【競泳】塩浦慎理 × 新田祐大 アスリート対談 前編

2022.11.11

新田 塩浦くんが言ったように、オリンピックは世間が最も注目する大会。
そこで多くの人に知ってもらうことで、「その競技」と「その人」が応援される環境になります。
でも選手は知ってもらった分、結果を残さなくてはいけない。
そこがすごく難しい。
心身ともにコンディションを整えて挑まなければいけないのが、オリンピックだと思います。

塩浦 僕は小さい頃から当たり前に「オリンピック」を目指してきました。
でも最近は「オリンピックってなんなのかな?」と思うこともあります。
スポーツに興味が無い人たちがオリンピックを見て、「何か感じるものがあるのか?」なんてことも考えます。

 

 

――体験の強さ

新田 僕は自転車競技から引退して、4月から短距離のジュニア選手のアドバイザーに就任しました。
「ジュニアを育成しなきゃいけない」と以前から言っていた、ブノワ(現・日本自転車競技連盟トラックテクニカルディレクター)に促された感じです笑

 

 

でも、ジュニア選手には“のびしろ”しかないです。
僕の経験ですが、高校生の時にシドニーオリンピック(2000年)の日本代表合宿が、当時練習していたホームバンクで行われたんです。
当時の僕からしたら日本代表選手の練習を生で見られるし、声までかけてもらえたり、すごく嬉しかったのを覚えています。
練習を直接教えてもらったわけではないのに、近くで練習しただけでパフォーマンスが上がりました。
その経験を考えた時に、「ホンモノの現役選手」が直接指導する環境があるなら、いまのジュニア選手がもっと強くなるキッカケを作れると思い、挑戦を決めました。

塩浦 そういう環境は、どんな競技でも士気が高まりますし、“体験の強さ”って本当にありますよね。
僕は母校の高校生や地方の子供たちに水泳を教えたりしています。
その時の“一瞬の触れ合い”だけで、やる気の上がる子供たちの姿を見て、そういう機会を大切にしたいと思っています。

その経験もあって、「次の世代に何か残したい」という思いで、YouTube(塩浦慎理 – MOHICAN –)も始めました。
僕が持っている知識やテクニックなどを惜しみなく出して、無料で手軽に情報を得られる機会を作りたいです。
それを教えるのが「現役選手」であるということも、すごく大事だと思います。

新田 一方で「現役選手」である難しさも感じています。
職業である「競輪」と「後進育成」。
ジュニア選手のアドバイザーとして説得力や信頼を保つためには、自分の「競輪」での成績も一定以上のレベルを保つ必要があります。
強い選手が教えるから士気も高まる分、弱いと説得力が無くなってしまいます。

塩浦 なるほど。
それは競泳にも言えることです。
競泳の課題は「目標やモチベーションの持たせ方」です。
日本代表選手は、しっかりとメダル獲得などの結果を残して、世界でも通用する速いタイムで泳ぐことが大事だと思っています。
もっと子供たちに“夢を見せられるような頑張り”を僕たちはしていかないといけないですね。

 

 

後編では塩浦選手が競輪選手になる準備を始める!?
公開をお楽しみに。

  

左:新田祐大(Yudai Nitta)

1986年1月25日 福島県会津若松市生まれ
2005年 90期として競輪選手デビュー
2012年 ロンドンオリンピック・チームスプリント8位
2019年 UCIトラック世界選手権 ケイリン2位
2018-19シーズン 世界ランキング・ケイリン1位
2021年 東京オリンピック・ケイリン16位
2022年 競輪史上6人目となる全GⅠを制覇するグランドスラム達成

 

右:塩浦慎理(Shinri Shioura)

1991年11月26日 神奈川県伊勢原市生まれ
2013年 世界選手権・メドレーリレー3位
2016年 リオデジャネイロオリンピック 400mフリーリレー8位・50m自由形16位
2019年 50m自由形で21秒67のアジア記録を樹立
2021年 東京オリンピック出場

 

【撮影協力】
NEXT Akasaka-Base
〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目15−18 西山興業赤坂ビル2階
公式HP

 

    この記事が気に入ったら
    いいね! してね。

    その他のアスリート対談

      おすすめの記事