『GⅠ競輪祭』11月21日開幕 北九州市公営競技局の中村彰雄局長に聞く

2023.11.20

夕刊フジ 11月20日発行号掲載

 

11月20日は競輪発祥の日。

ちょうど75年前の1948年、競輪は福岡県小倉市(現・北九州市)で産声を上げた。

その地で今年もビッグレースが開催される。

「第65回競輪祭」(GⅠ)は21日から26日の6日間、小倉競輪場のナイターで行われる。

今年からはガールズケイリンのGⅠ「第1回競輪祭女子王座戦」も前半3日間(21-23日)で争われる。

そこで北九州市公営競技局長の中村彰雄氏にインタビューを敢行した。

 

北九州市公営競技局・中村彰雄局長

 

中村局長は同職に今年4月に就任。

公営競技事業に関わるのは今回が初めてだ。

出身が同市門司区のため「幼少のころ、父親に連れられて門司競輪場に行ったことがあります。また、門司バンク内には陸上競技場があったのでそこで大会に参加したこともあります」と競輪場が身近な存在だったと話す。

 

そして「市役所の中では公営事業は珍しく、利益の上がる仕事内容なのでそこはおもしろいですね」と市役所では異色の職場にも意欲的。

実際、小倉競輪の収益はこれまで327億円が市の財政に繰り入れられているほか、98年に建設された全天候型多目的施設「北九州メディアドーム」(小倉競輪場)建設費の全額が競輪の収益で賄われるなど、市民への貢献度は大きい。

 

北九州メディアドーム

 

自転車競技法は1948年7月、地方財政寄与、戦災都市復興および自転車産業振興を目的として国会で可決された。

その年の10月に福岡県で開催される、第3回国民体育大会のために小倉市三萩野(現・小倉北区三萩野)に自転車競技場が建設されることから「そこで競輪をやろう」という案が浮上し、11月20日に日本初の競輪が開催されたのが小倉だ。

 

競輪を統括するJKAは11月20日を「競輪発祥の日」とするべく日本記念日協会に申請し、今年から「競輪発祥の日」として認定された。

今年は小倉市、門司市、若松市、八幡市、戸畑市が合併した北九州市の市制60周年の節目の年でもある。

 

今月6日には「北九州市が競輪発祥の地であり、長年、競輪に貢献している」とJKAから感謝状が北九州市に贈られた。

「北九州市民はもちろん、全国的にも北九州の小倉が競輪の発祥の地ということの認知度が上がったのがありがたいですね」と中村局長は語る。

 

JKAから北九州市への感謝状贈呈

 

現在、小倉競輪が行われている北九州メディアドームは全天候型多目的施設で、約1万8000人の収容力を生かして、北九州市の成人式やコンサートなど幅広く利用されている。

イベント時の控室は会議室として貸し出されるほか、バンク内側のアリーナスペースで地元の保育園や幼稚園の運動会が開かれるなど、北九州市民に親しまれる施設として定着している。

 

北九州メディアドーム 内観

 

また、今年10月6-9日には自転車のロードレース大会「ツール・ド・九州2023」が国内外18チームを集め、初めて開催された。

福岡、熊本、大分の3県にまたがってのコースで福岡ステージのスタート地点は自転車競技とゆかりの深いメディアドームが選ばれた。

「沿道に観客が非常に多く、盛り上がりました。これもドームの有効活用ですし、サイクルスポーツの普及にもつながっていると感じています」(中村局長)

 

競輪においても全国で数少ない全天候型バンクなので、真夏でも真冬でも快適に競輪観戦ができるのが売り。

スーパーロイヤル席、ロイヤル席、ラウンジ席、指定席などの幅広い種類の有料席はもちろん、入場料だけで利用できる一般席でも熱戦を存分に堪能できる。

 

競輪祭開催中は4年ぶりにアリーナでのイベントを再開し、巨大迷路やボルダリングなど、子供が楽しめるイベントを多数用意。

25、26日には東京五輪、スポーツクライミング女子銅メダルの野口啓代さんによるクライミング教室も行われる。

 

競輪ファンというよりも市民へのエンタメ提供を目的としたイベントだが競輪観戦ももちろん可能。

全国的に見てもバンク内から観戦できる競輪場は限られており、バンクの傾斜やスピード感をより感じることができる。

 

中村局長は「ネットでの売り上げが好調ですが、コロナの制約もなくなったので今後は本場の入場者を増やすことも目指しています。そのため、イベントもたくさん用意しております」と競輪祭に多数の来場者が訪れることに期待をしていた。

 

 

競輪祭は年に6回あるGⅠの最後の大会でKEIRINグランプリ2023(立川・12月30日)の出場選手が確定することもあり、注目度の高いシリーズだ。

今回は地元福岡から5人が出場を果たした。園田匠、小川勇介、北津留翼、岩谷拓磨の小倉所属4人と久留米所属の野田源一。

 

園田匠

 

新設された女子王座戦は28人が出場。

優勝者にはガールズグランプリ(GGP)2023(立川・12月29日)出場権が与えられるため、賞金では出場がかなわない選手たちも気合が入る。

福岡からは児玉碧衣、林真奈美、尾方真生が出場する。

優勝候補の児玉は6月GⅠパールカップVでGGP出場は確定しているが、もちろんここでも打倒・佐藤水菜(神奈川)を掲げて優勝を狙ってくる。

 

児玉碧衣

 

初日の開会式(21日・13時20分~)ではシンガー・ソングライター、Chayのオープニングライブがあるほか、女子王座戦参加選手全員がバンク内に登場する。

また、敢闘宣言は園田と児玉が務める。

 

 

16、17日に東京・新橋のSL広場で行われた「新橋イルミネーションフェスタ」では競輪祭のPRブースを出展したほか、北九州の食文化発信コーナーとして角打ちコーナーも用意。

17日には小倉けいりんキャンペーンユニット「スペースエンジェルズ」らがステージイベントに出演し、競輪祭開催を告知した。

 

新橋イルミフェスタ イベント

 

会場には競輪祭以外の競輪関連ブースも設けられ、「競輪とオートレースの補助事業」ブースでは、競輪とオートレースの売り上げの一部を原資として、地域産業の振興や福祉車両の導入など、社会的課題を解決するために補助金を助成する同事業を紹介。

身近な例として東京都内で同事業を活用した例がパネル展示された。

 

新橋イルミフェスタ JKA補助事業ブース

 

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