【デイリースポーツ・KEIRIN屋】GⅠ高松宮記念杯へ ビッグ対談実現!古性優作×阪神タイガース元エース・井川慶氏

2023.06.07

今回のKEIRIN屋はビッグな2人が登場。

昨年、地元の岸和田競輪場で行われたGⅠ・高松宮記念杯を制覇して、今年は連覇に挑む古性優作(32)=大阪・100期・SS=と今年から本紙野球評論家として健筆をふるう阪神タイガースの元エース・井川慶氏の対談が実現。

井川氏が連覇への意気込みを始め、オフシーズンのない競輪選手の取り組み方などを直撃した。

※取材は5月31日に行われました。

(取材、構成=貞 友之)

 

対談する井川慶氏と古性優作(右)

 

井川慶氏「地元の岸和田でGⅠレースを控えているんですね」

 

古性優作「気合を入れても一緒。若い時は気負って失敗してきたので。去年はリラックスして優勝できたので、今年もいつも通り。なるようにしかならないと思っています」

 

井川「野球も平常心。プランを組んで、それをやるだけ。地元を走るというのはどうですか」

 

古性「正直、(岸和田は)得意なバンクじゃないんですよ。緊張してしまうし。でも、意外と優勝はしているし、結果は出てるんです」

 

井川「今年は連覇も懸かってますね」

 

古性「僕はいつも通りですけど、(施行者など)お偉いさんとかの方がプレッシャーがあるんじゃないですか(笑)。今回のような企画も以前まではなかったので。期待してもらっているのかなと思います」

 

井川「タイトル連覇って相当難しい。マークも激しいし、プレッシャーもある」

 

古性「今年は開催日数が(昨年までの4日間から)6日間になって長いけど、僕は頑張るだけです」

 

昨年の大会を制して表彰式で笑顔の古性優作(左)とプレゼンターの長谷川穂積氏

 

井川「ヤジの熱量は甲子園と違いそうですね。競輪はお金がかかっているし」

 

古性「岸和田は多いですよ(笑)。レースを走る前からです」

 

古性「井川さんが投げているのはテレビで見たことがあります。甲子園は昔に1回だけ行ったことがあって、めちゃくちゃ楽しかった記憶があります。一塁側で見たんですけど、阪神の選手で外国人がホームランを打っていて…。ハートスキーみたいな名前の選手がいませんでしたか」

 

井川「ハートキー!ハートキーはマニアックですよ。僕は競輪はまだ映像だけで生で見たことはないんです。タイガースからは伊代野(貴照)、萱島(大介)が競輪選手になっていますね」

 

古性「この企画、伊代野さんの方が良かったんじゃないですか(笑)。伊代野さんは近畿の選手(奈良支部所属)でラインを組むことがある。近畿の仲間なので話をすることはありますよ」

 

井川「競輪はラインでチーム戦みたいに走ってますよね。あれ、エグいですね。他の選手にぶつかりに行ったり。仲間とのコミュニーケーションも大変そう。個の集合体が野球なので、そこが違いますね」

 

古性「仲間、信頼関係の問題もあります。競輪はミスが多いですよ。ミスが自分だけではなく仲間の収入、着順に大きく関わってきます」

 

井川 「ブロックなんかはやり過ぎると失格になってしまいますが、ペナルティーなどは」

 

古性「やり過ぎると3カ月後に1カ月間あっせんが止まったり、ひどいと3カ月、4カ月レースに出られない。競輪選手は固定給がないので。収入がなくなってしまう」

 

井川「やり過ぎてもマイナスになってしまう」

 

古性「信頼関係が厚すぎて、やり過ぎてしまう選手もいます。簡単に相手にやられちゃうと、なめられてしまうので」

 

井川「(3日に甲子園で)始球式を務められますが、野球の経験はあるんですか」

 

古性「全くないです。トレーニングでラグビーをやっていたくらい。話をいただいた時には断ろうかと…。僕が投げても誰ってなるし。それでも、いろんな方に『投げられる機会なんてないから』と言われたし、やろうかなと」

 

始球式で投球する古性優作(撮影・高部洋祐)

 

井川「競輪選手はオフシーズンがないですよね。どこで体作りをするんですか」

 

古性「大きな大会があるので、そこに合わせて」

 

井川「大変ですよね。野球選手は2カ月くらい休んでいる」

 

古性「でもトレーニングはしますよね」

 

井川「今の選手は、ですね。昔の選手はゴルフ行って飲んで、ゴルフ行って飲んで。僕はそれをせずにトレーニングをしたので変わり者ってことに。練習したら変わり者(笑)」

 

古性「シーズンに入ってから追い込むことはないんですか」

 

井川「ないですね。シーズンに入るとあとは結果。調整するだけ」

 

古性「自分は疲労困憊(こんぱい)でレースを走る時もある。そうしないと脚力は上がっていかないので。その中でも結果を残せるようにしています」

 

井川「予想するにはラインや状態とかも気になります。今度は6日間もレースがありますね」

 

古性「6日間は長いですけど、自分の過ごし方はできているので。正直、家よりも眠れるので。しっかり頑張りたいです」

 

 

古性優作略歴

古性優作(こしょう・ゆうさく)

1991年2月22日生まれ、32歳。

大阪市出身、清風高卒。

168センチ、77キロ。

日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)100期生として、2011年7月に岸和田でデビュー。

主なタイトルはGⅠ・オールスター(21年平)、KEIRINグランプリ2021(静岡)、GⅠ・全日本選抜(22年取手、23年高知)、高松宮記念杯(22年岸和田)。通算獲得賞金は7億3712万6500円。(5日現在)

 

 

井川慶略歴

井川 慶(いがわ・けい)

1979年7月13日生まれ、43歳。茨城県出身。

現役時代は左投げ左打ちの投手。

水戸商から97年度ドラフト2位で阪神入団。

06年オフにポスティングシステムでヤンキースに移籍した。

12年にオリックスで日本球界復帰。

15年に退団後、17年には独立リーグのBFL兵庫でプレーし、同年オフに退団。

NPBではMVP、ベストナイン、沢村賞(いずれも03年)。

23年からデイリースポーツ野球評論家。

 

 

高松宮記念杯競輪とは

準決勝まで東日本(北日本、関東、南関東地区)と西日本(中部、近畿、中国、四国、九州地区)に分かれて争う東西対抗戦方式のGⅠレース。

今年から6日間開催に変更され、ガールズケイリン初のGⅠ・パールカップも同時開催される。

昨年は地元の古性優作(大阪)が優勝を果たした。

 

 

取材後記

競輪界トップレーサーの古性と阪神でエースとして活躍し、メジャーリーグへも移籍した井川氏の異種競技の対談。

初対面で最初は硬かったものの、トレーニングの話から終盤には年金やアメリカでの税制についてなど、思わぬ方向にも話が弾んで、和やかなムードで進められた。

対談後は外へ出て2人でキャッチボール。

野球経験がないと不安がる古性だったが、球は問題なく井川氏に届き「キャッチボール、楽しいです」と楽しそうに投げ込んでいた。

 

持ち場の競輪場では引き締まった表情がほとんどだが、そういう人こそ笑顔は印象が残りやすい。

簡単に成し遂げられないことは承知しているが、GⅠ・高松宮記念杯で連覇を果たし、満面の笑みを地元のファンに披露してほしい。

(関西競輪担当・貞 友之)

 

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