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<後編>ヨットから転身の齊藤由莉・前に前にしぶとく踏むレースで盛り上げる! 【松本直のガールズケイリンちょっとイイ話】

特別企画 2026.03.27



“ミスターガールズケイリン”の異名を持つデイリースポーツ・松本直記者しか知らない、ガールズ選手の秘話や“いい話”を紹介します。



■前編はコチラ



齊藤由莉のデビュー戦は2025年5月の熊本。予選2走は7着、7着と大敗したが、最終日の一般戦で初白星を挙げた。

2戦目のいわき平は7着、6着、3着。3戦目の四日市は2着、4着で初めて決勝進出。決勝は4着と健闘。


「熊本のデビュー戦は最終日になんとか踏み続けて初の1着が取れた。集団で走るのが苦手で、自分が思っていた形ではなかったけど、周りの人からおめでとうと言われて『これが勝つっていうことなのか』と思いました。でもいわき平は全然だめ。いわき平のあと、(尾崎)睦さんから戦い方、組み立て方などアドバイスをもらった。戦い方を変えてアドバイスのおかげでレースの見え方が変わりました。そのおかげで四日市は決勝に乗れたけど、7月から戦えるのか不安はありました」


初めて先輩選手と対戦した7月の前橋。レースでは何もさせてもらえず7着、7着、7着で終わった。開催終了後は絶望でいっぱいになり、帰宅の車の中では涙が出てきた。


「同期だけのルーキーシリーズと違って先輩との対戦では何もできなかった。これが現状かと突き付けられたような気がしました。このままでは1年半でクビになってしまうと危機感を持ったことも覚えています。レースに臨む姿勢、宿舎での生活などあらゆる面で先輩たちとの差を感じた」


本格デビュー3戦目の松戸は師匠の尾崎睦と同時開催だったが、好走を見せることはできなかった。

転機になったのは8月の地元平塚戦。GⅠ女子オールスター競輪参加組が不在の開催とはいえ、予選1で白星スタートを切ると、予選2を4着でまとめて本格デビュー後初めて決勝進出を決めた。


「平塚は決勝に乗れてうれしかったです。地元の応援で元気が出ました。ヨットの時は応援がプレッシャーになっていたこともあった。でもガールズケイリンでは元気になるし力になる。3月の卒業記念レースの時に初めて声援をもらって、力が沸いてきた。8月の地元戦の時もプレッシャーになることはなく、力に変えることができました。すごく背中を押してもらえた。そのおかげで決勝に乗ることができたと思います」



平塚ではもう一つきっかけがあった。同期の牧田咲子とじっくり話をしたことで、落ち着いてレースに臨むことができた。


「話すことはもともと好き。牧田さんと前検日にじっくり話をしました。メンタル面で変化が出て、落ち着いてレースに臨めるようになりました。そこまではいろいろ考え過ぎて、レース前に負けるイメージしかなかったけど、牧田さんと話をしたあとは初日からレースに集中できました。そのおかげもあって決勝に乗れたと思います」


続く別府でも3着、3着で決勝進出。ようやくガールズケイリンの流れに乗れるようになってきた。


同期の牧田咲子


9、10月は気持ち新たに自分自身を成長する時間に充てた。


「9、10月はまとまって練習をする時間だと思ってしっかり練習をしました。ギアを変更したり、時間がないとできないことに取り組みました。平塚の午前メンバーのみなさんに練習を見てもらって、ずっと練習をしていました」


11月の大宮から戦列に復帰。復帰2場所目の高知では2着、3着、2着の準優勝とデビュー以来最高の成績を収めた。練習の成果を存分に発揮した結果となった。


「復帰初戦の大宮は久しぶりのレース過ぎてバタバタしていたけど、2戦目の高知では落ち着いて走れたと思う。普段平塚で男子選手と練習をさせてもらっている成果を出せたと思います。男子のスピード感に慣れているので、ガールズケイリンのレース中に周りを見られるようになったと思う。高知は展開に恵まれた部分もあるけど、準優勝はうれしい。賞金もいっぱいもらえたし、高知から親にお土産を送りました」


齊藤由莉の持ち味はしぶとい地脚。高知では前々に攻めて強じんな地脚を発揮して、存在感をアピールした。


今年はここまで4勝(3月6日現在)をマーク。インパクトの強いレースで上位選手を打破して齊藤由莉の名前を大いにアピールしている。

1月の西武園では師匠尾崎睦との同時あっせんもあった。予選1で1着。決勝進出を決めると決勝戦で師匠との対戦もあり気合が入った。


「本デビュー後のダメダメの時に松戸で1回一緒に走っているけど、1月の西武園の時は決勝に乗らないと一緒に走れない状況だったので気合が入りました。やっぱり一緒に走るとオーラがすごいし覇気を感じました。自分も見習わないといけないなと改めて感じました」



2月の広島の予選1では石井貴子(東京)の番手回りから最終2角で番手まくりを打ち、ガールズグランプリ出場レーサーの坂口楓華(愛知)を振り切り1着と展開さえ向けば大物を倒せるパワーを見せつけた。


「1着が取れたり、決勝に乗れたりしているけど、レースを走れば走るほど壁を感じている。自分の力を発揮できる展開に持っていければ勝負できるけど、その展開に持っていくことが難しい。いい場所を取りにいく技術だったり、組み立てだったり、メンタル面なり全く足りていない」と課題は明確。

ダッシュ力の強化とガールズケイリンで一番大事なメンタルをさらに鍛えることが今後の飛躍につながってくるはずだ。


ヨット時代から考えることは好き。ガールズケイリンでもレースのことを考えることは好きだ。

デビュー当時からレースが終われば当該競輪場の開催指導員に指導を仰ぎ、気になったことをノートに書き記し、その課題を持って次の練習やレースに生かしている。

5月には後輩の130期もデビューしてくる。2年目に向けて気合は入っている。


「良くも悪くもなんですけど頭で考えることが好きなので、頭でっかちになってしまう。でっかい頭を支えられる体や走りをしていきたい。ヨットは自然が相手だけど、ガールズケイリンは選手が相手。いろいろ覚えていけば自分の走り方にプラスになる。ただ今は体が弱いので鍛えていきたい。身長だけ大きいのでガタイがよく見えるけど、筋肉は全くない。練習量が足りないので増やしていきたい。選手になれて良かったと思っている。今は同期にすごく支えてもらっている。日頃からこまめに連絡をとっているし、同期が走っている姿を見ると元気がもらえる。自分も頑張っていきたい」


170センチの恵まれた体格を生かした自力戦は迫力満点。前に前にしぶとく踏むレースでガールズケイリンを盛り上げていきそうだ!



齊藤由莉 Yuri Saito



誕生日:1997年9月1日

身長:170.7cm

期別:128期

登録地:神奈川県


松本直 Suguru Matsumoto



誕生日:1979年5月1日

所属:デイリースポーツ


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