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<前編>陸上競技、自転車競技で活躍した124期・五味田奈穂 今年後半戦は初の優勝へ!【松本直のガールズケイリンちょっとイイ話】

特別企画 2024.07.05



“ミスターガールズケイリン”の異名を持つデイリースポーツ・松本直記者しか知らない、ガールズ選手の秘話や“いい話”を紹介します。




五味田奈穂は埼玉県ふじみ野市の出身。8歳上の姉、3歳上の兄と3人きょうだいで育った。

小さい頃から活発で水泳、フットサル、合気道といろいろなスポーツに挑戦した。

母がピアノの先生をやっていたこともあり、バイオリンにも挑戦。4歳から始めると中学卒業まで続けたそうだ。


「バイオリン弾けるんです。姉、兄はピアノをしていたけど、3人ともピアノじゃ面白くないでしょって感じで私はバイオリンになりました。マイバイオリンを持っているけど、今は実家のどこかでほこりをかぶっているかもしれないですね。

今後、第5の人生くらいの時、バイオリンを弾くような優雅な時間を過ごしてみたいですね」




中学校は地元ふじみ野市の公立中学校へ進学。

勉強に部活、友だちとの遊びと中学生活を楽しんだ。


「中学では足が速かったこともあり、陸上競技部に入った。体育祭でもリレーの選手に選ばれていたので、地元の中学校では割とスターでしたね(笑)。

部活では100メートル走と幅跳びをやっていた。市内ではだいたい1位か2位で、埼玉県大会に出るレベルでした」


また、この中学校の同級生にはガールズケイリン選手の青木美保もいたそうだ。

「青木美保ちゃんはバレーボール部。うちの中学校の女子バレーボール部は格好良くてキラキラしていたんです。

当時は青木美保ちゃんとそんなにお話をしたことはなかったけど、今同じガールズケイリン選手をやっているのはすごい偶然ですよね」



高校は私立の埼玉栄高校に進学した。

「高校は公立の行きたい学校があったので一生懸命勉強をしたんです。でも私立の埼玉栄高校にも興味があり、学校見学に行った時、『この高校に行きたい』って思ったんです。

高校でも陸上競技を頑張りたいと思っていた。埼玉栄は埼玉県内で陸上競技の強豪校。県内大会レベルの自分でも、日本一になる努力をしている人たちと過ごす高校生活は、その先に得られるものがあるんじゃないかと思って、この高校に入りたいと思いました」


陸上競技の強豪校に入ると、五味田奈穂の才能は開花。県大会出場レベルからインターハイ出場を果たすまでステップアップに成功した。


「高校の陸上競技部はレベルが高かった。最初は幅跳びをやりたかったけど枠がいっぱいだった。足を速くすれば幅跳びにも生きるかなと思って頑張っていたら、距離が長めの種目が自分に合っていることがわかったんです。

高校1年生の冬から400メートル走に転向して、その後、高校2年生の時には400メートルハードル。高校3年生のインターハイでは400メートルハードルと4×400メートルリレーと2つの種目で準決勝まで行くことができました」




高校生活3年間は陸上競技に熱中。そのあとの進路は順天堂大学に進むことしか考えていなかったそうだ。 きっかけは3歳上の兄が自宅に持って帰ってきた順天堂大学のパンプレットだった。


「中学生の時に、順天堂大学のパンフレットを見て電流が走ったんですよ。『私、この大学に行きたい!』ってなったんです。運動が好きで体育を学べることが大きかったのかも。あとは順天堂大学以外知らなかったっていうのもあると思います」


大学は順天堂一本に絞って受験に向けて動き出した。

当時の順天堂大学はAO入試があり、ペーパーテストとは違い、出願書類や面接、小論文が合否を分けた。


「コミュニケーション能力、協調性が評価される入試だったんです。倍率も高くて、陸上競技部の先輩たちも落ちてしまっていたので、とりあえず受けてみるかと。

そしたら受験票の下2桁が『53』だったんです(笑)。53=五味。これ受かるじゃんって思って試験に臨んだら合格。こんなことあるんだなってびっくりしました」




自転車競技との出会いは大学時代。

大学でも陸上競技を続けるつもりだったが、高校3年生の1月、大学の事前研修が大きなターニングポイントになった。

自転車競技部の顧問の勧誘で自転車への興味が湧いてきた。


「陸上競技をやるつもりでキャンパスに行ったけど、自転車競技部から声をかけてもらったんです。『陸上でこの成績を残せているなら、日本一になれるよ。うちの部活にはインターハイを連覇した人がいるし、自転車をやってみませんか』って声をかけてもらったんです。

高校の恩師に相談をしたら『新しいことを始めてみるのもいいんじゃない』と言われました。

迷っている時期に大学の自転車競技部の先輩たちから連絡をもらうこともありました。『大会、見に来てください』とか、すごく対応がよかったんです。家も金銭的に少し余裕があったこともあり自転車も用意することができた。

いろんなことが重なって、神様から『自転車をやってみなさい』って言われているような気もしたので、やってみることにしました」


写真上段左から高橋美沙紀、五味田、松井優佳、下段左から宇野紅音神戸暖稀羽


最初はがむしゃらに先輩たちの練習に必死についていくだけだった。自転車のことはなにもわからなかったので、1、2年の頃は苦労した。

それでも辞めようという気持ちにはならなかったそうだ。


「自分の意思で始めたこと。とにかく練習は真面目にやりました。そうしているうちに3年生になると結果を出すことができました」


2018年に伊豆ベロドロームで行われた全日本大学対抗選手権自転車競技大会(以下・インカレ)で五味田奈穂は3キロインディヴィデュアルパーシュートとチームスプリントで3位に入った。



この頃はガールズケイリン選手になることは一切頭にはなかった。保健体育の教員免許をとって、先生になるつもりだった。

大学4年生のインカレも昨年と同様に3キロインディヴィデュアルパーシュートとチームスプリントで3位。

大学で日本一になるという目標は達成することはできなかった。


「4年生の大会が終わって、このまま自転車競技を辞めるのはもったいないなって思ったんです。やり切っている感じがしなかった。

陸上競技は6年間やってようやく最後の1年で成績を残せた。自転車競技も4年間で成績を残せるわけがないって思ったんです。大学院に行って競技を続けようと思いました」




■後編はコチラ



五味田奈穂 Nao Itsumida


誕生日:1997年10月14日

身長:165.1cm

期別:124期

登録地:千葉



松本直 Suguru Matsumoto



誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ(競輪記者歴13年)


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