日刊スポーツ「Girl’s Collection 2019」 坂口聖香選手編
2019.11.20
※この記事は2019年10月30日付けの日刊スポーツに掲載されたコラム「Girl’s Collection(ガールズコレクション)2019」です。
坂口聖香がレースを好きなワケ
ガールズケイリン注目選手を紹介する「Girl’s Collection(ガールズコレクション)2019」。
今回は今年7月にデビューした116期の坂口聖香(23=京都)をクローズアップ。
先に輪界へ飛び込んだ実妹の楓華(22)を追うようにガールズケイリンの選手になった。
その決意、そして「レースが好き」という素顔に迫った。
京都向日町競輪バンク内で笑顔を見せる坂口聖香(撮影・奥田泰也)
夏はロード 冬はシクロクロス 世界駆けた自転車娘
「補助輪付けてもコケていた」
兄、妹と3人きょうだいで育った坂口が、初めて本格的なロードの自転車に触れたのは小学5年生の時。
それ以前にも自転車には乗っていたが、本人いわく「補助輪を付けてもコケていた」という程度だった。
坂口 父(雅彦さん=47)は以前、自転車競技をやっていたけど、諸事情で競技をやめなければならなかった。
その父が通勤などでまたロードバイクに乗り始めたことがきっかけでした。
妹(楓華=112期)が始めたのも小3で同じ時期でした。
当初はロードバイクでも信号で止まったときに何回か転倒したというが、徐々に才能が開花していく。
坂口 最初は地域のレースに出ていたくらい。
中学の時に全国大会へ出場し始め、トップクラスになったのは高校生の時でした。
そのころから父の厳しい指導が始まる。
坂口 学校から帰ってくると、すぐに着替えて夜9時すぎまで練習するのが日課。
父も厳しくて、内容もガッツリでしたね。
ロードレースからスタートし、中学1年からシクロクロスにもチャレンジした。
年間スケジュールは10月ごろまでロードで、オフシーズン(冬季)がシクロクロス。
妹も一緒に競技を続けていた。
坂口 最初は何かよく分からなかったけど、やってみたら面白かった。
私が1年半だけ日体大にいた時があり、妹と離れて生活しました。
その時、妹はケイリンなどのトラック競技に転向して、競輪学校(現:日本競輪選手養成所)に入りました。
私はロードやシクロクロスを一生懸命やってましたね。
14年にユース五輪のロードタイムトライアルで1位。
シクロクロスでは15、16年に全日本選手権を連覇。
順風満帆に思えた21歳の時に転機が訪れる。
坂口 海外のチームと契約が決まっていたのですが、シクロクロスの世界選で落車。
けがのため契約が水の泡になりました。
それまでも実業団(パナソニック)で活動していましたが、給料が出ているわけではなく、両親への負担をより感じるようになりました。
時を同じくして、妹楓華がガールズケイリン112期としてデビューした。
坂口 最初、ケイリンは「絶対やらない」と思っていた。
妹が始めたのに驚いたくらい。
でも、自分がけがで下を向いている時に、妹が前を向いていたのを見て考えました。
収入は必要だし、そのために自分ができることは何だろうと…。
在校5位「自分の足を生かせる場所がある」 頭脳戦楽しめるように
目標は2年“先輩”実妹の楓華
妹に遅れること2年、坂口は116期生としてガールズケイリンの道を選ぶ。
坂口 学校では長距離は得意だったけど、短距離では同期との差を必死で埋める感じ。
自主練習もやったし最初は苦労しました。
しかし実戦的な競走訓練が始まると徐々に頭角を現してきた。
坂口 同期21人の中の比較ですが「自分はレースが得意なのかな」と思って。
タイム自体は決していい方ではなくても「そんな自分の足を生かせる場所がある」と思うと楽しかったです。
116期の在校順位5位という優秀な成績で無事卒業。
今年7月に奈良でデビュー戦を迎えたが、結果は4、7、5着。
1度も車券に絡めず終わった。
坂口 初戦で自分の考えの甘さを実感しました。
デビュー前に準備をしたつもりだったけど、レース経験も違う。
すぐ勝てるような世界ではなかったです。
それでも、徐々に実戦慣れし、1つ1つ課題をクリアできるようになった。
坂口 ここまで8節参戦。
レースを多く見て視野が広がり、いろいろ考えてレースが組み立てられるようになった。
必要以上に緊張しなくなり、レースを楽しめるようになりました。
自転車を持ち上げ笑顔を見せる坂口聖香(撮影・奥田泰也)
障害物や階段、急な坂などがある2〜4kmほどの未舗装道路(オフロード)を、決められた時間内に何周できるかを競う。
自転車を担いで走ったり、ピット作業も可能で、夏場に行われるロードレースのオフシーズンに開催され欧州で人気が高い。
日本では86年に長野で第1回全日本選手権を開催。
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