【夕刊フジ】自転車競技の〝金の卵〟発掘へ 岐阜競輪の前田仁・開催執務委員長に聞く
2024.02.08
夕刊フジ 2月8日発行号掲載
究極のハイブリット施設が誕生ー。
岐阜競輪場は岐阜市が主催する岐阜競輪を行う競技場であるのはもちろん、日本自転車競技連盟と提携し、自転車競技者育成の施設として稼働することになった。
GⅠ「全日本選抜競輪」開催を控えた、前田仁・開催執務委員長が新たなる岐阜競輪を語る。
昨年12月、岐阜競輪の施行者である岐阜市と日本自転車競技連盟(JCF)が自転車競技文化の醸成による地域活性化に関する連携協定を締結した。
連携協定締結式 ©JCF
岐阜市は施設の提供を実施し、JCFは施設を利用して強化選手の合宿、地域での講演(小・中・高校を想定)、トレーニング機器の設置、指導者の育成などを行い、JCFの下部組織であるHPCJC(High Performance Center of Japan Cycling)の知見を広げて自転車競技の文化の醸成を図る。
岐阜競輪場のバック側には今年1月、鉄骨2階建ての新管理棟が完成した。
そこにはホーム側の観客席から見える位置に「岐阜けいりん×HPCJC」の文字が輝く。「岐阜の覚悟です」と前田氏は話す。
「単なる公営競技としての競輪場だけではなく、自転車競技でオリンピックを目指す競技者を育てる。競輪と自転車競技という文化を今後につなげたい」
今月下旬から順次、ナショナルチーム(日本代表)が使用している最新鋭のトレーニング機器が管理棟内に設置される。
すでにそれの使い方を学びに、岐阜県登録の現役選手と自転車競技の強豪選手が多い朝日大学のコーチがナショナルチームの練習地である静岡・修善寺に研修に出向いている。
「これらの機器は競輪選手はもちろん、岐阜競輪場で練習する大学生、高校生も使用できます」。
岐阜競輪場付近には大学・高校の自転車部強豪校が多い。
その結果、岐阜県の選手の力が底上げされれば「競輪選手は商品でもある。
強くなってくれれば商品価値が上がる。
また環境のいい岐阜で練習したいという選手も増えればさらにいいですね」とウィンウィンの効果が期待できる。
今年下半期にはナショナルチームの合宿も予定されている。
「代表選手が合宿する際に近隣の小中学校で講演などもしてもらえれば、競輪、自転車競技を知ってもらえる。海外からのコーチも講演してくれればさらにいいですね。キャリア教育にもなるし、地域としてうまく回っていくでしょう」。
夜間照明も導入され、念願だったナイターとミッドナイトの開催も令和6年度から実施される。
「演出照明も設置しました。池の水面が鏡みたいになってとても華やかで、楽しんでいただけると思います」。
岐阜競輪は1949年の開設以来、黒字経営を続けており、市の財政にも大きく貢献している。
収益の多いミッドナイトを行うようになれば「経営基盤の安定につながる」と前置きしたうえで、「収益はもちろん大事だがそれだけではない。選手育成など社会貢献も大切です」と前田氏。
岐阜競輪場をステップにメダリストが誕生するのも夢ではないだろう。
岐阜競輪場
新管理棟には競輪場では初となる女性専用(宿泊室、浴室)エリアが用意された。
前田氏は「人口減少が懸念される中で現在の42場を維持するためや、競輪という文化を残していくためには今後、ガールズケイリンは重要」と話す。
通常4日間、缶詰め状態になる選手にストレスがないようにいろいろな配慮がされている。
選手は開催中は指定練習、競走以外はなかなか屋外に出られないため「空が見たいとう声もあることから」と2階に屋外リフレッシュスペースも設置された。
岐阜は食事がおいしいと選手間でも評判で食、住空間が充実なら岐阜競輪場が一番好き、というガールズ選手が増えそうで「そうなればうれしいです」と前田氏もほほ笑む。
選手控室
ローラー室
岐阜競輪場のマスコットキャラクターは、ぎふ長良川鵜飼のマスコットキャラクターでもある「うーたん」。
長良川名物の鵜飼の鵜がモデルになっている。
そのうーたんが新管理棟の中央にある選手出入口の敢闘門のシャッターにアメコミ風に擬人化されて描かれている。
敢闘門
「通常が〝うーたん〟ならこちらは〝うーぱーまん〟でしょうか。記念開催時のキャラクターとしても親しまれています」。
バンク内の池の水が防火用水として使用されるため、消防車が通れる規模の大型シャッターでヨコ約6㍍30㌢、タテ約3㍍の大迫力だ。
こちらは一見の価値がある。
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