デイリースポーツ「KEIRIN屋」脇本雄太特集

2021.10.03

※この記事は、2021年10月1日付けのデイリースポーツ「KEIRIN屋」に掲載されたものです

 

 

 

デイリースポーツ「KEIRIN屋」

脇本雄太「GⅠ獲ってグランプリへ」

東京五輪ケイリン無念敗退も、今度は競輪で金だ!

 

 

今回のKEIRIN屋は自転車競技(トラック)で日本代表として東京五輪に出場した脇本雄太(32)=福井・94期・SS=に焦点を当てた。

 

悲願の金メダルに届かなかった五輪を終えて、8月のGⅠ・オールスター(平)から競輪選手として本格的に再始動。

 

五輪で世界一は果たせなかったが、これからは競輪界の頂点、最強レーサーへの道を突き進む。

 

(取材、構成=貞 友之)

 

 

 

全てを懸けた東京五輪。

自転車競技トラック種目スプリント、ケイリンで日本代表として戦った脇本は肉体的にも精神的にも万全の状態で臨んだケイリンで準決勝まで進出。

 

その準決勝では好位置に付けたが、内をすくってきた選手(結果的にこの選手は失格)により、不運な形で敗退。

金メダルへの道は閉ざされた。

 

 

東京五輪で自転車競技は一区切り。

競輪選手として激闘の翌日にはGⅠ・オールスターの前検で福島県のいわき平競輪場にいた。

 

五輪までに追い込み続けた肉体と夢破れた喪失感、そして中0日の強行日程で「魔物というか、五輪では万全な状態でも勝てないということ。負けたけど、後悔するレースが一つもなかったので、涙も出なかった」と気丈に語り、競輪選手としての再スタートを切った。

 

 

自転車競技のケイリンと公営レースの競輪は同じように見えるかもしれないが、最大の違いは1人で戦うケイリンに対して、競輪は主に同地区の選手とラインを形成して戦うチーム戦。

自分だけが勝利を目指すケイリンと、ラインで結束して自分と味方のために走るのが競輪だ。

 

先頭の選手は風を受けながらも味方を引っ張り、後ろの選手は他の選手の反撃をブロックするのが主な役目。

競輪では自分だけが圧勝してもラインを組んだ選手が大敗すれば、手放しでは喜べない世界だ。

 

 

満身創痍(そうい)で臨んだオールスターの決勝では脇本の後ろを固めた古性優作が優勝して自身は準優勝。

 

「今まで近畿の仲間の優勝を幾度となく見てきたが、やっぱりラインの中から優勝者が出るのはいい。日本の競輪はこういった感動があるからやめられない」と競輪の魅力を改めてかみしめていた。

 

オールスターの後はGⅢ・向日町記念を完全優勝。

GⅡ・共同通信社杯(岐阜)は欠場したが、今年後半の目標は年末の大一番「KEIRINグランプリ」(12月30日・静岡)だ。

 

「GⅠを獲ってグランプリに行きたい。(今年は古性がGP出場権利を獲得して)既に近畿の味方がいるのはうれしい」。

 

 

東京五輪では金メダルに届かなかったが、世界基準の脚力を身につけたことは証明した。

 

誰よりもラインの大事さを理解している男が近畿の仲間をけん引して競輪界の〝金メダル〟を目指す。

 

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