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<前編>産休を経て今年7月に復帰した中嶋里美 レース勘を取り戻しGⅠ出場へ! 【松本直のガールズケイリンちょっとイイ話】

特別企画 2024.12.06



“ミスターガールズケイリン”の異名を持つデイリースポーツ・松本直記者しか知らない、ガールズ選手の秘話や“いい話”を紹介します。




中嶋里美は長野県安曇野市出身。

一人っ子だったが、父やいとこと一緒に体を動かすことが大好きな活発な女の子だった。



小学4年生から村のスポーツ少年団に入ってバレーボールに熱中した。

中学でもバレーボール部に入り、生徒会の副会長も務めてスクールライフを満喫した。



高校は自転車で通える近隣の学校を選択。ソフトボール部に入ろうかと悩んだが、先輩に誘われバレーボール部の練習に行き入部を決心。強豪校ではなかったが、高校でも3年間バレーボールに取り組む日々を送ることとなった。


高校卒業後の進路は自分の意思を貫いた。

「宝塚歌劇団が好きなので、関西に行きたいとずっと思っていた。高校に京都の短大の案内が貼られていて、友だちとオープンキャンパスに行きました。自分は運動と栄養について勉強したいと思っていました。大学のオープンキャンパスに行くと自分のやりたいことができそうな雰囲気だったし、ここで勉強をしたいと思ってAO入試で行きました」



京都文教短期大学での2年間は充実していたそうだ。

「親元を離れて京都で1人暮らしもできて、大学生活は楽しかったですね」

よさこいを踊るサークルやフットサルのサークルに参加。バイトは京都駅にあるホテルグランヴィア京都でルームサービスを運ぶ仕事をしていたそうだ。


大学卒業後は関西に残り、スポーツ系の仕事をしていこうと思っていたそうだが、「母が『地元に帰ってきなよ。親戚が働いている会社で今年は求人があるみたいだよ』って声を掛けてくれたんです。関西にそこまで強い思い入れがあったわけじゃないし、『就職試験を受けてみるか』くらいの軽い気持ちで受けたら、受かったので長野の実家へ戻ることになりました」


長野に戻って仕事を始めたのが2011年4月。就職した会社が東京電力の子会社で東日本大震災の直後ということもあり、6月には就職先が解散になってしまったそうだ。

「4月に入社して東京に研修へ行き、長野の上高地にある梓川テプコ館の配属になりました。ダムの説明をする仕事だったんですが、施設が開館できないことになり、6月で解散になりました」


大学卒業後に初めて就いた仕事は3カ月で終了。途方に暮れていたときに知り合いから「暇ならバイトにおいでよ」と声を掛けられて、建設会社で事務職をスタートさせた。



事務職に不満はなかったが、心の中にスポーツ関係の仕事への思いはずっとあった。

「体を動かして仕事をしたい!」

南海キャンディーズのしずちゃんが、ボクシングでオリンピックに挑戦している姿を見て刺激を受けていた。

「しずちゃんがボクシングをしている姿は格好いいと思って見ていた。でもボクシングは痛そうだし、何かないかなと探している時期がありました」


そう思ってインターネットを検索していると、「ガールズケイリン」という見たことも聞いたこともないスポーツを発見した。

「ちょうど2期生の募集が終わった時期でした。募集が終わっていたので、とりあえずロードバイクを買って休みの日に乗り始めました。自転車の経験は全くなかったので、ロードバイクに乗っている人たちにいろいろ聞きながら、趣味のレベルでスタートしました」


翌年の夏、JKAが主催する「ガールズサマーキャンプ(現・トラックサイクリングキャンプ)」に初めて参加。その場所にはガールズケイリン3期生として受験を控えているメンバーが多数いた。


「自分は初心者グループで奥井(迪)さんと一緒でした。奥井さんは秋の試験を受ける予定で、自分と同じグループにいたけど、全然力が違った。奥井さんが試験を受けるなら、自分の今の状態で受験してもこれは落ちるなとその場で悟りました。3期生の試験は受けることはせず、自転車で遊んでいる日々を過ごしていました」



プロスポーツ選手への憧れは心のどこかにあったが、ガールズケイリンでデビューした奥井迪の姿を見て「ここで勝負してみたい」と挑戦を決意した。


「ガールズサマーキャンプで一緒だった奥井さんがデビューして、ガールズケイリンで活躍しているのを見たら、自分もやりたくなった。どうやったらプロになれるか分からなかったとき、インターネットで調べていたら、豊橋競輪でやっているT―GUP(Toyohashi Girls-keirin Upbringing Project・豊橋ガールズケイリン育成プロジェクト)を見つけました」


事務職を辞めて、単身豊橋へ引っ越し。日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)の合格を目指して練習が始まった。

佐々木恵理齊藤由紀大谷杏奈と自分の4人で1日中練習をしていました。杏ちゃんは高校生だったので放課後練習に参加する感じでしたが、4人で練習を一生懸命やっていました。元選手の大竹広治さん(41期)が付きっきりでいろいろ教えてくれました。そのおかげで4人とも110期で合格することができてうれしかったです」



自分の強い意志で目指したガールズケイリン選手への道がいよいよスタート。

110期として日本競輪学校に入学すると、厳しい練習の成果や持ち前の運動神経の良さを発揮。自転車競技経験者もいる中で、在校成績は3位。卒業記念レースでも決勝進出(6着)と好結果を残した。



■後編はコチラ



中嶋里美 Satomi Nakajima



誕生日:1990年11月29日

身長:165.3cm

期別:110期

登録地:愛知県


松本直 Suguru Matsumoto



誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ(競輪記者歴13年)


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