ぶれずにしっかり車券に貢献し続ける114期・那須萌美

2022.07.09

デビュー戦は2018年7月の高松だった。

 

緊張の中で迎えた1走目の予選は今の那須萌美では考えられない周回中から最終ホームまで7番手。

ガールズケイリンでは絶望的な展開。

しかし最終2角からまくりを繰り出し、前団に迫り2着。

脚力があるところをファンに見せた。

 

2走目は好位キープから外を踏んで3着。

決勝は見せ場を作ることができなかったが、戦える新人が登場したとガールズケイリンファンをうならせた。

 

しかし2場所目の佐世保ミッドナイトでは予選1を前受けからの飛び付き策で2着に入ったが、予選2では先行勝負で7着。

 

最終日の一般戦はまくって1着。

車券が買いづらい選手になってしまった。

 

 

そんな状況に助言をくれたのはまたもや師匠だった。

 

「師匠から『毎回違うレースをしている。何をしたいのかが分からない』と言われて自分でもそうだなと思ったんです。

3場所目の平塚は山原さくらちゃんに高木真備ちゃん、尾崎睦さんとコレクション出場級のメンバーとの対戦だった。

この人たち相手に自分の自力ではかなわない。

どうしたら立ち向かえるかしっかり考えて、前々好位の戦いで行こうと決めました」

 

 

自分の生きる道を決めてからはぶれなかった。

強い選手の後ろを取り切ることに集中して、車券に貢献し続けた。

 

失格をすることもたまにあったが、闘争心が前面に出ている証拠だ。

2020年は64回出走して1着は0回だったが、2着21回、3着14回。

失格や棄権以外で決勝進出を外したのは1月取手の1回だけと驚きの成績を残した。

 

2021年には待望の初優勝を挙げた。

直近4カ月の競走得点1番で迎えた11月の小倉ミッドナイト。

グランプリトライアル出場組が不在の裏開催とはいえ、林真奈美や杉浦菜留と優勝実績のあるメンバーがそろった開催だった。

 

決勝は那須らしい前々好位の組み立てで杉浦後位をキープしてゴール前一気の差し脚を発揮で優勝をつかみとった。

 

「いろんな人に『初優勝だったんだね』って驚かれました。

自分では同期が優勝しても焦りはなかった。自分のやることをやるだけだったので。

20年の夏に防府で落車をして鎖骨を骨折した。

復帰へのスイッチがなかなか入らなくて、このまま走れないかなとも思ったけど、ガールズケイリンはいい仕事だと思った。

いろんな仕事をしてきたから分かるけど、自分のやった分だけ賞金で返ってくるのはうれしい」

 

 

今年の目標はただ一つ。

11月に初優勝の思い出の地・小倉で行われるガールズグランプリトライアルに出場することだ。

 

選考基準の詳細はいろいろあるが、わかりやすいのは賞金を積み上げること。

選考期間の締め切りとなる8月末までしっかり走って28人の出場枠に飛び込みたい。

 

 

今年のガールズケイリンを盛り上げている114期。

派手さはないが、しっかり車券に貢献する那須萌美。

 

7月に落車し肩鎖関節脱臼の手術でしばらく休むことにはなるが、これからも天職のガールズケイリン選手として賞金を稼いでいくつもりだ。

 

 

 

那須萌美  Moemi Nasu

生年月日:1990年10月3日

身長:163.5cm

期別:114期

登録地:宮崎県

 

 

松本直 Suguru Matsumoto

誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ(競輪記者歴13年)

 

    この記事が気に入ったら
    いいね! してね。

    その他の松本直のガールズケイリンちょっとイイ話

      おすすめの記事