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<後編>モットーは「元気に自在!」全場制覇・全場決勝進出を目指す黒河内由実 【松本直のガールズケイリンちょっとイイ話】

特別企画 2025.06.27



“ミスターガールズケイリン”の異名を持つデイリースポーツ・松本直記者しか知らない、ガールズ選手の秘話や“いい話”を紹介します。



■前編はコチラ



黒河内由実のデビューは2016年7月。豊橋でのデビュー戦は4着、7着、7着。

2戦目の小倉では失格。ほろ苦い競輪選手のスタートとなってしまった。


「2戦目の小倉はスタート直後で加瀬(加奈子)さんの後輪に接触して落車失格。11月の久留米でも落車。1期目でいきなり(競走得点を)45点しか取れなくて焦りましたよ」


翌2017年の1月にはアクシデントがあった小倉で初勝利を挙げた。

(高橋)朋恵さんの仕掛けを追走して直線で差して1着。うれしかった。デビューして半年勝てなかったし、どうなるかと思ったけど1着が取れてホッとしました」


4月には京都向日町で初の決勝進出。続く武雄でも決勝進出。10月の立川では奈良岡彩子と1着同着で2勝目をゲット。競走得点も少しずつ上がっていった。


左から108期の日野友葵、福田礼佳(引退)、尾崎睦細田愛未と黒河内


2018年は1勝もできなかったがレースの経験値を上げていき、存在感を出してきた。

2019年の11月松戸では初優勝も成し遂げたのだ。


「松戸の優勝はラッキーですよ。競輪祭のガールズグランプリトライアルレース組がいない開催だったし、那須(萌美)さんと野本(怜菜)さんが意識し合う展開。最終2コーナーで内がガラッと空いたから突っ込んでいった。そうしたら落車もあった。自分はまっすぐ踏んでいただけ。最終4コーナーで先頭に立っていたので一生懸命最後まで踏んだら1着。優勝しちゃったって感じでした。優勝の実感?賞金をもらった時に感じるかなと思ったけど、予選2走が5着、3着で勝ち上がったからそんなに多くなかった(笑)。」


初優勝後もコンスタントに決勝進出を繰り返し、ガールズケイリンには欠かせない存在となっていった。


黒河内と言えば、出走本数の多さが目立つ。正規のあっせん以外でも追加、補充を基本的には断らない。遠方の追加でも駆けつけるのが黒河内の持ち味だ。


「元々旅をするのが大好き。旅行のしおりとか作らせたらすごいですよ。開催に行ったら観光をしたり美味しいものを食べたりするのが最高に楽しい。だから遠征でも全く苦にならないんです。

あと、1回目のGⅠオールガールズクラシック(松戸)が補欠1番手だった。欠場があって出場することはできたけど、2回目のオールガールズクラシック(久留米)は獲得賞金が5万円くらいの差で出場することができなかった。悔しかったし、走れるならどんなところでも駆けつけて走ろうと思いました」



昨年はオールガールズクラシックに出場することはできなかったが、1年間で120走、1着7回と無事是名馬の活躍を見せた。

今年は2月の立川予選で前受けから逃げ切り1着。7万円オーバーの高配当をたたき出し、元気いっぱいの走りを披露している。


「立川の逃げ切り1着は気持ち良かった。前受けからそのまま逃げたけど、後ろでけん制し合っていたし、最終ホームくらいでは逃げ切ってやろうって感じでした」


冬場は会心の一撃が飛び出したり、調子が良かったが、4月のGⅠオールガールズクラシック(岐阜)以降は4場所中3場所で決勝を外しているが、ここから巻き返してくるはずだ。


「GⅠを目標に頑張っている時が一番楽しくて、今は調子を取り戻すのに少し時間が掛かってしまっているけど、しっかり立て直しますよ。レースをもっと走りたいですね。練習よりレースが楽しい。勝負で全力を出し切りたいんです。

110期は今年の7月で選手生活10年目になる。目標は全場制覇。まだ熊本競輪場に行けていないんです。それ以外の競輪場には行けたので。110期がデビューした年の2016年の4月に熊本地震が起きてしまいレースを走る機会がなかった。熊本競輪が復活したし、ぜひ走りたい。美味しいものもいっぱいあるし、あっせんが入ったらワクワクしますね。熊本で走れたあとは全場で決勝に乗ることが次の目標かな」


同期の中野咲と黒河内


ガールズケイリンのレジェンド・石井寛子は全場で優勝をしているが、コツコツと走り続けて全場で決勝に乗ることも大きな記録の一つだろう。


「ガールズケイリンの選手になれて良かった。体を動かすことは好きだし、レースも楽しい。行き帰りは旅行気分も味わえる。いっぱい走ればいっぱい稼げるところは魅力。自転車競技が未経験でも選手を目指せると思うし、こんないい仕事はない」


1着をバンバン取るタイプではないが、堅実な走りで確定板を目指すレーススタイルはファンに受け入れられている。 黒河内由実のモットーは「元気に自在」。

基本は前々から好位の組み立てだが、2月立川の時のように先行することもある。

いつも笑顔で全力投球。ぶれないレーススタイルでガールズケイリンをこれからも盛り上げていく。



黒河内由実 Yumi Kurokochi



誕生日:1995年6月22日

身長:166.2cm

期別:110期

登録地:長野県


松本直 Suguru Matsumoto



誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ(競輪記者歴14年)


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