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デイリースポーツ「KEIRIN屋」平昌五輪モーグル銅メダリスト原大智 15日広島競輪でデビュー

2020.05.16

※この記事は、2020年5月13日付けのデイリースポーツ「KEIRIN屋」に掲載されたものです

 

 

 

平昌五輪モーグル銅メダリスト原大智 15日広島競輪でデビュー

退所危機も!!苦しかった養成所… 頂点へ妥協なし

今回のKEIRIN屋は、15日の広島競輪「ルーキーシリーズ2020」で競輪選手デビューを果たす、2018年平昌五輪フリースタイルスキー・男子モーグル銅メダリストの原大智(23)=宮城・117期・A3=を特集する。3月に特別選抜入学試験で入所した日本競輪選手養成所を卒業。モーグルと競輪の〝二刀流〟に挑む原に、訓練生時代の苦労や今後の抱負などを聞いた。

 


平昌五輪モーグル銅メダリストで競輪選手として15日にデビューする原大智

 

渋谷生まれ都会っ子

五輪で銅メダルを獲得した原だが、特別選抜試験で合格した日本競輪選手養成所ではつらい日々を送った。
自分で選んだ道でも「モーグルで経験したことのないほどのキツさでした」と、競輪選手としての練習はハードだったと振り返る。
それだけではない。
「自由がないですからね。縛られる生活もつらかったです」。
分単位で行動する養成所での生活にも苦労したようだ。

 

東京都渋谷区生まれの都会っ子。
モーグルは小学6年生から本格的に始めた。
ワールドカップでの表彰台経験もなかったが、初めての五輪出場となった18年の平昌で見事に銅メダルを獲得。
「これが初めての表彰台です」。
人並み外れた勝負強さを見せて、フリースタイルスキーでは日本人男子初のメダリストとなった。

 

そんな原が日本競輪選手養成所ではもだえ苦しんだ。
どんなに頑張ってもタイムが出ない。
入所直後の19年5月に行われた第1回記録会では72人中、400メートルで最下位と低迷。
9月に実施された第2回記録会では1000メートルで規定タイムをクリアできず、退所の危機に陥ったが、同月下旬に行われた追試で何とかクリアした。

 

「1回目の記録会はあり得ない成績で、かなり悔しい思いをしました。とにかくもっと力をつけないと…と考えましたね」。
五輪メダリストとして注目される中、なかなかタイムを出せないことに苦悩していた。
だが、追試で退所の危機を回避できたことで、ひと回り成長できた。
今年2月に行われた実技の卒業認定考査にも合格。
70人中、200メートルで55位、1000メートルで60位だったが、基準タイムをクリアできた。
「肩の荷が下りましたね。最低限の力は備わってきたかなと思います」とホッとした表情を見せていた。

 

卒記レースでは成長した姿

3月の卒業記念レースでは、さらに成長した姿を見せた。決勝進出はならなかったが、予選は2走とも4着。立ち遅れることなくレースを運び、直線では前団に迫る走りを披露した。「自力を出せなかったことに悔いが残ります。結果としては悪くないが、脚力のなさにふがいなさを感じました」と反省点を挙げるが、デビューに向けては手応えのある動きができた。

 


卒業記念レース(3月23日)予選2走目、直線で犬塚貴之(2)を抜きにかかる原大智(1)

 

〝二刀流〟は「22年北京で終わりに」

今後の目標は「やるからには一番上を目指します。そこに妥協はありません」とキッパリ。
〝二刀流〟に関しては「北京(22年)で終わりにしようと思っています」と明かす。
さらに「競輪がおろそかになってしまうようなら、モーグルを諦めます」と付け加えた。
競輪、モーグルとも極めるために努力を惜しまない原。
その成果を、まずは15日に広島で披露する。

(森田新吾)

 

 

原大智(はら・だいち)


日本競輪選手養成所の卒業式を終えた直後

1997年3月4日生まれ、23歳。東京都渋谷区出身。カナダのウィスラーセカンダリースクール卒。
172センチ、80キロ。
小学6年生でモーグルを始め、2018年2月に平昌五輪で銅メダルを獲得。
19年4月に日本競輪学校(当時)の特別選抜試験に合格。同年5月に日本競輪選手養成所の117期生として入学した。
在所時は61走で4勝、2着5回、3着6回で45位(早期卒業者の2人を除く)。
師匠はS級選手の和田圭(92期)。

 

 

◆ ルーキーシリーズ2020

3月に日本競輪選手養成所を卒業した新人選手同士が対戦。
養成所で一年間鍛え上げた脚力に加えて、顔と名前をいち早く知ってもらうことを目的にして昨年12月に新設。
5月15~17日(広島)、29~31日(小倉ナイター)、6月12~14日(伊東)の3開催で実施される。
なお、早期卒業者は出場しない。

 

 

転身組の成功者・武田からエール

14年にGP制覇「これから勝負」

他競技からの転身で最も成功したのは武田豊樹(46)=茨城・88期・S1=だ。スピードスケートで02年ソルトレークシティー五輪に出場後、原と同じく特別選抜試験に合格して03年に競輪選手となり、14年には優勝賞金1億円の競輪界最高峰レース・KEIRINグランプリを制した。

 


スピードスケートから転身して競輪界の頂点に立った武田豊樹(左)=2014年12月30日

 

武田に原の印象を聞くと「宮城で夏合宿をした時にあいさつをしてくれた。そういう選手が増えるのはうれしい」と歓迎しながらも「別の競技で一流になった選手にとって今は歯がゆいと思う。モーグルと競輪は全然違うからね」と気遣った。

〝二刀流〟については「自分も最初はやろうと思ったけど、できなかった。中途半端にならないようにどちらの世界でも頑張ってほしい」とエールを送り、「これからが勝負。チャンスがあれば連係したい」と競輪場での再会を心待ちにしていた。

 

 

◆ 特別選抜試験での日本競輪選手養成所入所者

名前 登録 選抜理由 現級
86 植松仁 岐阜 88年長野五輪ショートトラック男子500メートル銅メダル 引退
88 武田豊樹 茨城 02年ソルトレークシティー五輪スピードスケート500メートル8位入賞 S1
88 大森慶一 北海道 世界自転車競技センターにおける訓練受講 S1
88 永井清史 岐阜 世界自転車競技センターにおける訓練受講 S1
90 北津留翼 福岡 世界自転車競技センターにおける訓練受講 S1
91 柴崎淳 三重 世界自転車競技センターにおける訓練受講 S1
92 牛山貴広 茨城 05年世界オールラウンドスピードスケート選手権男子500メートル優勝 S2
117 原大智 宮城 18年平昌五輪フリースタイル競技モーグル銅メダル A3

※119期で窪木一茂(リオデジャネイロ五輪トラック・オムニアム14位)が入所予定

 

 

記者のポケットメモ

23歳、一切の迷いなし

取材中の原に一切の迷いを感じることがなかった。
小さな目標を掲げることをせず、常に前を向いている。
その理由を聞くと「1%でも可能性があれば、しがみつきたいんですよ。それが原大智なんで」と真っすぐな目で語りかける。

「自分の人生は苦労しかないんです。一回もうまく事が進んだと思っていません。いろいろ乗り越えるだけです」。
日本競輪選手養成所での45位という成績は、原にとって屈辱でしかない。
まだ23歳。
世界で活躍した原なら、デビューしてからでも、パワーとスピードをつけることは可能。
同期で早期卒業を果たした寺崎浩平(福井)は既にS級で優勝を挙げている。
焦りはあるだろうが、じっくりと鍛えて、競輪でもトップとして活躍することを願っている。

(関西競輪担当・森田新吾)

 

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