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<前編>父は北九州が生んだスター選手・北津留千羽 競輪界初の父娘一緒にGⅠ参加を目指して 【松本直のガールズケイリンちょっとイイ話】

特別企画 2026.02.13



“ミスターガールズケイリン”の異名を持つデイリースポーツ・松本直記者しか知らない、ガールズ選手の秘話や“いい話”を紹介します。




北津留千羽は福岡県北九州市の出身。2人の弟と3人きょうだい。

父は通算500勝以上の勝ち星を挙げ、GⅢ優勝7回の実績を持つS級トップレーサーの北津留翼(90期)だ。




小さい頃は絵を描いたり、お菓子を作ったりとインドアな遊びが好きだったが、自転車好きな家族の影響か小学校低学年の頃にはマウンテンバイクデビュー。

開始当初を振り返ると「父が競輪選手なので、自宅には自転車がいっぱいあった。マウンテンバイクは自分から父にやりたいと言った記憶がある。最初は練習がキツかった。特に坂道ダッシュがしんどかった。練習をサボろうかなと思う時期はもちろんありました。でも大会に出るようになってキツい練習の成果が出て、表彰台に上がることができた。頑張ることが楽しいなって思えるようになり、父との厳しい練習を乗り越えていけました」




マウンテンバイクを始めると生活はマウンテンバイク中心になった。

中学、高校は地元の公立校に通い、放課後は部活動をせず真っすぐ帰宅する。家に帰ればマウンテンバイクの練習に汗を流して、土日は父と一緒に車で移動して、県外の大会に参加することも多かった。


「高校時代はマウンテンバイクの強化指定選手にも選ばれていました。周りの選手のレベルの高さに驚かされましたし、刺激をもらいました。遠征も多かったですね。静岡の難しいコースがある場所まで合宿に行くこともありました。その時は父が車に自転車を積んで、12時間くらい運転して送り迎えをしてくれました。そのおかげで合宿に参加することもできました」


2023年の夏に長野で行われた第36回全日本自転車競技選手権大会のマウンテンバイク女子ジュニアでは優勝の好成績を収めた。



高校卒業後の進路は自分でいろいろ考えた結果、ガールズケイリン選手を目指すこととなった。


「小さい頃から絵を描くことが好きだったので、そういう技術を身に付けて働くこともいいかなと思っていました。でも両親からは現実的じゃないと言われました。それなら今までやってきた自転車に乗ることを仕事にできればと考えを変えました。もちろん父が競輪選手であることも大きなキッカケです。改めて両親に相談をすると母は『いいんじゃない』と賛成してくれましたが、父は違いました。『ケガが多い仕事だよ、大丈夫?』と覚悟を確かめてきました。それでも自分は挑戦してみたかった。大変な中で輝ける仕事は魅力的だなと思った。その気持ちが大きくなったので、ガールズケイリンに挑戦することになりました」



高校2年生の冬に自分の進む道を決めると、日本競輪選手養成所の試験合格へ向けて準備を始めた。

しかし小さい頃からマウンテンバイク一本だったので、ガールズケイリンで使うカーボンフレームのピストレーサーには馴染みがなかった。

それでも競輪選手の父を頼ると、父は全国各地のレースに参加するたびにガールズケイリン選手から自転車のことを聞き集め、娘のために情報収集に奔走してくれたそうだ。


「本当に師匠が父で良かったなと思いました。ガールズケイリンで使用するカーボンフレームのピストレーサーに対する知識がなかった。父がいろんなところで情報を集めてきてくれて、自分に教えてくれました。小倉競輪場でも練習をさせてもらうことができました。」


試験合格に向けては苦労が続いた。マウンテンバイクとピストレーサーの違いに戸惑ったが努力の成果は実り128期生の試験に無事合格。


父との二人三脚で競輪選手へのスタートラインに立った。


「一番苦労したのはダッシュ力の無さ。マウンテンバイクとのギアの違いもありました。それでも根気強く練習をして何とか乗り越えることができた。試験は伊豆の養成所でありました。普段練習をしているのがドームで風の影響がない小倉競輪場。試験会場は山の上にある屋外バンク。タイムトライアルの時の風の強さは大変でした。それでも力を出し切って合格できたことは本当にうれしかったです」



2024年5月、伊豆・修善寺にある日本競輪選手養成所に入所。

部活動の経験がなかった北津留千羽にとって、初の集団生活は刺激的だったが楽しい仲間たちのおかげで1年間を乗り切った。

最終成績は在所20人中、13位で終わった。


「部活動の経験がなかったので年上の人との関わり方をどうすればいいか分からず、大変な時期もありました。でも練習になれば、自分より強い人が多かったし楽しかった。自分を高めることができたと思います。養成所で一番仲良くなったのは橋本のこちゃん。気を使わず話すことができた存在です。養成所ではゴールデンキャップを取ることを目標にして頑張りました。3回目の記録会で400メートルタイムトライアルのタイムを落としてゴールデンキャップを取れなかったことが悔しかった。記録会の夜は悔しくて眠れなかったことを覚えています。順位については気にしていない。父からも養成所の競走訓練ではいろいろ試してみたほうがいいと言われていたので」


養成所卒業後は実家に戻り、父であり師匠でもある北津留翼とのマンツーマントレーニングが再開。プロデビューに向けて、一気に中身の濃い時間が始まった。


「自宅での練習のほうが自分には合っているなって思いました。ルーキーシリーズのデビュー戦に向けてしっかり準備することができたと思います」




■後編はコチラ



北津留千羽 Chihane Kitatsuru



誕生日:2006年3月2日

身長:152.8cm

期別:128期

登録地:福岡県


松本直 Suguru Matsumoto



誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ


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