【夕刊フジ】GⅠ「日本選手権競輪」出場 元Jリーガーのオールドルーキー、地元・北井佑季に期待

2023.05.01

夕刊フジ 4月29日発行号掲載

 

「第77回日本選手権競輪」(GⅠ)は5月2日から7日までゴールデンウイークの6日間、神奈川県平塚市の平塚競輪場(ABEMA湘南バンク)で開催される。

GⅠで最も高額な優勝賞金7900万円をかけて輪界のトップレーサー162人がしのぎを削る。

注目は日本選手権初出場で初優勝を狙う地元期待のオールドルーキー北井佑季(神奈川)だ。

 

北井佑季選手

 

日本競輪選手会神奈川支部で平塚競輪所属の北井佑季は2021年5月デビューの119期生。

高校卒業してすぐ、10代で日本競輪選手養成所に入所する者が多い中、北井は現在33歳。

入所時にはすでに30歳だった。

 

なぜなら北井は元Jリーガー。

県内の桐光学園高から近畿大に進学、10年に大学を中退し、当時JFLのFC町田ゼルビアに入団。

松本山雅FC、カターレ富山、SC相模原と渡り歩き18年までサッカー選手として活躍している。

「サッカーはプレイすることが好きだった」。

周囲が引退後を見据えて審判資格を獲得したり、指導者への道を模索する中、北井は自身のセカンドキャリアとして「次は競輪選手になる」と決めていた。

幼馴染の女性のお兄さんが競輪選手(小菅誠)でその活躍を見ていたからだ。

 

「カターレ富山時代に偶然だけど、富山競輪場のすぐ近くに住んでいた。

その時に一回だけレースを見たことがあるがルールはわからないし、誰が走っているのかも覚えてない」と競輪の知識はなかったが、持ち前の基礎体力の高さを生かせる職業だという認識だけはあった。

 

19年3月にサッカー選手を引退する。

すぐに同じく元Jリーガーで競輪選手の河野淳吾(神奈川・99期)のつてで河野の師匠である高木隆弘(神奈川・64期)に弟子入り。

すでに妻子のいた北井は長く浪人生活はできないと考え「養成所受験は1回だけ」と決意。

その意思を高木にも伝え、10月に119期試験にトライし、見事に合格した。

養成所では第2回記録会で最も能力の高いS評価を得て、ゴールデンキャップを獲得している。

 

21年のデビュー後もほぼ順調で同年12月にはA級2班に、22年5月にはS級2班へ特昇し、同年9月にはS級初優勝も飾った。

今年は2月全日本選抜競輪(高知)でGⅠ初出場も果たし、さらなる飛躍が期待されている。

 

そんな北井の活躍を見て「競輪選手になりたい」と現役、元Jリーガーからの問い合わせも多いという。

「でも受験、養成所入所期間の最短でも約2年、無収入になると教えるとみんな尻込みしてしまう」と実際に養成所受験を考える人はまだいないそうだ。

 

「自分も受験時点で妻子がいたので気持ちはわかるんですが…。

競輪選手はプロとして50代、60代まで長く活躍できるので頑張ってほしい。

一人でも多く元Jリーガーの競輪選手がいたらうれしい」。

 

Jリーガーは現役として活躍できる期間は短い。

体力に自信があるなら最高のセカンドキャリアと北井は考えている。

 

 

地元密着の運営をする平塚競輪はJリーグの湘南ベルマーレのスポンサーも務めている。

4月1日には日本選手権競輪のPRとして「平塚競輪スペシャルデー」がレモンガススタジアム平塚で行われた。

 

試合開始前にはスタジアムのある公園内イベントブースで北井ら地元選手がワットバイクチャレンジで豪脚を披露。

 

ワットバイク ©SHONAN BELLMARE

 

試合開始直前にはピッチに登場し「元Jリーガーの北井佑季です。現役時代はここでの試合にも出場したことがあります。5月2日から平塚競輪場で日本選手権競輪が開催されます。ぜひ応援に来てください」とサッカーファンにアピール。

 

場内インタビュー ©SHONAN BELLMARE

 

ハーフタイムでは「第1回平塚競輪・湘南ベルマーレ選手権」として平塚競輪マスコットキャラクター・ウインディくんファミリーと湘南ベルマーレキャラクターのキングベルⅠ世がメイン側トラック直線約50㍍を力走する対決が行われ、ゴールで激走のマスコットたちを待ち受けた。

 

記念撮影 ©SHONAN BELLMARE

 

「Jリーグのイベントに参加するのは初めてでうれしい。

富山など昔に所属していた場所だとサッカー時代のファンが来てくれて金網から声援を送ってくれるんですよ」。

 

現在はサッカーと競輪の懸け橋になるべく「サッカーファンが競輪に目を向けてくれる機会をつくりたい」と奮闘している。

 

 

全国でも屈指の来場者数を誇る平塚競輪はPR施策や場内イベントにも積極的で、今年度は女優の筧美和子(29)がイメージキャラクターに就任し、PRポスターやプロモーションビデオに出演する。

 

また、イルミネーションもリニューアルされ、同場のマスコット「ウインディ」がビッグサイズになって登場。

ナイター開催時の8R以降のレース間には「光と噴水と音」による圧巻の〝ショータイム〟が展開される。

 

イルミネーション

 

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