【注目の新人選手】ボート競技からの転身 仲澤春香選手(福井県・126期)
2024.06.05
男女合わせて約2,400名いる競輪選手には、さまざまな経歴や趣味を持った選手がいます。『推すスメ!選手インタビュー』では選手個々のプロフィールを、インタビューを通してひもといていきます。
今回は2024年にデビューした注目の新人選手を紹介します。
福井県・126期の仲澤春香選手は、世界ジュニア選手権に2年連続で出場するほどの実力を持った『ボート競技』の選手でした。高校卒業後は関西電力ボート部に入部するも、1年10カ月で引退することを決意します。
高校の顧問の先生に勧められたガールズケイリン。プロスポーツであることに魅力を感じて志すと、日本競輪選手養成所では才能が開花します。
第1回記録会では、女子候補生として飯田風音選手以来となる※ゴールデンキャップを獲得。また、吉川美穂選手以来となるゴールデンキャップ複数回獲得者にもなりました。トーナメント競走は全てで優勝し、卒業記念レースでも完全優勝。
そんな仲澤選手に、これまでの歩みや競輪にかける思いを聞きました。
※日本競輪選手養成所では全3回の「記録会」が実施され、以下の4種目におけるタイムを計測する(第3回記録会では3000m以外を測定)。200m・400m・1000m・3000mのそれぞれの種目に5段階の基準タイムが設定されており、最も良い基準タイムを全種目で記録すると、ゴールデンキャップ獲得となる。
お前なら日本一になれるよ
福井県の高浜町出身です。小さい頃は姉と家の中で絵を描いたりすることも、兄と外でキャッチボールをして遊ぶことも大好きでしたね。兄の影響もあり、小学2年生から少年野球をやっていました。
小学6年生の夏からはバスケットボールを始めたのですが、ミニバスのコーチが『ボート競技』をやられていた方で、中学生の時に「お前なら(ボート競技)で日本一になれるよ」と言われ、やる気になったんです。
『未来のアスリート発掘・育成事業』に参加して数回ボートに乗り、近所でボート部のある若狭高校に進学しました。はじめは「面白くないし、地味だし、嫌だな」と思っていたんですけど(笑)、「日本一になれる」というコーチの言葉を信じて一生懸命練習しましたね。
すると、高校1年の『全国高校選抜大会』で優勝。翌年、連覇することができて、ジュニアのナショナルチームにも選ばれました。高校3年生の世界選手権は『ダブルスカル』という種目で8位でした。
トレーニングの中にはWattbike(ワットバイク)をこぐ練習があって、それが今につながっていると感じています。
「早めに切り替えて“次の道”へ」と言われてしまって…
高校3年生の時に複数の大学や実業団から声をかけていただいて、進路は悩みましたが地元・福井を拠点にしている関西電力にお世話になることを決めました。でも、入社する少し前から『※イップス』のような状態になってしまって…。
※突如自分の思い通りのプレーや動きができなくなる症状のこと
ジュニアからU23に上がるタイミングだったんです。その選考レースで「絶対に選ばれないと」と自分自身にプレッシャーをかけすぎていたことが原因だったのかもしれません。
例えば、コーチからテクニック面の指摘を受ければ、必要以上に気にしてしまって自分の思い通りに体が動かなくなってしまいました。
入社後も『イップス』の症状は改善されず、トレーニングも思うようにできない…期待にも応えられない…。完全に“こじらせて”しまいました。
会社を休職して、練習も休んでいる時に「もう一度、頑張ってみよう」と思って、練習を再開したんです。でも2カ月ほど経った頃にコーチから、「まだ若いんだから、早めに切り替えて“次の道”へいくのもいいんじゃないか」と言われてしまって…。
完全に気持ちが切れて、号泣しました。その1年10カ月は、自分にとっての“暗黒時代”でしたね。
退社後、親の勧めで受けた自衛隊に補欠合格して、人員に空きが出れば採用してもらえることになりました。スポーツを諦めきれていない気持ちもあったので、自衛隊体育学校に入ってボクシングで上を目指そうとも考えていたんです。
その話を高校のボート部の先生に話をしたら、ガールズケイリンを勧めてくれたんです。初めて聞いたので「何それ?」って感じでしたが、“プロスポーツ”であることに魅力を感じて、すぐに挑戦を決意しました。
練習を始めて3カ月ほどで、やっとタイムも出るようになり、日本競輪選手養成所には半年の練習で合格。養成所でも、思っていた以上の成績を残すことができました。
『競輪ルーキーシリーズ2024』初戦の富山開催では、初日・2日目を1着で勝ち上がりましたが、決勝では5着。“自転車の乗り方”、“レースに対する考え方”、“自分との向き合い方”など「課題が多いな」と感じました。
決勝で負けて5着だった日は、落ち込みすぎてそんなふうに考えられませんでしたが、「最初から完璧なことなんか無い」と思えるようになりました。これを糧に前進していきます。
“プロスポーツ選手”として生きられることはもちろん、お客様に注目してもらったり、応援してもらえて、ことあるごとに幸せを感じています。ガールズケイリン選手になって本当によかったです!
私は自分の好きなことを突き詰めたい気持ちが強いのですが、ボート競技ではそれができなかったという後悔があります。「今度こそ!」という思いで競輪を突き詰めて、“プロフェッショナル”と呼ばれる選手になりたいです。
一番近い目標は、先輩選手と走る7月以降の開催で優勝すること。大きな目標はガールズグランプリで優勝することです。
お客様に「迫力があるな」と思っていただけるように頑張りますので、応援よろしくお願いします!!
仲澤春香 Haruka Nakazawa
2001年4月10日生まれ、福井県大飯郡高浜町出身
身長165.0cm
登録地は福井県、ホームバンクは福井競輪場
2017年
中学3年:『未来のアスリート発掘・育成事業』に参加してボート競技を始める
高校1年:全国高校選抜大会 ダブルスカル優勝
2018年
高校2年:全国高校選抜大会 シングルスカル連覇
高校2年:世界ジュニア選手権 ダブルスカル8位
2020年
関西電力に入社、ボート部に入部
2022年
ボート競技を引退し関西電力を退社
自転車の練習をスタートし、半年で日本競輪選手養成所に合格
2023年
日本競輪選手養成所に入所
2024年
126期として競輪選手デビュー
稼いだ賞金で「欲しいものがいっぱいある!」と話す仲澤選手。
いろいろなシューズを試してみたいし、セルフケア用に良いマッサージ器具も欲しいです。あと、持っている私服が少なすぎるので(笑)、服も買いたいです!
■詳しいプロフィールと出走情報はこちら
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