 

スピードスケート出身で以前から交流のあった梅川(風子)さんが目標なのですが、同じレースを走った時、梅川さんの駆け方の上手さや捲ってくるスピードがすごくて、悔しかったです。

自転車競技のナショナルチームで世界を相手に戦い、ガールズケイリンでもトップクラスの梅川さんの存在は「私にもチャンスがあるのかな」と希望になっています。

 

まずは目先の課題を一つ一つクリアして、最終的には『ガールズグランプリ』で優勝することを目指しています。

脚力に自信をつけて、自分で動いてレースを組み立てられるようになり、上位の選手との差を縮めていきたいです。

ファンの方々に「いつも千葉は決勝に乗っているな、確定板にいるな」と思われる選手になれるように、精一杯頑張ります!

 

 

千葉捺美選手のプライベートQ&A

Q:好きな色

A:赤。スケート時代のユニフォームも、車も赤です。

 

 

Q:最近ハマっていること

A:アニメの『薬屋のひとりごと』。

ガチャを月に1回、4〜5種類回すことも楽しみの一つです(笑)。食べ物シリーズが好きです!

 

 

Q:仲の良い選手

A:養成所でよく一緒に行動していたのは大阪の石田春海

最近は、和歌山から地元の群馬に戻ってきている南彩乃ちゃん(112期)と一緒に練習しています。

 

Q:地元のおすすめスポット

A:温泉!伊香保温泉も、草津温泉も大好きです。

伊香保温泉は前の職場で働いていた頃、忘年会など会社の行事も兼ねて同僚たちとよく行っていたんです。

石段街を登ると行き当たる伊香保神社の少し下にある『勝月堂』の温泉まんじゅうがすごく美味しいんですよ。

 

Q:行ってみたい場所

A:スピードスケートが強いオランダ。ワールドカップや世界選手権が行われる『ヘレンベーン』という有名な競技場を見に行ってみたいです。

自分が一度行ってみたかった舞台はどんな場所なのか、雰囲気を感じてみたいなって思います。

 

Q:座右の銘

A:やらぬ後悔よりやる後悔。

まさにこの思いで、ガールズケイリンに挑戦しました。

 

 

千葉捺美 Natsumi Chiba

 

1995年2月28日生まれ、群馬県前橋市出身

身長161.0cm、登録地は群馬県

 

2010年 全国中学校スケート大会 500メートル優勝

2011年 国体 少年女子2000メートルリレー優勝

2014年 高崎健康福祉大学に入学

2018年 群馬県スポーツ協会に就職

2020年 国体 1000メートル2位

2025年 128期としてデビュー

2025年 8月の弥彦開催で初優勝

 

■詳しいプロフィールと出走情報はコチラ

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