【デイリースポーツ・KEIRIN屋】GⅠ・競輪祭&競輪祭女子王座戦特集

2025.11.15

今回のKEIRIN屋は競輪発祥の地・小倉競輪場で開催される今年最後のGⅠ・競輪祭(19~24日)と競輪祭女子王座戦(19~21日)に注目。

このレースの結果次第でKEIRINグランプリ2025(12月30日・平塚)に出場する9人とガールズグランプリ2025(12月29日・平塚)に出場する7人が決定する。

ここでは競輪祭を現地で取材する3記者が年末の最終切符を獲得する選手を大胆に予想した。

 

森田記者予想

 

初のGⅠ制覇に燃える松本貴治(31)=愛媛・111期・S1=が最後のグランプリ切符をもぎ取る。

直前のGⅠ・寬仁親王牌(前橋)では決勝に進出。前を犬伏湧也に任せ、後ろを小倉竜二が固める布陣で徳島勢の間に入った。

松本―犬伏が2車単で1番人気となるなど、ファンからGⅠ初優勝の期待が寄せられたが、結果は2着。嘉永泰斗に優勝をさらわれた。それでも最終3角過ぎから内に進路を取り、2着まで食い込んだことは評価できる。

「コースを探したが、あの段階では遅かった」と振り返った。

 

この結果で今年の獲得賞金ランキングは10位。KEIRINグランプリ出場が手の届くところまで来た。

ただ、賞金面でクリアできるケースはあるが、GⅠを制して年末の大一番に出たい。そう思いながら、日々の練習に励んでいる。

 

かつてはユニホームに「デイリーロゴ」を付けて出走していた。

19年のGⅡ・ヤンググランプリ(立川)を制した直後には「やっとデイリーを大きくアピールできましたよ」と笑った。

この年はラグビーのワールドカップが日本で開催され、無表情で「笑わない男」と呼ばれた稲垣啓太が人気になった。

松本は稲垣と同様に表彰式などで笑顔を見せないために「競輪界の笑わない男」と呼ばれていたが、この時ばかりは満面の笑みで表彰台に上がったことを思い出した。

 

競輪祭の舞台となる小倉は、これまで12場所(44走)で1着が9回。優勝もない。相性は決して良くないバンクだが、逆境に強いのも、この男の持ち味。

愛媛勢では92年の梶應弘樹以来、四国勢では06年の小倉竜二以来となるグランプリ出場へ、今年最後のGⅠで大暴れするに違いない。

(森田新吾)

 

貞記者予想

 

世界の舞台で磨いてきた脚力を遺憾なく発揮して太田海也(26)=岡山・121期・S1=が初のグランプリ出場を決める。

競輪だけではなく、自転車競技でも日本代表として活躍。24年のパリ五輪に出場し、10月の世界選手権(チリ)ではケイリンで4位に入るなど、屈強な外国人選手ともしのぎを削っている。

 

基本的には自転車競技での活動が中心のため、競輪への参戦は多くないが、いざレースに参戦すれば抜群の存在感を発揮。

競技はカーボン、競輪は鉄のフレームを使うなど、同じ自転車での競走でも、細かなルールの違いがある中で、今年は6月のGⅠ・高松宮記念杯(岸和田)から9月のGⅡ・共同通信社杯(福井)までビッグレースで4開催連続となる決勝進出。

今年の賞金ランクは21位(10日現在)。競輪への参戦が限られている状況で、いかに結果を残しているかが獲得賞金額にも表れている。

 

惜しいのは決勝で不発が続いている状況だ。

GⅠ・オールスター(函館)は別線の近畿勢が強力だったのは確かだが「初手でミスをしたし、その後の組み立てを全部ミスした」と見せ場なく敗退。

共同通信社杯でも後方からまくるが、不利を受けて落車と力を出し切れないレースが続いている。

ただ、本紙評論家の本田晴美氏が「(決勝までの)勝ち上がりの時のレースをすれば(タイトルを)取るのは早い」と評価するほど、脚力に限ればトップクラスだ。あとはいかにその力をうまく決勝で発揮できるかが鍵となる。

 

今年最後のGⅠとなる競輪祭。このバンクでは2年前の当大会で決勝へ進出。

ナショナルチームで練習をしている伊豆ベロドロームは1周250メートルとバンク周長こそ違うが、小倉と同じ屋内のバンク。スピードが出る小倉は太田にとって有利だ。

自身初のグランプリ出場を果たすには優勝あるのみ。自転車競技で世界の頂点を目指す男が、競輪界の頂点を決める舞台への切符もつかみ取る。

(貞友之)

 

松本記者予想

 

ガールズの注目選手は柳原真緒(28)=福井・114期・L1=だ。賞金ランキングは9位(10日現在)。

競輪祭女子王座戦決勝の着順次第で優勝した22年に続く2回目のガールズグランプリ出場も見えてくる。

 

今年は4月のオールガールズクラシック(岐阜)で決勝6着。6月のパールカップ(岸和田)でも決勝6着。8月の女子オールスター競輪(宇都宮)は決勝3着とGⅠ全てで決勝進出。

10月以降も豊橋、前橋と2場所連続完全優勝と気配は上向きだ。

 

彼女は勝負強さだけでなく、運の強さを持っている。

22年は前年にガールズグランプリを優勝した高木真備さんが4月に電撃引退。その影響で補欠だったガールズケイリンコレクション(平)に繰り上がると、そこでビッグレース初優勝。

その後も順調に賞金を積み重ねて、年末の大舞台に初出場を決めると、勢いそのままに大一番でも優勝をつかみ取った。

ここ数年はビッグレースで結果を出せていないが、着実に力を付けている。

 

所属する福井勢は男子が好調。脇本雄太が全日本選抜(豊橋)、高松宮記念杯(岸和田)を優勝。寺崎浩平がオールスター(函館)を優勝とGⅠで好結果を出している。柳原も福井のいい流れに乗っていきたいところだ。

「今年の福井勢は脇本雄太さん、寺崎浩平さんがGⅠを優勝して盛り上がっている。ガールズも後輩の仲澤春香がGⅠに出てきて刺激を受けている。自分もビッグレースで結果を出したいと思っている」と気合も入る。

 

日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)では在校1位、卒業記念レース優勝の2冠を達成。ガールズケイリンコレクション、ガールズグランプリは初出場初優勝と一発勝負での強さは折り紙付き。

土壇場からの逆転ゴールへ準備は万端。競輪祭女子王座戦でGⅠ初優勝を決めて、3年ぶりにガールズ最高峰の舞台へ舞い戻る。

(松本直)

 

男女GPの行方

グランプリはGⅠ優勝者の脇本雄太(全日本選抜、高松宮記念杯)、吉田拓矢(日本選手権)、寺崎浩平(オールスター)、嘉永泰斗(寬仁親王牌)が出場権を獲得。

賞金額上位の古性優作、眞杉匠、郡司浩平、南修二も有力で実質、残る1枠を巡る戦い。

決勝2着の賞金が2554万円だけに10位の松本貴治、11位の新山響平は準優勝でもグランプリ出場の可能性はある。

 

ガールズグランプリは三つのGⅠ(オールガールズクラシック、パールカップ、女子オールスター)を全て佐藤水菜が優勝して出場権を持つ。

賞金ランキング2~4位の児玉碧衣、久米詩、尾崎睦もほぼ確定で残り3枠を競う形。

優勝者は無条件で出場権利を獲得。準優勝でも賞金が226万9000円。この金額を上積みしてボーダー下から逆転するシーンもありそうだ。

 

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