

3日間、積極的にレースを動かした。着順は予選1がカマシ先行で2着、予選2もカマシ先行で3着、決勝は突っ張り先行で4着。デビュー戦で初白星はゲットできなかったが存在感をアピールした。
1番最初にガールズケイリンを検索したとき、目がいったのは加瀬(加奈子)さんの先行だった。ガールズサマーキャンプ(現・トラックサイクリングキャンプ)で一緒だった奥井(迪)さんがデビューしてから先行で活躍する姿を見て衝撃と勇気をもらって、自分もガールズケイリンに挑戦しようと思った。加瀬さんや奥井さんのようなレースをして勝ちたいと思って臨みました」
「デビュー戦は逃げて良い成績を残せたけど、それ以降は先輩たちが強くて歯が立たなかった。もっと練習しないとダメだなって思いました。動いて戦わないと結果がついてこないってことを1年目で学んだような気がします。器用なタイプではないし、レースの中でアクションを起こして自力を出したほうがいいってことに早く気がつけてよかったなと思いました」

「同期の活躍は刺激になっていた。自分も早く優勝するぞって気持ちになっていました」
「覚えていますよ。この初優勝は。競輪祭(ガールズグランプリトライアルレース)出場組のいない開催だったので、優勝を狙って入りました(笑)。決勝は同期の(土屋)珠里ちゃんとのゴール前勝負。狙っていった開催で優勝できてうれしかった」

写真左から同期の土屋珠里、林真奈美、中嶋
2019年は1月小倉で石井貴子(千葉)を差し、7月富山ではカマシ先行で石井寛子を振り切る。2020年はキャリアハイの3回優勝。3月豊橋では高木真備(引退)、佐藤水菜を倒して地元優勝と着実にステップアップを続けた。

妊娠していることが分かり、2022年9月富山の開催後、産休に入った。
「お腹に赤ちゃんがいることが分かってからも競輪選手を辞めようとは思わなかったですね。産休中は同期で同じ中部地区の(宮地)寧々ちゃんにいろいろ話を聞きました。先輩ママさんレーサーがいたので、分からないことは聞いて出産、復帰に向けて備えていました。妊娠中でもできるトレーニングをしたり、トレーナーさんを教えてくれたりと同期に感謝ですね」
「9月に練習をしたときはまだ母乳をあげていたし、無理だったんでしょうね。11月のときも熱が出てしまったし、年明けまでゆっくりしようと思いました」
「年が明けて練習を始めたら、ダッシュの仕方が分からなくなっていた(笑)。アマチュアに戻った感じでしたね。これは大変だなと思ったけど、少しずつ練習をしていったら、感覚が戻っていきました。
結婚を機に豊橋から名古屋へ移籍した。男子選手やガールズ選手に練習に付き合ってもらったり協力をしてもらい、周りのみんなのおかげで5月の走行能力試験も無事クリアすることができました」

写真左から中嶋、齊藤由紀、宮地寧々、佐々木恵理
「レースは練習と違うなと思いました。レースの速度に圧倒されました。スピードが練習と違って、ちぎれちゃうと思いました。レース以外の部分はみんな休む前と変わらない感じで接してくれたのでうれしかったです。初めて会う後輩たちともいろんなお話ができたし、復帰してよかったなと思えました」
少しずつ動けるようになっていけば、競走得点はどんどん上がっていくはずだ。

宮地寧々と中嶋
「両親が協力してくれているので、レースに参加できている。子どもにはさみしい思いもさせてしまっていると思うし、レースで頑張りたい。今はまだ自分が走っている姿を見ても分からないと思うし、大きくなって自分が走っているところを見せたい。そのくらいのタイミングでGⅠレースに復帰できればいいですね」
自分自身のため、そしてかわいい子どものためにも全力で戦う中嶋里美の挑戦は始まったばかりだ。

身長:165.3cm
期別:110期
登録地:愛知県


誕生日:1979年5月1日
所属:デイリースポーツ(競輪記者歴13年)