【夕刊フジ】〝自転車王国〟埼玉 西武園競輪場に猛者集結 真夏の祭典「オールスター競輪」9日開幕!

2022.08.08

★ 夕刊フジ(zakzak)8月8日掲載記事

 

久々のビッグレース開催に〝自転車王国〟がわいている。

 

全国で唯一、二つの競輪場でレースを主催する埼玉県。

その1つである西武園競輪場では9日から14日までの6日間、真夏の祭典「第65回オールスター競輪」(GⅠ)が行われる。

2年連続で平原康多(埼玉)がファン投票1位で選出され、地元の期待も高まる中、県営競技事務所の渡邉和貴(かずよし)所長に話を聞いた。

 

 

「オールスターでは18年ぶり、GⅠでも全日本選抜競輪から14年ぶりです。久しぶりのビッグレース開催にワクワクしています」

 

渡邉所長がうれしそうに話す。

昨年4月に就任。それまで競輪との縁はなかったが、迫力のあるレースと奥深さを目の当たりにして、たちまち魅了されたという。

 

「今回は平原選手の他にも埼玉の選手が多く選ばれていますので、地元ファンは全国の猛者たちを迎え撃つレースを期待していると思います」

 

埼玉には西武園に加えて「東日本競輪発祥の地」とされる大宮競輪場がある一方で、世界最大のサイクリングイベント「ツール・ド・フランス」の名を冠した「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」が行われるなど、自転車競技も盛んだ。

県民の自転車の保有台数も全国トップクラス。

「埼玉県民にとって自転車は身近なツールです」と渡邉所長は話す。

 

 

では、そんな自転車王国の中で、競輪事業が果たしている役割とは何か。

 

「一番の役割としては、地方自治体が公営競技をさせていただく本分である財政貢献があげられます。直近40年で約485億円が一般会計に繰り入れられ、県民の生活に役立つ形で使われています」

 

もう1つは、自転車競技への支援だという。

 

「大宮競輪場が高校の自転車競技部の練習に使われています。埼玉の高校での自転車競技部の数は全国1位。今年1月に高校生たちに模擬レースを走ってもらったところ、ファンの皆さんがすごく温かい声援を送っていました」

 

今後については、「それぞれの競輪場の特色を踏まえて取り組みたい」という。

 

「大宮競輪場は隣に氷川神社や動物園もあって交通の便もいいので、気軽にふらっと立ち寄れるような場所にしていければいいなと。西武園は競輪そのものを楽しむ施設として整っていますし。おかげさまで来年も西武園でオールスター開催が決まっているので、ファンの期待に応えるためにも埼玉県ならではの競輪を展開していければ」

 

オールスター競輪での売り上げ目標は130億円。

とはいえ、新型コロナウイルス禍が続いていることもあり、「感染対策に十分配慮しながら、抜かりなく準備をしていきたいです」と意気込んだ。

 

 

大宮競輪場

 

 

埼玉県では競輪事業を全国で唯一、今回オールスターが開催される西武園競輪場(所沢市)と大宮競輪場(さいたま市大宮区)の2つの施設で開催している。

 

大宮競輪場は1949(昭和24)年に東日本初の競輪場として開場。

競輪の発祥は小倉だが、大宮は東日本の発祥の地として知られる。

バンクの周長は競輪場としては最も長い1周500㍍で2021年には公募により「大宮BigBank」の愛称が付けられた。

 

 

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムとは

 

 

ツール・ド・フランスの第100回大会を記念して2013年に始まったロードレースの大会。

さいたま新都心周辺に設定された市街地の周回コースを、その年のツール・ド・フランス優勝者など世界トップクラスのレーサーが腕を競う。

今年は11月6日に開催される。

 

同大会の運営には、競輪・オートレースの売り上げの一部を原資として、地域産業の振興や福祉車両の導入など、社会的課題を解決するための事業に補助金を助成する「競輪・オートレースの補助事業」が活用されている。

 

 

地元選手

 

埼玉の絶対エース・平原康多が競輪人生2回目の地元GⅠに挑む。

西武園で行われた2008年12月全日本選抜は④④④⑥着と見せ場なく終わった。

だが、この頃はまだまだチャレンジャーの域。

 

その翌年09年に高松宮記念杯でGⅠ初優勝を飾った。

そこから昨年の寬仁親王牌まででGⅠ8回優勝の実績を積み上げ、満を持して今回の地元戦を迎える。

 

6月GⅠ高松宮記念杯で落車し、7月GⅡ玉野サマーナイトフェスティバルではその影響をひきずるような感じもあったが直前の弥彦記念で優勝し、見事に払拭。

圧巻だったのは準決勝で目標にした菊池岳仁(長野)が勝負どころ前で落車すると自ら先行策に転じ、ピンチを切り抜けた。

番手を回る機会が増えているが先行でもまだまだイケる。

そこが平原の強さだ。

 

そんな走りといつもニコニコ、コウタスマイルがファンの心を捕らえて離さない。

ファン投票は2年連続で1位だ。

「信じられないけど感謝でいっぱいです。地元GⅠでドリームレースを走れることを誇りに思う」。

地元西武園で9回目の戴冠とオールスター初制覇を狙う。

 

埼玉県上尾市出身の太田りゆは3日目(11日)第11R「ガールズドリームレース」に出走する。

 

 

ファン投票6位での選出。

競輪と〝ケイリン〟を両立させる太田は競技では名門「ブリヂストン」に所属。

 

パリ五輪出場を目指してナショナルチームで活動する太田は、世界を転戦しており国内戦で見ることは限られている。

今回は太田自身にもファンにとっても貴重な一戦だ。

直前もジャパントラックカップ1に参加しケイリンで銅メダルを獲得。

世界の脚を地元西武園で爆発させたい。

 

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