【デイリースポーツ・KEIRIN屋】23年グランプリ覇者・松浦悠士特集

2024.02.07

2024年2月3日 デイリースポーツ掲載記事

 

今年最初のKEIRIN屋は昨年のグランプリ覇者・松浦悠士(33)=広島・98期・SS=をピックアップ。

5回目の挑戦で初めて頂点の座に立った新王者を直撃した。

9日に開幕する全日本選抜競輪(岐阜)からスタートする今年のGⅠ戦線に向けても意気込みを話してくれた。

(聞き手・松本 直)

 

グランプリを制して賞金ボードを掲げる松浦悠士

 

―KEIRINグランプリ2023優勝おめでとうございます。涙のVから1カ月が過ぎたが、今の気持ちは。

「うれしいの一言。今までGⅠ、GⅡを優勝したことはあるけど、周りの人の反応が全く違った。

家族、ファン、関係者みんなから祝福されて、グランプリはやっぱり違うなと思いました」

 

―2019年の初出場から5回目の挑戦での初Vだった。

「11月の競輪祭(小倉)が終わった段階ではすごく感じが良かった。

グランプリに向けて(調子が)上がっていく手応えもあったけど、12月上旬の別府記念で落車してしまった。

骨折とかはなかったけど、グランプリに向けて特別なことはできなかった。

ここ数年はグランプリ前にいつもと違う練習や調整をしていた。

でも、昨年はいつも通りの練習と調整で臨んだ。

直前にはへんとう腺が腫れて練習を1日休んだけど、立川に入ってからは与えられた環境でやれることをやろうと考えた。

そうしたらリラックスしてレース本番に臨めた」

 

―レースを振り返ってみて。

「レースに関しては、前で走ってくれた(清水)裕友の頑張りがあった。

自分としてはスタートの失敗、早めの切り替えと、きれいなレースではなかったけど、過去には切り替えを待ってすくわれてしまったこともある。

判断は難しかったけど、優勝という結果を出せたことは良かった」

 

グランプリを先頭でゴールした松浦悠士(左から2人目)

 

―デビューしてからを振り返って。

S級昇級も決して早くなく、A級にも一度陥落もしている。順調な競輪人生ではない。

 

「ズバ抜けた素質がある選手ではなかったし、デビュー当時は練習への理解度がなかった。

ただ、量をこなしていれば強くなると思っていた。

どういう選手になりたいか明確なビジョンもなかったですね」

 

―変わったきっかけは。

「S級に一度上がって、その後にA級へ落ちた時に先輩の大久保義郎さん(57期・引退)から『松浦の脚力があったらオレならS級1班になれる。自分でよく考えろ』と言われたんです。

そこからですね、考えるようになったのは。

練習、セッティング、乗車フォームに食生活。意識が変わりました。

当時は好きなものだけ食べて飲んで、夜更かしもしていた。

今思えば強くなるわけない。意識が変わったことで成績は良くなった」

 

―グランプリ王者として迎える今年の目標を。

「毎年の目標だけど、GⅠを優勝したい。

昨年のグランプリは獲得賞金での出場だった。

やっぱりグランプリはGⅠタイトルを取って出場したい。

長期的な目標なら(GⅠ6個を全て優勝する)グランドスラム(松浦がまだ優勝していないGⅠは全日本選抜、高松宮記念杯、寬仁親王牌)。

今年、一気に残り三つの優勝は難しいけど、まずは取っていないGⅠタイトルは取りたいですね。

全日本選抜(2月9~12日・岐阜)で結果を出せるように頑張ります」

 

グランプリでプレゼンターのなかやまきんに君に祝福される松浦悠士(左)

 

記者メモ

グランプリ優勝者には一年間、1番車が与えられる。

松浦が着る1番車の白いユニホームを見るために来場する人もいるだろう。

先日の川崎記念でも松浦の1番車にカメラを向けるファンが多く見られた。

 

ホームバンクの広島競輪場は改修工事中で、リニューアルオープンは25年夏の予定。

「1番車のチャンピオンユニホームを今年、広島で見てもらうことはできない。それでも今年もグランプリで優勝すればチャンピオンユニホームを着てレースをしている姿を広島のファンに見てもらえる。自分も新しい競輪場を走ることが楽しみ。もっと広島の競輪が盛り上がるように結果を出したい」と頂点に立ってもモチベーションは高い。

 

リニューアルを終えると広島競輪場ではGⅠの開催も期待される。

広島のエースが新しいバンクでチャンピオンユニホームを着て躍動する姿が見てみたい。

(関東競輪担当・松本 直)

 

松浦悠士プロフィール

松浦悠士(まつうら・ゆうじ)

1990年11月21日生まれ、33歳。広島市出身。広島市工高卒。

168センチ、73キロ。

日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)98期生として2010年7月に熊本でデビュー。

主なタイトルはKEIRINグランプリ2023(立川)、GⅠ・競輪祭(19年小倉)、GⅠ・オールスター競輪(20年名古屋)、GⅠ・日本選手権競輪(21年京王閣)。

通算成績は1204走346勝、2着240回、3着169回。通算獲得賞金額は10億1866万7811円。(2日現在)

 

2024年ビックレース展望

12月30日に静岡で開催されるKEIRINグランプリ2024を目指す戦いは既に始まっている。

グランプリ連覇を狙う松浦を中心に今年の競輪界は動きそうだ。

自分で動ける強みに加えて、連係する中四国の層が厚い。

清水裕友(山口)とのS級S班タッグに町田太我(広島)、犬伏湧也(徳島)ら機動型との強力ラインは魅力十分。

 

脇本雄太(福井)、古性優作(大阪)の近畿コンビもGⅠ奪取に燃えている。

昨年GⅠを3回優勝してMVPに輝いた古性は前人未到の年間4回のGⅠVへ全力投球。

ベテランの佐藤慎太郎(福島)も見逃せない。

5月の日本選手権は地元の平で開催。集中力を高めてGⅠ優勝を狙う。

 

パリ五輪を目指す中野慎詞(岩手)、太田海也(岡山)はメダル獲得が大目標も、秋には競輪界へ復帰予定。世界基準のスピードは魅力たっぷりだ。

 

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