【夕刊フジ】GⅠ『オールガールズクラシック』26日開幕 久留米市商工観光労働部競輪事業課の矢野功治課長に聞く

2024.04.25

夕刊フジ 4月25日発行号掲載

 

福岡県久留米市は福岡市、北九州市に次ぐ福岡県3番目の人口を有する中核市で松田聖子、チェッカーズなど著名なスターの出身地としても有名な地である。スポーツ界でも〝世界のナカノ〟こと元競輪選手の中野浩一氏も久留米市出身だ。

その久留米市の久留米競輪場でガールズケイリンのGⅠ『オールガールズクラシック』が26日から開催される。

大会を前に久留米競輪を施行する、久留米市商工観光労働部競輪事業課の矢野功治課長にこれまでの久留米競輪、そして将来像について話を聞いた。

 

 

自転車競技世界選手権の個人スプリントで前人未到の10連覇を果たした中野浩一氏(35期・1992年引退)は久留米競輪場をホームバンクとしていた。

年に1回開催される開設記念競輪(GⅢ)はその名も「中野カップレース」と名付けられ今年で30回目を迎える。

 

昨年の中野カップ

 

スーパースターを生んだ久留米競輪だが、その収益は市の一般会計に繰り入れられ、市民生活に必要な事業に活用。その額は1949年の開設から、2023年度までの間で総額約390億円に達し、久留米市民の生活向上に大きく役立てられている。

近年も売り上げは好調で「2023年度は収益が約15億円あったので4億円を繰り入れる予定を補正して5億円を入れました。今年度は補正なしで最初から5億円の予定です」と力を込める。

 

昨年3月、久留米市は競輪場の再整備基本計画を発表した。基本コンセプトは「PARK in KEIRIN―競輪場に公園の価値を創る―」。

計画では現在ホーム側にある選手宿舎、管理棟をバック側に移転、メインスタンドは現在よりもコンパクトなものに建て替えられる。

その狙いについて「ネット投票へ移行するお客さまも多いという現状を踏まえ、適切な規模の施設にする必要があります」と話す。

それにより新たに生まれるスペースは芝生観覧スペースとして整備され、市民の憩いの場として活用される予定だ。

 

整備期間は約6年。今年度から2年間を調査設計期間として、選手宿舎、管理棟が移転する第1期工事は27年度、メインスタンドが新設される第2期工事は29年度に完了予定。その後、芝生観覧スペースなどが整備され30年度に全ての工事が完了する予定だ。

競輪場の隣にはBMXコースや変わり種自転車が用意された「久留米サイクルファミリーパーク」という自転車のテーマパークがあるが、今回の工事が完了すると両施設間の回遊性が増し「競輪場、サイクルファミリーパークも含めて自然の中で過ごしてもらえるようなエリアになります」と、全体が市民の憩いの場に生まれ変わる構想だ。

 

久留米競輪 再整備パース

 

今回の計画は開設以来の大規模な工事となるが、期間中もバンクは使用できるので競輪は開催される。その理由を「競輪事業の目的はできるだけ多く収益を上げて一般会計に繰り出すことなので開催は行っていきたい。また、雇用という視点でも開催することが重要です」と競輪開催の〝一丁目一番地〟を強調。

これからも工事完了後も久留米競輪は〝縁の下の力持ち〟として、久留米市民の生活向上のために競輪を開催し続ける。

 

久留米市と日本競輪選手会福岡支部は、競輪界では珍しい産官学連携の取り組みとして、市内に拠点を置く久留米大学(久大)などと「久留米競輪所属選手が行う筋力アップなどのトレーニング」に関する事業連携協定を2019年に締結している。

久留米競輪場内のトレーニングルームに久留米大学医学部整形外科学講座の研究グループとパナソニックが開発した「ひざトレーナー」が貸与。

さらに、日本エイピーアイが製造し、JAXAのはやぶさⅡの施設や東京大学宇宙線研究所(カミオカンデ)などの研究施設でも使用されている「高感度ガス分析装置APIMS」が導入され、トレーニング中に選手が出した息などの生体ガスから、さまざまなデータを分析し効果的なトレーニング方法が助言されている。

 

また、久大は九州医学専門学校を前身としていることから医学部が強く、そのネットワークでソフトバンクホークスをはじめとする野球選手への治療など、スポーツ医学で有名な久恒病院(福岡県糟屋郡志免町)でメディカルチェックを行うことも多い。

その効果について矢野課長は「尾方選手は最初にチェックを受けたときには肩甲骨周りのインナーマッスルが弱いと診断されたため重点的にトレーニングをしたら、成績が良くなったそうです」と話し、着実に成果が出ているようだ。

 

23年度は「競輪選手の理学療法所見とシミュレーション解析に関する共同研究業務」としてメディカルチェックや理学療法士によるインナーマッスル、体幹の運動指導や効率的なペダリングシミュレーションによる身体的負荷の検討と予測が実施され、本年度も同じ内容で研究が続けられている。

 

久留米競輪場

 

 

久留米競輪場は児玉碧衣、小林優香、尾方真生らガールズケイリンのトップレーサーがホームバンクとしており、全国から注目を浴びている。

そんなガールズレーサーの〝聖地〟的存在の久留米競輪場で開催されるのが、GⅠ「第2回オールガールズクラシック」。

ガールズケイリンリブランディングにより2023年に新設されたGⅠ大会で、全てのレースでガールズ選手が走る唯一の大会である。

「昨年、第1回大会が松戸で行われ、ウチでもぜひやりたいと思っていました。久留米はガールズケイリンの強い選手がたくさんいるので、ビッグレースを開催すればさらに彼女たちのモチベーションも上がるでしょう」と矢野課長は娘を見る父親のような笑顔で話す。

久留米からは小林、児玉、林真奈美、尾方、廣木まこの5人が出場する。

 

開催中はお笑いライブやアスリートのトークショー、「爆上戦隊ブンブンジャーショー」などのイベントが数多く用意されているが、その狙いについて「楽しい満足感のあるイベントで久留米に競輪場があってよかったと思ってもらえるように」とにこやかに語った。

 

児玉碧衣、小林優香

 

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