【夕刊フジ】19日から弥彦競輪場で「第32回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」(GⅠ)が開催
2023.10.19
夕刊フジ 10月18日発行号掲載
神や仏の宿る場所は訪れることで御利益が期待できる〝パワースポット〟と呼ばれる。
新潟県西蒲原郡弥彦村は彌彦神社、弥彦山などがあり訪れれば心が浄化される、新潟県で随一のパワースポットとして名高い。
そんな彌彦神社の境内にあるのが日本で唯一の村営公営競技場の弥彦競輪場だ。
前出のパワースポットとともに一度は訪れたい風光明媚な弥彦競輪場を紹介する。
弥彦競輪場
話を伺った、弥彦競輪を主催する弥彦村産業部公営競技事務所の栁川治美所長は、昨年4月に着任。
全国でも珍しい女性所長だ。
弥彦競輪 栁川治美公営競技事務所長
過去にも2度、競輪場で勤務したことがあり競輪にもなじみが深い。
そして生まれも育ちも弥彦村。
弥彦を語ってもらうにはうってつけの人物だ。
「10月からは弥彦の観光シーズンです。弥彦村の秋の食、景観、旅情を楽しんでください」
観光シーズン真っただ中の19日から22日までの4日間、弥彦競輪場では「第32回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」(GⅠ)という競輪のビッグレースが開催される。
その開催時ころから弥彦村付近では紅葉が始まり、11月には彌彦神社境内で「弥彦菊まつり」(11月1日~24日・新潟県菊花展覧会)が行われる。
2021年、大幅にリニューアルされた弥彦公園内のもみじ谷はLEDライトでライトアップされ、池に映る「逆さもみじ」の美しさも評判だ。
弥彦公園もみじ谷
親王牌開催中は弥彦公園に隣接している防災機能付き多目的施設「ヤホール」にてユーチューブの競輪中継「本気の競輪TV」の公開生配信が行われる。
さらに弥彦競輪場=彌彦神社=ヤホール=弥彦駅を循環するミニファンバスが走る。
「観光に来た方がヤホールで『競輪もやってるの?』と競輪場に来ていただいたり、競輪観戦にいらした方が観光もしたり、一日中弥彦で遊べるようになっています」。
ミニファンバスは乗車時にオリジナルカレーパン、競輪場も先着1000人にオリジナルグッズのプレゼントがあり、至れり尽くせりだ。
9月にはNHKの「ブラタモリ」で燕三条がモノづくりの町として特集され、一行が最後にたどり着いたのが弥彦競輪場だった。
「反響がすごかったです。モノづくりの職人たちを支えたのは競輪場という紹介も競輪のイメージアップになりました」。
弥彦村に行くなら今だ。
栁川所長は弥彦小、弥彦中の出身。
「小学校時代には社会科見学で弥彦競輪場に行った記憶があります。
『わたしたちの弥彦村』という社会科副読本にはもちろん競輪場の紹介もあります」と弥彦村民にとって競輪場は非常に身近な存在で、弥彦競輪の売り上げは村民の生活にも大きく役立てられている。
競輪の売り上げを財源とし、2022年9月からは保育園、小中学校の給食が無料化。
昨年度は村の一般会計に2億5000万円を繰り出している。
「村の予算が50~60億円なので占める割合はかなり大きいですね」(栁川所長)。
また、弥彦村総合コミュニティーセンターと弥彦体育館の管理運営を行う、一般財団法人「弥彦サイクリングパーク(CP)」にも弥彦競輪の収益が充てられている。
弥彦CPの事業としてはこのほかにも、自転車競技の普及を図ることを目的とした「CLUB SPIRITS(クラブスピリッツ)事業」がある。
クラブスピリッツは2010年に誕生。
2012年7月に誕生するガールズケイリンの選手育成も目的の一つで、田中麻衣美(引退)、加瀬加奈子、藤原亜衣里、中川諒子(2017年に熊本へ移籍)が在籍し、4人そろってガールズ1期生(102期)としてデビューした。
現在も日本競輪選手養成所合格を目指す「エキスパートクラス」と老若男女を問わず参加できる「フレンドリークラス」があり、エキスパートクラスはこれまでにガールズ7人、男子10人が養成所に合格している。
指導は主に元選手の小川隆氏(45期・引退)があたっており、加瀬加奈子ら現役選手が指導することもある。
クラブスピリッツで指導をする加瀬加奈子
競輪ファンになじみ深いのは、クラブスピリッツの前身として2005年に発足した、レディースケイリンレーシングチーム「すぴRits」(RitsはRacing Instruction Team Specialの略)だろう。
栁川所長は、以前の競輪場勤務時には「すぴRits」のマネジャー的存在として同行し、全国の競輪場を巡った。
「ファンクラブもあって追っかけの人がついてきていました」と当時の人気を振り返る。
すぴRitsには田中(当時は畑中まいみ)が在籍していたこともあり、ガールズケイリンの復活を後押しし、現在活動しているクラブスピリッツの原点とも言えるのではないか。
すぴRitsがメインビジュアルのポスター
弥彦競輪場で親王牌が開催されたのは2011~15年、21年で今回は2年ぶり7回目になる。
その全開催で出場を果たしているのが地元の諸橋愛(新潟)だ。
諸橋愛
初回の11年は初日に失格して契約解除。
その後も勝ち上がりに苦戦し、落車もあり好成績を上げられなかったが、21年の大会はついに決勝進出を果たした。
「地元のGⅠは最後かもしれない」の思いで挑んだ大会で執念を見せた。
それから2年。
来年も親王牌は弥彦での開催が決定しているが「もちろん出場は狙うけど現状では厳しい。今回が最後のつもりで戦う」。
46歳。ビッグレースでは年上の選手も少なくなってきた。
これからはS級でのいろいろな最年長記録も狙えるが「全然、意識していない。レースは自分が勝つか、負けるかだけ」。
今年7月には通算400勝を達成したが「400勝もただの通過点」と勝敗以外に興味は示さない。
諸橋の強さを支えるのは「練習はほとんど休まない。競走参加の移動で練習できない時以外は」という絶対的な練習量。
若い時は「練習の後、脚が痛くて四つん這いで階段を上って寝床へ行く」のが毎日だった。
練習内容は「ラーメン屋の秘伝のタレと一緒で企業秘密」と敵に手の内は明かさない。
そのため、基本的に練習は一人だが、合宿練習で他県の若手と一緒になることもある。
「諸橋さんてこんなすごい練習してるんですか…」と大抵の選手は先にバテてしまうという。
「〇〇君(中部の若手有望選手)がへばってて『やったな』って思った」というから内容は推して知るべしだ。
失格の影響で9月はあっせんがなかった。
「失格したくはなかったけど、親王牌に仕上げるためにはいい休み」と集中して〝地獄の〟猛練習を敢行した。
体重を落とすために今、流行りの「16時間ダイエット」にもチャレンジした。
「すぐに体重が落ちてスタミナも落ちたので少し摂取カロリーを増やして落ち着かせた」。
筋力もアップし「数値的にはデビューしてから一番いい」とすべてにおいて万全だ。
今回は新潟からの出場は一人。
「プレッシャーはあるけど受け止める。やることはやってきた」と練習で裏付けされた自信を武器に挑む。
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