ガールズケイリン界の頼れる姉さん 藤原亜衣里
2021.08.03
藤原亜衣里は新潟県弥彦村の出身。
父、実(26期)が競輪選手で、弥彦競輪場のそばで育った。
「3人兄妹の末っ子でわがままでした」。
小さな頃の将来の夢は特になく、勉強は苦手で、体を動かすことが好きだった。
中学3年生の時、高校受験は自分の意思で新潟県立吉田商業高校(現在の県立吉田高校)への進学を決めた。
進学の理由は自転車競技部に入ること。
3人兄妹の上2人(姉、兄・藤原憲征85期)も吉田商業高校の自転車競技部出身。
藤原自身、「お姉ちゃんもお兄ちゃんもやっているし、自分もやってみたかった」と自転車との出会いを振り返る。
高校卒業後は法政大学へ自転車競技のスポーツ推薦で進学。
インカレなどで好成績を残しているが、実際は「苦手なロード練習ばかりで1年でやめたくなった。
両親の説得もあり、なんとか部活を辞めずに過ごした感じ。
成績がよかったのは大学の女子自転車競技人口が少なかっただけですよ」
大学卒業時はやりたいことが見つからず、なんとなく東京に残った。
「大学卒業後はいろいろやりましたね。
足つぼマッサージ、不動産屋、整体のようなことなど。
新潟の実家に帰ってリラクゼーションサロンをやっていた時期もあったけど、長続きしなかった。
ゴルフが好きでプロを目指そうと思って、静岡のゴルフ場で働きながら練習していた時期もあった」
ガールズケイリンとの出会いは静岡で働いていた時期。
両親からの「ガールズケイリンの募集が始まるってよ」という連絡がきっかけだった。
この頃はゴルフでプロになるのは無理、どうしようかなと思っていて、迷うことなく新潟へ帰り、ガールズケイリンを目指す決意を固めた。
本人提供
前例のないガールズケイリン1期生。
どうやればプロになれるのか、手探りだった。
弥彦競輪が主催するクラブスピリッツに入り、加瀬加奈子、田中麻衣美、中川諒子と出会い、練習を一緒にすることで日本競輪学校(現:日本競輪選手養成所)に合格。
晴れて102期生として日本競輪学校の門をたたいた。
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左から、加瀬加奈子、中川諒子、田中麻衣美、藤原亜衣里
ガールズケイリン1期生。
先生も生徒も何が正解かは分からない状況。
「学校生活は楽しかったですよ。
今だから話せるけど、5キロサーキットの練習中は休んだりしていた。
罰則も受けたりしたけど、今となっては笑い話。
いろいろあった学校生活でした」と大笑いしながら話した。
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左から、加瀬加奈子、藤原亜衣里、田中麻衣美、中川諒子
プロデビュー戦はガールズケイリン第1戦の12年7月の平塚競輪場だった。
「あんまり細かいことは覚えていないけど、お客さんは多かった印象。
1着を取ることはできなかったけど、決勝には乗れたし、よかったです」
2期生が入るまでの10カ月は1期生だけの戦い。
コンスタントに決勝進出は重ねたが、1着は遠かった。
デビューから10カ月後、13年5月の名古屋最終日一般戦でようやく初白星を挙げた。
名古屋には不思議な縁があり、16年7月の初優勝も当地で決めた。
デビューから4年20日での初優勝達成だ。
「初優勝の名古屋はいろいろありましたね。
落車があったけど、1着で入線していたし、勝てたかなって感じ。
デビュー当時から応援してくれていたファンが名古屋に来ていて、その人の前で優勝できたのはうれしかった」
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左から加瀬加奈子、田中麻衣美、藤原亜衣里
17年8月の佐世保で1着を取った前後から腰の具合が悪くなってしまい、成績はドンドン低下した。
「腰の痛みがひどくなり、体の左側がうまく使えなくなってしまった。
いろんな人に病院や治療方法を聞いて、試したけど一向に良くならない。
レースに参加してもちぎれることが多くなった。
7着ばかりが続くとモチベーションも落ちていき、『このへんでもう終わりかな』と引退が頭をよぎった」
いい治療方法は見つからなかったが、時間の経過が腰の痛みを解決してくれて、19年3月宇都宮で久しぶりに決勝進出を果たした。
今年は7月青森で予選初の1着をつかみとった。
杉沢毛伊子の番手から差し脚を発揮して抜け出した。
3連単は20万8,240円のビッグ配当となった。
「予選で初めての1着。時間が掛かりましたね。
デビューから10年目ですか。
予選の1着は取れないかなと思っていたし、うれしかったですよ。
ただレースが単独審議になっていたし、そのあたりが自分らしいですね」と大笑いした。
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左から藤原亜衣里、田中麻衣美、加瀬加奈子
今後の目標はただ一つ。
選手を長く続けることだ。
競輪界には代謝制度がある。
成績が悪ければ続けたくても、強制的に引退になってしまう。
*(ガールズケイリン代謝のボーダーラインは47点)
「毎期47点はしっかりキープしたいですね。
年々ガールズケイリンはいろんな選手が増えていて、レベルが上がっている。
でもまだ同学年(加瀬加奈子、中村由香里、猪子真実、豊岡英子)が頑張っている。
競輪は好きだし、楽しい。
全国いろんな場所に行けるし、レースに行けばおいしいものも食べられるし、友達にも会える。
最近はコロナ禍であんまり楽しめていないけど、コロナが収まったら、楽しくわいわいやりたい。
そのためにはクビになるわけにはいかないし、頑張りますよ」
弥彦競輪場や仕事で訪れた場所で撮影するYouTube「ぽよぽよアスリート」も好評だ。
同期の1期生を中心にいろんな選手が出演。
素の表情が見られる貴重な動画が多い。
チャンネル登録していない人はぜひ登録をしてから見てもらいたい。
1着を量産したり、ビッグレースへの出場はないが、しぶといレース運びをみせる藤原はガールズケイリンに欠かせない存在。
同期、後輩のガールズケイリン選手に慕われる姉さんキャラ。
息の長い選手を目指してこれからも頑張ってほしい。
藤原亜衣里 Airi Fujiwara
誕生日:1980年12月2日
期別:102期
身長:166cm
松本直 Suguru Matsumoto
誕生日:1979年5月1日
所属:デイリースポーツ(競輪記者歴13年)
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