向井円 師匠と二人三脚で鍛えた力を発揮しデビュー2勝目へ!

2023.02.10

デビューは24歳の夏。

2018年7月名古屋だった。

 

4、4着で決勝進出。

決勝は6着だったが、まずまずのスタートを決めた。

 

「ガールズケイリンのことをよくわかっていなかったですね。

名古屋のデビュー戦はどう戦うか定まっていなくて、予選2走は梅川風子さんの後ろだった。

梅川さんのまくりの後ろでこんなに強いのかと思いました。

その後の開催も必死に走っていたら、流れにうまく乗れて成績がまとまっていった感じでした。

自信や裏付けはなかった」

 

デビュー4場所目の地元・岸和田開催では大勢のファンの前で最終日一般で初勝利を挙げることもできた。

10月和歌山から12月防府まで5場所連続で決勝進出。

12月大宮だけは決勝進出を逃したが、その後も名古屋、静岡、奈良と3場所連続で決勝進出。

ガールズケイリンファンに向井円の存在をアピールした。

 

スタートダッシュはばっちり決まったが、2年目の競輪生活は順風満帆とは言えなかった。

19年8月の和歌山で2日目に落車をすると、成績は一気に急降下。

決勝に乗ることが難しくなってしまったのだ。

 

「和歌山の落車で躓いてしまいました。

調子がよかった時期の落車で自分の気持ちが折れてしまった。

骨は全く折れていなかったけど、気持ちが追い付かなかった。

自分は見た目だけで判断されると痛みに強そうだと思われているけど、実際は痛いことが嫌いなんです」

 

 

落車の後遺症で向井の闘争心はなくなりかけていた。

ガールズケイリンを戦う上で向井の生命線だった追走がうまくできなくなっていたのだ。

 

恐怖心から前走者との車間が自然と空いてしまったり、横に並走されるだけで、ひるんで自転車を下げてしまったりと、戦う気持ちが整わない状況でだらだらと走ってしまった。

 

その状態でレースに臨めば競走得点は一気に下がる。

クビのボーダーラインと言われる47点を下回る時期もあった。

 

「もうダメかな。ガールズケイリン辞めようかな。と思った時期もありました。

でもそんな時期に声をかけてくれたのが中武さん。

『一緒に練習をしよう』と誘ってもらいパワーマックス(固定自転車)での練習が始まりました」

 

効果てきめんとはいかないが、コツコツと積み重ねる練習を繰り返した。

自転車に乗り始めたころの競輪学校時代と同じように1日1日練習を続けた。

年が変わったころにはウエートトレーニングも取り入れ始めた。

 

練習の成果は少しずつ結果で現れた。

21年5月の青森では久しぶりの決勝進出も決めた。

22年後期(7~12月)は競走得点が47・23まで回復した。

 

向井円と門脇真由美

 

今年は心に秘めた思いを持って臨む1年になりそうだ。

 

「師匠の中武さんが昨年末で引退。

いままでは師匠がレースに行っているときは練習が少し休めた。

でも今は毎日みっちり練習を見てもらえる。

現役を引退したことは寂しいけど、練習を毎日見てもらえるのがうれしい。

自分の性格は誰かに見てもらえないとサボる癖が出てしまう。

師匠のウエートトレーニングのおかげで体は大きくなった。

あとはその力をうまく自転車に伝えること。

その部分をつなげることができれば、成績は良くなると思う。

まずは2勝目を目指していきたい」

 

この春には養成所を卒業してプロデビューする妹弟子(124期・中瀬由真)もいる。

このままガールズケイリン生活を終わらせるつもりはない。

 

左から向井円、中武三四郎(113期)、中瀬由真

 

「ガールズケイリン選手になってよかった。

非日常をいっぱい感じることができるし刺激的。

自分が頑張れば頑張った分だけ稼げる職業。

師匠が毎日練習を見てくれる環境の良さを結果で出したい。

師匠のウエートトレーニングが実になっていることを、自分が結果を出すことで証明していきたい」

 

引退した師匠・中武克雄と二人三脚で鍛えた力を発揮して、まずはデビュー2勝目を目指していくつもりだ。

 

 

向井円 Madoka Mukai

生年月日:1993年9月25日

身長:163.5cm

期別:114期

登録地:大阪府

 

 

松本直  Suguru Matsumoto

 

誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ(競輪記者歴13年)

 

 

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