【夕刊フジ】「第74回高松宮記念杯競輪」を開催する岸和田競輪の松下所長に聞く「市民との距離感を縮める3つの目標」

2023.06.12

夕刊フジ 6月12日発行号掲載

 

伝統の一戦が生まれ変わる。

「第74回高松宮記念杯競輪」(GⅠ)は13日から18日の6日間、大阪府岸和田市の岸和田競輪場で開催される。

ガールズケイリン初のGⅠとなる「第1回パールカップ」が前半3日間に組み込まれることで、これまでの4日制から6日制のロングラン大会に変貌するが、今年も大会を盛り上げるのは、大会連覇を狙う大阪のエース・古性優作(大阪)だ。

 

古性優作

 

2021年末に静岡で行われた「KEIRINグランプリ2021」で優勝。

栄光の1番車グランプリユニホームをまとって挑んだ昨年の当大会で単騎勝負も鮮やかなまくりを決めて初優勝を果たし、地元ファンの大声援に応えた。

今年、記念開催のない岸和田バンクで古性の走る姿を見ることができるのは宮記念杯だけ。

古性ももちろん、岸和田競輪ファンにとっても気合の入るシリーズだ。

 

6月3日、古性が阪神甲子園球場のマウンドに立った。

その日の阪神×千葉ロッテ戦は「第74回高松宮記念杯競輪」と「第1回パールカップ」をPRする冠協賛試合「岸和田けいりんナイター」で、古性は選手代表として始球式に登場。

グランプリのユニホーム姿で登板した古性は、ストライク投球でスタンドを盛り上げると「自分が小学生のときに苦手だった野球で始球式ができるなんて。本当に緊張しました」と笑顔を見せ「バッターに当てないように、キャッチャーを目がけて、しっかり投げることができた」と振り返り、競輪アピールに一役買った。

 

始球式の古性雄作

 

今年は2月にGⅠ全日本選抜競輪でV。

すでにグランプリの出場権を獲得している。

合計28走、1着14回で勝率は5割、3連対率は驚異の8割超えと安定感を誇る。

 

直前の5月全プロ記念競輪も連勝。

2日目メインのスーパープロピストレーサー賞は近畿勢がそろい、盟友である脇本雄太(福井)と別線勝負を選択し、後方に置かれた脇本を後目にまくりを決めて圧勝した。

 

「日本選手権(平塚)は感触が良くなかったけど、動作解析をして戦える手応えをつかめた。次も楽しみですね」。

次とはまさに宮記念杯。

万全の状態で連覇を目指す。

 

 

今回から史上初のガールズGⅠ「パールカップ」が新設され6日制に生まれ変わる「高松宮記念杯競輪」。

今年4月に岸和田市公営競技事業所長に就任した、松下貴志所長に岸和田競輪の将来像などについて話を聞いた。

 

岸和田市公営競技事業所・松下貴志所長

 

「今までは主に街づくりの仕事をしていた。競輪は歴史もあっていろいろな団体が関わっていてすごいですね」と話す松下所長。

 

岸和田市の職員として数々の部署を経験してきたが、公営競技に携わるのは初めて。

未知の世界だが、それだけに希望も膨らむ。

「ネットのおかげで売り上げは好調だが、いずれ頭打ちになる。競輪を盛り上げるためにもまずは来場者を増やす努力をしたい。女性や子どもなど今まで競輪が身近でなかったお客さんを呼びたい」と、競輪場と市民の距離感を縮めることを意識している。

 

一つ目はコロナ前まで毎年夏に開催していた「夕涼み会」の復活だ。

たこ焼きなどが100円で楽しめるミニ縁日、ダンスなどの発表会、選手会の脚自慢大会など、誰でも楽しめる催しが盛りだくさんで近隣住民が大勢集まっていた。

 

「岸和田はご存じのとおり、だんじりの町。町会が強く、〇〇町の青年会、婦人会が出店するなら応援にいかなくちゃと人が集まってくれます」。

今年は4年ぶりに実施を予定(8月21日)している。

 

二つ目は他のスポーツ競技との交流だ。

手始めに行われたのが、甲子園球場での「岸和田けいりんナイター」。

古性の始球式以外にも、昨年まで阪神の監督を務めた矢野燿大氏を大会CMに起用し、阪神戦を中継するサンテレビを中心に放映した。

 

そして、多くの集客が期待できる今大会でのイベントだ。

〝ケイリンはスポーツ〟をコンセプトとして、イベントにはプロゴルファーの古閑美保(13日)、レスリング元日本代表の吉田沙保里氏(15日)、決勝日(18日)には今大会のCMにも出演している矢野氏、元阪神の能見篤史氏のトークショーが行われる。

 

「岸和田けいりんナイター」では、古性による始球式が行われたほか、試合開始前には大阪支部のガールズレーサー、白井美早子と豊岡英子が両チームに対して花束の贈呈を行った。

 

プロ野球交流戦阪神対ロッテ

 

また、球場外のイベントスペースでは、競輪・オートレースの売り上げの一部が原資となる「競輪とオートレースの補助事業」PRブースも出展された。

 

補助事業ブース

 

 

「プロスポーツ競技のまんなかへ」。

昨年10周年を迎えたガールズケイリンはリブランディングを実施し、今年からGⅠである「パールカップ」「オールガールズクラシック」「競輪祭女子王座決定戦」の3大会が新設された。

 

先陣を切って行われるのが「第1回パールカップ」。

優勝者にはガールズグランプリ2023(GP・12月29日立川競輪場)への出場権が与えられる。

 

そんなビッグレース出場を夢見る大阪期待のガールズ大型新人が7月に本デビューを控えている。

124期生の松井優佳(大阪)は在所成績第2位、卒業記念レースで完全優勝を果たした。

 

松井優佳

 

幼少時に始めたトライアスロン競技で自転車のおもしろさに開眼。

高校から自転車競技をはじめ、同志社大学時代にはインカレスプリント、500㍍タイムトライアルで優勝するなど活躍した後、養成所入りした。

 

普段はバンク練習中心で憧れの古性優作(大阪)とも汗を流す。

「古性さんがセッティングを見てくれます。『落ち着いて頑張れ』と声もかけてくれます」

 

5月には高松宮記念杯出場選手の練習にも参加。

パールカップに出場する近畿地区の柳原真緒(福井)、坂口楓華(京都)らを目の当たりにし「すごかったです。全体的に自分はまだまだ力が足りないと感じました」とガールズトップレーサーの強さを肌で感じた。

 

もちろん、松井も来年以降の出場をもくろむ。

「地元で大きいレースがあるのはお客さんも多くてうれしいです。少しずつでも力をつけていつかは走りたいです」。

 

今大会では2日目(14日)、地元新人紹介のイベントに同期の木下宙、中瀬由真とともに参加する。

「お客さんも多いと思うので名前と顔を覚えてもらいたいです」

 

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