【デイリースポーツ・KEIRIN屋】2026年新人・近内三孝選手&川上いちご選手を特集

2026.03.31

今回のKEIRIN屋は先日、日本競輪選手養成所を卒業して、5月に開催されるルーキーシリーズで競輪選手としてプロデビューする129期(男子68人)、130期(ガールズ20人)を紹介する。

男子の注目は重量挙げで2021年の東京五輪に出場した近内三孝(30)=栃木。ガールズは小学校教師から転身して競輪に挑戦する川上いちご(26)=千葉=をピックアップした。

(取材、構成=松本 直)

 

 

重量挙げで世界の舞台で活躍したスーパーアスリートがバーベルをハンドルに持ち替えて再び勝負に挑む。

21年の東京五輪で7位入賞を果たした近内が競輪選手としてデビューする。

 

東京五輪後も競技を続けていたが、パリ五輪では無念の代表落ち。

「この競技を長く続けるのは違うかな」。そんなタイミングで思い出したのは大学時代の1コマだった。

日大の同級生で現在は競輪界トップのS級レーサーとして活躍する坂井洋(31)=栃木・115期・S1=から「競輪やってみたら」と声をかけられたことだ。

 

「大学時代、ウエートリフティング部と自転車競技部は学生寮が一緒。坂井さんとはその時からの間柄。自転車競技部もウエートトレーニングをするので、スクワットのアドバイスをしていました。ずっと坂井さんは競輪はいいよと言われていました。選手寿命が長いので一生の仕事にできる。自分が頑張った分だけ賞金が稼げると教えてもらっていました。当時はウエートリフティングを頑張っていたので、聞き流していましたけど、パリ五輪の選考に落ちてしまい、ふと今後の人生を考えた時、競輪もいいかなと思いました」。

 

競輪挑戦を決めると、坂井に弟子入りしてスポーツで世界レベルの実績を持つ人が受験できる日本競輪選手養成所の特別選抜試験に合格。

東京五輪の成績が決め手となり、129期として入所した。

「自転車の経験が少なくて苦労したけど、仲間と助け合いながら、抜群の環境で訓練することができました。師匠から『ペダルは回すんだよ』と言われて回すのは簡単だろと思ったけど、回すことの難しさを思い知りました」と1年間の養成所生活を振り返った。

 

養成所のラストレースは2着。白星は最後まで挙げることはできなかったが、1着はデビュー後に必ず決めてみせる。

「最後のレースは絶好の展開で前を抜けず2着。脚がなかった。卒業後は宇都宮に帰って師匠と練習をします。いつかS級に上がって師匠と一緒に走りたい。あとは職業として少しでも長く選手を続けたい」。

 

身体能力は競輪界でも間違いなくトップクラス。あとは力をうまく自転車に伝えることができれば結果は付いてくるはずだ。

師匠の待つS級で活躍する日を楽しみにしたい。

 

略歴

近内三孝(こんない・みつのり)1996年3月14日生まれ、30歳。

福島県三春町出身。日大卒。168センチ、73キロ。

高校から始めた重量挙げで21年の東京五輪出場を果たし、67キロ級で7位入賞。

24年10月の国スポでは67キロ級でトータル、スナッチ、クリーン&ジャークと3種目で1位。

25年5月に129期の特別選抜試験で合格して、日本競輪選手養成所に入所。

養成所成績は1着0回、2着1回、3着2回、着外72回で在所成績は67位。

師匠は坂井洋(115期)。

 

 

 

川上は安定した仕事を辞めて競輪挑戦を決めた根性ガールだ。

「大学を卒業してから小学校の先生をしていました。自転車経験はゼロ。仕事の合間にウエートトレーニングをしていた時、競輪の広告を見てピンときました」と笑いながら話す。

 

やりたい気持ちだけで競輪選手にはなれない。日本競輪選手養成所に入るには師匠を見つけないといけない。

選手になりたい熱意をガールズケイリン1期生の浦部郁里(39)=千葉・102期・L1=にぶつけて弟子入りに成功した。

 

「浦部さんが師匠になってくれて本当に良かった。師匠は私の小学校の日程に合わせて土日に面倒を見てくれた。自転車の準備など全て師匠のおかげで選手になることができました」と感謝を口にした。

 

卒業記念レースでは見事に優勝。注目は集まるが自信もある。

「将来はGⅠやガールズグランプリに出場する選手になりたい。まずは積極的なレースをして力を付けたい」と先輩レーサーに思い切りぶつかっていくつもりだ。

 

名前の由来となったイチゴは好きではないとキッパリ。

「春に生まれたからいちごと名付けられました。でもイチゴは味が嫌い。好きなのはチョコレートケーキ」とニッコリ。

それでも、一度聞いたら忘れない名前はプロ選手としては絶対にプラスだ。

「小さなころは恥ずかしかったけど、いまは好き。出走表でもすぐに見つかりますから」。

 

ファンを魅了する走りは卒業記念レースでも見せただけに、デビュー後も豪快な自力勝負を見せてくれるはず。

〝いちご先生〟が競輪場を沸かせる日は近そうだ。

 

略歴

川上いちご(かわかみ・いちご)1999年4月6日生まれ、26歳。

千葉県松戸市出身。千葉大卒。158センチ、62キロ。

2025年5月に130期として、日本競輪選手養成所に入所。

成績は1着48回、2着7回、3着10回、着外8回で在所成績は2位。

師匠は浦部郁里(102期)。

 

その他新人

129、130期は2024年12月に引退したレジェンドレーサー・神山雄一郎氏が所長となり初めて手がけた〝神山チルドレン1期生〟だ。

 

能力値を示す記録会で好結果を出した候補生が多かったのが特徴。

昨年12月に行われた第3回記録会では史上最多の男子25人、女子4人が成績優秀者の証しであるゴールデンキャップを獲得した。

 

男子の注目は卒業記念チャンピオンの沢田桂太郎(大分)だが、予選2走、準決と3連勝で勝ち上がった伊藤京介(三重)はレース内容がよく期待が持てる。

練習グループにグランプリ覇者の浅井康太(三重)もいるだけに今後の成長が楽しみだ。

 

ガールズは川上、小原乃亜(岩手)、山田南(千葉)の3人が注目候補。

小原は卒業記念レース決勝で落車したが、ポテンシャルの高さは折り紙付き。自転車経験が豊富で実戦向き。

対して山田は陸上競技出身。メキメキと力を付けてナショナルチームの候補生入りも果たした。

拠点を伊豆に置いて練習をするだけに一気に成績を伸ばす可能性は十分だ。

 

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