S級S班になっても、まだまだチャレンジャー! 眞杉匠選手(栃木県・113期)
2024.08.21
男女合わせて約2,400名いる競輪選手には、さまざまな経歴や趣味を持った選手がいます。『推すスメ!選手インタビュー』では選手個々のプロフィールを、インタビューを通してひもといていきます。
今回は栃木県・113期、現在25歳の眞杉匠選手にインタビューしました。
栃木県宇都宮市出身、高校はスポーツ強豪校で自転車競技の名門でもある作新学院高校に入学。父が競輪ファンだったことや自身が乗り物好きだったことから、「なんとなく縁を感じて」自転車競技部に入ったといいます。
2018年のデビュー後はコツコツと地道に力を付けて2019年にS級2班へ特別昇級。
2021年には『日本選手権競輪』で初めてGⅠの決勝に進出します。2023年には『オールスター競輪』で初のGⅠ制覇、さらに『朝日新聞社杯競輪祭』も制し、1年で2回のGⅠ優勝を達成。『KEIRINグランプリ』にも初出場し、大ブレイクの1年となりました。
競輪界に9人しか存在しない、最高峰ランク・S級S班となるまでにあった背景と、今の心持ちとは?
森田や泰正に良い刺激をもらっていました
小学校の頃は水泳と野球、中学ではソフトテニスをやっていました。
高校受験で本命だった県立高校に落ちてしまい、私立の作新学院高校に進学しました。車、バイク、自転車など乗り物全般が好きだったこともあり、なんとなく自転車競技部に入ったんです。父が競輪ファンだったという影響もあったと思います。今は弟が母校の自転車競技部にいるんですよ。
自転車競技を始めると、サドルやハンドルなどのパーツ選びからセッティングまで、自分でいろいろと変えられるところがすごく楽しくて夢中になったんです。その頃から「将来は競輪選手になりたい」と思うようになり、高校卒業後は大学への進学も一時は考えましたが、高校3年生で競輪学校(現・日本競輪選手養成所)を受験しました。
2018年にデビューしてから半年間で3回落車してしまい、このペースで落車していたら体がボロボロになる…と思って。当時は、“前の位置を取って”、“いったん引いて”、その後“捲る(まくる)”というレースをしていたんです。その走りで1着を取れていましたからね。でも3回の落車をきっかけに、“先行”するようにしました。
“先行”し始めてからは決勝で負けてしまうことも多くて、なかなか結果は出ませんでしたが、前を走ることで落車しなくなり、だんだん長い距離を“踏める”ようにもなり、力が付いていくことを実感できました。
同期の113期は、10人以上がS級に特別昇級したんです。まだ僕がA級だったとき、特に仲の良い森田(優弥)や(小林)泰正は、S級でしかもGⅠを走っていて…。焦りましたが、良い刺激をもらっていました。
2019年11月にやっとS級に上がれて、はじめは負けてばかりでしたが、地道にやるべきことを続けると、少しずつ戦えるようになってきました。
まだまだチャレンジャー
優勝した(2023年の)『オールスター競輪』は、僕だけの力ではなく「“ライン”のおかげで勝つことができた」という気持ちでいっぱいでした。
決勝は(吉田拓矢選手 ― 眞杉匠選手― 平原康多選手 ― 武藤龍生選手の関東4選手で連携)他の“ライン”からも狙われる位置でしたし、めっちゃ緊張しました。優勝して改めて「競輪は自分だけで戦っているわけじゃない」ということを実感しましたし、「この感謝の気持ちを、関東のみんなに走りで返していこう」と思えた経験でしたね。
その後の『競輪祭』優勝は、すでにグランプリの出場権を持っていたことや、決勝を“単騎”で戦うことでプレッシャーを感じず走れたことが良かったんだと思います。
結果は3着。どんなレースも1着以外は“負け”ですし、「ここで毎年走れたら楽しいだろうな」と思ったことで、また一つ頑張る目標ができました。
今年は年始の練習中に落車して、数カ所骨折してしまいました。S級S班として結果を求められる中、早々のケガでもどかしさもありました。でも焦らず、自分のペースを崩さないことを意識してやってきたので、今は体の状態も良くなり、気持ちを入れ直してレースに臨んでいます。
S級S班になったからといって、僕は受けて立つ立場でもないし、まだまだチャレンジャーだと思っているので、これまでと心持ちは変わりません。今年の残るGⅠを全部取るつもりで、楽しみながら頑張っていきます!
眞杉匠 Takumi Masugi
1999年2月1日生まれ、栃木県宇都宮市出身
身長175.6cm
登録地は栃木県、ホームバンクは宇都宮競輪場
2014年 作新学院高校で自転車競技を始める
2017年 競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に入学
2018年 113期として競輪選手デビュー
2019年 S級2班に特別昇級
2021年『日本選手権競輪』で初のGⅠ決勝進出
2023年『オールスター競輪』でGⅠ初優勝
2023年『朝日新聞社杯競輪祭』で2回目のGⅠ優勝
2023年『KEIRINグランプリ』初出場
2024年『サマーナイトフェスティバル』でGⅡ初優勝
アウトドアの遊びが好きで、ジェットスキーやスノボをします。
スノボは3年前に派手にコケたので(笑)、最近は控えているんです。ジェットスキーは水上だし、運転している側であればケガはしないかなと思うので、オフの時に楽しんでいます。
旅行と練習を兼ねて、沖縄にもよく行っています。森田(優弥)、(小林)泰正、樋口(開土)と行くことが多いですね。練習もしっかりやるメンバーだから、メリハリがついて楽しいですよ!
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