KEIRIN報知 10月号
2019.10.28
※この記事は2019年10月23日付けのスポーツ報知に掲載されたコラム「KEIRIN報知」です。
「ホワイトガールズプロジェクト」で奮闘中
北の大地からガールズケイリンレーサーへ。
北海道・函館競輪場の「ホワイトガールズプロジェクト」(WGP)4期生の蛯原杏奈さん(20)と堀田萌那さん(19)が、日本競輪選手養成所第120期生(女子10期生)を受験。
WGPからはすでに3人がプロとして活躍している。
切磋琢磨(せっさたくま)しながら汗を流す蛯原さんと堀田さんを追った。
OBのバイク誘導でバンク練習を行う蛯原さん(右から2人目)と堀田さん
2人で切磋琢磨!!
1次試験終了
短い夏が終わり、すっかり秋の函館競輪場。
必死にペダルを漕ぐ蛯原さんと堀田さん。海からの風が火照った体に心地いい。
1周400メートルのバンクを、100周。
40キロの周回練習を終えると、50~100メートルの距離を何度となく、もがく(全力疾走)。
1本走り終えれば、バンクに倒れ、起き上がることも困難だ。
それだけ、1本1本に集中している。
青森・柴田女子高時代は、高速系のアルペンスキーの選手として名を売った蛯原さん。
昨年も受験したが、1次試験でタイムが伸びず不合格。
ただ、これには理由があった。
一昨年の12月28日、スキーの合宿中に転倒。
「左膝前十字靱帯(じんたい)断裂」の大けがを負ってしまった。
競輪養成所の試験は9月。
とてもじゃないが、間に合わない。
それでも苦しいリハビリを乗り越え、受験まではたどり着いた。
「自転車に乗って本格的な練習ができたのは、2カ月くらいだけ」。
ポテンシャルは高くても、合格できるほど甘い世界ではなかった。
あれから1年、蛯原さんは諦めなかった。
競輪に対する想いは強くなった。
「昨年は自転車を組み立てることもできなかったけど、今はちゃんとできます」。
どうすれば強くなれるか? 基本的なことも含め、考えて行動できるようになった。
何より「1年前は私一人だけだったけど、今年は堀田さんがいる。一人だと自分の成長が分からないけど、堀田さんがいるから比較できるようになったんです」。
仲間がいることによって、精神面も楽になった。
9月29日の1次試験も「やりきった感はあります」と手応えはつかんでいる。
「弱虫ペダル」
自転車経験のない蛯原さんに比べ、堀田さんは北海道科学大学高から自転車部。
高3の時にはインターハイのポイントレースに出場のキャリアを持つ。
しかし中学まではスポーツ歴はなし。
「アニメが好きで、たまたま中3の夏に“弱虫ペダル”という自転車のDVDを見て、取りつかれました(笑)。直後の誕生日にロードバイクを買ってもらって」。
札幌市内で自転車部がある高校を調べて、進学した。
高1の時、このプロジェクトを知り、年に数回札幌から函館に足を運んだ。
そしてこの4月から函館市内で一人暮らし。
「楽しい反面、買い物やご飯作りが大変。でも好きなことをやっているんだから、大変なんて言っていられません。得意料理はそぼろと卵の2色丼」とのこと。
両親からは「若いうちにしかできないことだから、やりなさい」と背中を押された。
1次試験も「力を出し切れたと思います」と振り返った。
練習は函館の競輪選手会が全面的に支援。
もがきに関してもただ、本数をこなすのではなく質を重視。
1日最大でも5本と決めている。
そして今年は、WGP2期生の伊藤のぞみ(32)=ガールズ116期生=の存在が大きい。
伊藤がほぼ毎日のように、彼女らと練習を行っている。
女性目線からのアドバイスは、2人にとって何よりのものになっている。
1次試験の結果は11月6日。
合格すれば27日に2次試験が行われ、最終的な合否は、来年1月16日。
夢を追い続ける2人の笑顔が見たい。
(永井順一郎)
◆ 日本競輪選手養成所の試験科目
☆1次試験※技能
〈1〉500メートルのタイム
〈2〉400メートルの助走後における200メートルのタイム
☆2次試験
〈1〉身体検査
〈2〉口頭試問、適正検査、作文など
プロフィール
函館競輪場でガッツポーズを決める蛯原さん(左)と堀田さん(右)
蛯原杏奈(えびはら・あんな)
1999年8月7日、北海道・幕別町生まれ、20歳。
高校は青森・柴田女高にスキー留学。
155cm、56kg。血液型O。
堀田萌那(ほった・もえな)
2000年8月21日、札幌市生まれ、19歳。
北海道科学大学高卒。高校時代から自転車部に所属。
明るく前を向くポジティブガール。
153cm、53kg。血液型A。
大好きペット
堀田さんのペットは、爬虫(はちゅう)類の中でも人気が高いレオパードゲッコー。
「最初はいとこが2匹飼っていて、生まれた1匹をもらったんです。特に爬虫類好きとかじゃないんですが、動きとかがチョーかわいくて。慣れてくると手のひらにも乗ってくるんです」。
あまりのかわいさに2匹を買い足し、現在は3匹。
えさは冷凍されたコオロギ。
練習の疲れを癒やし、明日への活力になっているようだ。
レオパードゲッコーを見つめる堀田さん。何とも言えない表情です
蛯原さんは7歳になる雄のトイプードル。
「めっちゃかわいいです。散歩とかシャワーに入れてあげるのがほんと、楽しいです。私がしつこすぎるくらいしつこくしちゃいます(笑い)」。
ハードな練習もペットの顔を見れば疲れも吹き飛ぶ。
ハードな練習もこのかわいさを見れば疲れも吹き飛ぶ。愛犬の散歩がリラックスタイムの蛯原さん
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