【夕刊フジ】地元と歩む日本一 平塚市公営事業部・木川大成部長が目指す未来

2022.12.27

夕刊フジ 12月27日発行号掲載

 

競輪界の掉尾を飾る「KEIRINグランプリシリーズ」は12月28日から30日まで、神奈川県平塚市の平塚競輪場で行われる。

30日の「KEIRINグランプリ」では今年のベスト9が1億円超の高額優勝賞金を狙って熱戦を展開する。

そんなビッグな大会を前に平塚市公営事業部・木川大成部長が「日本一の競輪場を目指す」と声高に宣言した。

 

平塚市公営事業部・木川大成部長

 

日本一になるためにはまずは地盤固め。

平塚競輪はJリーグ・湘南ベルマーレとのつながりが深く「1999年にフジタさんが撤退して、ベルマーレ平塚から広域市も含めての湘南ベルマーレに生まれ変わったときに競輪場も応援してくれないかとお願いされた」と、スポンサーに。

それ以前からも付き合いはあり、98年サッカーW杯フランス大会時にはベルマーレから日本代表として中田英寿、小島伸幸、呂比須ワグナー、韓国代表として洪明甫が選出され、場内でパブリックビューイングを行った。

「夜中の12時くらいの試合だったのに何千人もお客さんがいらっしゃった」。

湘南ベルマーレがJ2で優勝した際には競輪場で優勝報告会も開催され大いに盛り上がった。

 

湘南ベルマーレ

 

また、地元の平塚学園が98年に夏の甲子園初出場を果たしたときも「みんなで応援しよう!」とパブリックビューイングを実施。

「今は地元の幼稚園などが遠足で平塚競輪場に来てくれます。バンクの傾斜を昇ったりして一日楽しんでくれますね」

 

かつての競輪場ではお酒が飲めなかった。

平塚ではナイター開始時に「やっぱり夏の夜はビール」と酒類販売を計画。

警察からは駐車場が広いから飲酒運転の懸念があるといわれたため、無料バス利用の入場者に1人2枚限定でビール販売券を配布した。

2年間の試行の結果、3年目でフリーに酒類を販売する許可がおりた。

「そこから他場さんもどんどんお酒を売り出しました」。

ここも日本で一番乗りを果たしている。

 

「道の駅でも厳しいところは観光客ばかりで地元客がいないところ。

やっぱり地元から愛されて需要があると生き残れる。

もちろん、財政に寄与するのはもちろん大事だが売り上げ、入場人員だけでなく、働きやすさやお客さんの満足度などいろいろな意味で日本一を目指します」

 

平塚競輪 LED照明による光の演出

 

日本一の競輪場を目指すためにはまずは掃除から。

競輪場といえば3K(汚い、臭い、暗い)というイメージだったのは過去の話。

平塚場内はゴミ一つ落ちておらず、とてもクリーンだ。

「清掃スタッフを多めに配置しています」。

スタッフは無線でゴミが落ちているとの情報をキャッチすると即座に駆け付け、ゴミを回収する。

「5分と同じ場所にゴミが落ちていないように。きれいなところだとゴミを捨てにくくもなりますしね」。

清掃スタッフは若い人も多く「ディズニーランドのイメージ」を狙っている。

平塚競輪場で清掃のバイトをすることがオシャレだとも言われたい。

 

 

誰もが安全に快適に過ごせるように警備面にも力を入れる。

「民間警備員も100人以上配置していますし、警察OBを40数人、本場開催時には現役警察官も必ず来ていただいています」と他場では類をみないくらいの大人数態勢だ。

缶、瓶類の持ち込みチェック、喫煙所以外での喫煙注意などを厳重に行っている。

「行ったことはないのにギャンブル場っていうとネガティブなイメージを持つ方も多い。

アミューズメントパーク、娯楽として認知されるため、経費はかかるけど地道にやっています」。

 

横浜ビー・コルセアーズ

 

老若男女問わず、競輪を知らなくても楽しめるよう「20年以上前からお笑いライブショー、お子様向けキャラクターショーを行っています」。

20年前に親に連れてってもらった子どもが成人して今度は自分の子どもを連れてくるという循環もそろそろ実を結んでいる。

 

 

平塚競輪場は1950年に開場。

現在まで市の財政に約1050億円を繰り入れている。

「昭和の時代、お子さんが増えて小、中学校をたくさん建設するのに貢献したと聞いています」。

 

一時期は財政の3割が競輪の収入という時期もあった。

しかし、当時は開催日の交通渋滞、騒音、マナーの悪い客などのため、競輪廃止を訴える人たちもいた。

55年に平塚市長となった戸川貞雄氏は当所、競輪廃止を掲げていたが、売り上げが財政に大きく寄与していることを知り、競輪を存続。

「競輪は必要」と持論である「競輪悪妻論」を国会で披露したことはあまりにも有名だ。

その功績をたたえ、戸川氏の冠をつけた「湘南ローズカップ戸川杯」が毎年開催されている。

 

平塚は兵器に使用する爆薬、火薬を製造する海軍火薬廠があったため、戦争中に主要な攻撃目標にされ、焼野原になってしまった。

そこからの復興も競輪事業が大きく貢献している。もはや戦後ではない現在は売り上げで市の財政を潤しながら、競輪場は市民の集う場所になっている。

 

平塚七夕祭り 

 

平塚でグランプリ(GP)が開催されるのは2年ぶり9回目。

「前回はコロナ禍もあって事前予約の県内在住の方、1日2000人の制限があった。

今回は自主規制として1日滞留2万人というラインは設定したがイベントなども盛大に行えます」。

 

女優・藤原紀香、平塚競輪イメージキャラクター渡辺美優紀、K―1・魔裟斗、昨年のガールズグランプリ覇者・高木真備氏ら豪華な顔触れのトークショーなどが行われる。

選手のスピード表示(28日のヤンググランプリのみ)など平塚ならではの斬新な企画も盛りだくさんだ。

 

「ゴールデンスラムと言っていいのか分かりませんが新田祐大選手の全GⅠ+GP制覇、佐藤慎太郎選手なら最高齢優勝記録、古性優作選手の連覇にも期待がかかるし、五輪を経てGPに戻ってきた脇本雄太選手、ニューフェース新山響平選手にもちろん地元の郡司浩平選手と話題にこと欠かない。

GP出場9選手はいずれ劣らぬ優秀な選手。どうやってそれをさらにわれわれが盛り上げていくか。責任も重大です」

 

 

 

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