KEIRIN報知 夢は最大智

2020.03.03

※この記事は2020年2月28日付けのスポーツ報知に掲載されたコラム「KEIRIN報知」です。

 

 

夢は最大智

競輪と五輪二刀流 「1%でも可能性あるなら挑戦したい」

史上初となる早期卒業生を2人も輩出したほか、ゴールデンキャップ獲得者を次々と誕生させるなどレベルの高さがうかがえる117期生が、卒業間近。
その中でも、より注目を集めるのが、18年の平昌五輪フリースタイルスキー・男子モーグルの銅メダリストで、競輪界に飛び込んだ原大智(22)=宮城=だ。

思い切った転身で競輪界に飛び込んでから約10か月。
「第3回卒業認定記録会」を終えて、養成所での成果や、将来について現在の気持ちを口にした。

 

 

「ゆくゆくはケイリンも…夏と冬両方でメダル」

異例の転身

18年の平昌五輪フリースタイルスキー男子モーグルで銅メダルを獲得した原。

一念発起。

進むべき道として選んだのが競輪だった。
12年ぶり8人目(五輪メダリストは2人目)の特別選抜試験合格者として昨年5月、大注目の中、新たな世界に飛び込んだ。

 

モーグルでは世界トップクラスの実績を残した身体能力の持ち主。

しかし、入所直後の5月23日に行われた「第1回記録会」。
厳しい現実を突き付けられた。

風邪による体調不良の影響が残っていたとはいえ、タイムは散々。
悔しさを味わった。

それでも「17年の世界選手権で堀島(行真)に先にメダルを取られた時が一番悔しかった。それから比べれば。周りは僕がモーグルをやっていたのと同じくらいの時間、自転車に乗ってきた人たちだから。覚悟はしていた。タイムが出ない悔しさはあったが、自分のレベルを知り、気持ちを奮い立たせて目標を立てることができました」

 

 

濃い10か月

地道に、しかし、着実に成長してきた。

9月の「第2回記録会」。
200メートル(12秒13→11秒29)、400メートル(25秒08→23秒45)、1000メートル(1分14秒44→1分13秒20)、3000メートル(4分7秒04→4分5秒36)全てで自己ベストを更新。

自転車でのキャリアが浅いぶん「体の使い方や、自転車の乗り方、取り組み方、生活面、全てが変わった。つらかったが、濃い10か月を過ごすことができた」。
スポンジのように全てを吸収し続けてきた。

 

ずっと心の中で「卒業の基準タイムを切れるように」と唱えてきた。
そして迎えた「第3回卒業認定記録会」。

寒風が吹き荒れる中、200メートル、400メートルでは、9月の第2回よりタイムを落としたが、1000メートル(1分13秒20→1分10秒68)では3秒近くも短縮。

卒業の基準タイムをしっかりとクリアしてみせた。

 

最後の記録会に臨んだ原 将来への展望に改めて意気込みを口にした

 

 

タイム短縮

このまま順当に卒業できれば、5月にデビューを迎える。

そうなれば、先々は、モーグルと競輪の二刀流、さらには自転車競技で五輪も。
「1%でも可能性があるなら挑戦していきたい。ゆくゆくは自転車競技も? 夏と冬の五輪両方でメダルを狙える可能性があるとすれば、今のところ、スノーボードとスケートボードの平野歩夢君と、僕くらいしか可能性はないでしょうから。ただ、まずは競輪に集中して。モーグルもそうだし、挑戦できるような状況になってから考えたい。いきなりクビにはなりたくないですから(笑い)」。

簡単な道でないことは百も承知している。
しかし、だからこそ、より強く闘志を燃やして次の壁に立ち向かっていく。

(上倉 健)

 

 

◇原大智候補生の記録会での全タイム◇

200FD 400FD 1000TT 3000TT
第1回 12秒13 25秒08 1分14秒44 4分7秒04
第2回 11秒29 23秒45 1分13秒20 4分5秒36
第3回 11秒56 24秒27 1分10秒68 未実施

 

◇日本競輪選手養成所の卒業基準タイム 男子◇

200メートル 1000メートル
合格 12秒00以内 1分13秒00以内
不合格 12秒01以上 1分13秒01以上

 

◇日本競輪選手養成所の卒業基準タイム 女子◇

200メートル 500メートル
合格 13秒70以内 42秒00以内
不合格 13秒71以上 42秒01以上

 

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