日刊スポーツ「Girl’s Collection 2019」 鈴木樹里選手編

2019.09.12

※この記事は2019年8月28日付けの日刊スポーツに掲載されたコラム「Girl’s Collection(ガールズコレクション)2019」です。

 

 

注目のガールズ選手を紹介する今月の「Girl’s Collection(ガールズコレクション)2019」は116期の鈴木樹里(19=愛知)にスポットを当てた。

 

アマチュア時代からしのぎを削った在校1位の山口伊吹(20=長崎)を制して卒業記念レースを制覇。
デビュー後は苦戦が続くが、持ち前の負けん気を発揮して、タイトル獲得への道を突き進む。

 

ガールズケイリン116期卒業レース覇者の鈴木樹里が大目標に向かって突き進む(撮影・森本幸一)

 

 

ガールズケイリントップクラスのレーサーである石井寛子のかっこよさにくぎ付けになった。
中学2年のときに偶然、競輪学校(現選手養成所)のガールズケイリン104期生を特集したテレビ番組を見た。

 

樹里 豊橋で競輪をやっていたのは知っていたんですが、女子の競輪があるのはそのとき初めて知りました。
中学ではソフトボールをやっていたけど、個人の競技をやってみたかった。そのとき選手になろうと決めました。

 

 

進路に金子貴志深谷知広を輩出した桜丘高校を選んだ。
名門自転車部の練習は当然ながら厳しく、競技経験のない樹里を苦しめた。
練習に付いていけない日々が続いた。

 

樹里 逃げ出したくて、何回もやめたいと思いました。
でも、親にカーボンフレーム含めて自転車一式の費用40~50万円も負担してもらって、やめるわけにはいかないと思って(苦笑)。

 

桜丘高校自転車部時代の鈴木樹里(本人提供)

 

元来、負けず嫌いだ。
身長は152センチ位でスポーツ選手としては体格に恵まれた方ではないが、辛抱して苦しい練習に食いついた。
やっていけそうと思ったのは1年時の3月に行われた高校選抜だった。

 

樹里 上級生たちもいたんですけど、ケイリンで決勝に乗ったんです。
(末着の)6着だったけど…。

 

 

次第に男子にも付いていけるようになった。
高校選抜ケイリン2位、インターハイ500メートルタイムトライアル2位と実績を積んで、競輪学校に一発合格。

 

しかし、そこでも苦しめられた。
エリート候補生として滝沢正光校長自ら指導するT教場に呼ばれた。
「強い先行選手を育てたい」という信念を持つ滝沢が指導するのはとにかく持久力強化。
ダッシュ力に自信がある樹里の弱点がまさにそれだった。

 

樹里 とにかく苦しい練習ばかりで、終わったかと思うと、また次の練習メニューが用意されていて、本当にきつかったですね。
でも、そのおかげで少しは持久力も付いたと思います。

 

 

T教場の後はナショナルチームのヘッドコーチ・ブノアが指導するHPD(ハイパフォーマンスディビジョン)教場。
科学的なトレーニングで鍛えられた。

成果は表れ、まくり主体に49戦26勝の好成績を残した。
在校1位こそ山口に譲ったが、卒業記念レースでは山口(2位)を破って優勝した。高校のときから負け続けていた山口に一矢報いた瞬間だった。

 

樹里 卒業記念レースは絶対優勝しようと思った。
山口さんよりも先に仕掛けて、思い通りのレースができました。

 

 

そして、7月10日、ホームバンクの豊橋でデビュー戦を迎えた。
卒記チャンプのプライドもあり、自信を持って臨んだ。
この時期は上位クラスの選手が出場するガールズケイリンフェスティバルを開催していたため、強敵は見当たらない。

 

樹里 デビュー戦でも、緊張はしませんでした。
目標はまず決勝に乗ること。そこで優勝を狙おうと。自信はありました。

 

 

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