デイリースポーツ「KEIRIN屋」 デビュー以来初ビッグレース!! 116期旋風起こす
2020.04.05
※この記事は、2020年3月31日付けのデイリースポーツ「KEIRIN屋」に掲載されたものです
デビュー以来初ビッグレース!! 116期旋風起こす
来月19日 西武園 第2回ガールズフレッシュクイーン
今回のKEIRIN屋は、デビュー2年未満のガールズが激突する第2回ガールズフレッシュクイーン(4月19日・西武園)に出場する山口伊吹(20)=長崎・116期・L1=、久米詩(20)=静岡・116期・L1=の2人を特集。
昨年7月のデビュー以来、初めて臨むビッグレースへの意気込みを聞いた。
(取材、構成=松本 直)
攻めて女王戴冠よ 山口伊吹
人気も実力も急上昇中の山口伊吹
合宿で精神強化
人気急上昇中の山口が次代を担うスター選手の登竜門で2代目チャンプの座を虎視眈々(たんたん)と狙っている。
昨年3月に在校成績1位で日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)を卒業。
鳴り物入りでデビューしたが、最初は先輩たちの厚い壁に阻まれた。
デビュー戦はいきなり最下位の7着。
先行すらさせてもらえなかった。
「同期だけで走っていた学校時代とはレースが全く違いました。思い通りに走れなくて悔しい思いをした。『116期全員辞めちまえ!』ってヤジを言われた。在校1位の自分がふがいないことで同期にも申し訳なかったし、すごくつらい時期でした」
とデビュー当時を振り返る。
ネガティブになっていた山口の転機はツイッターだった。
「113期の植原(琢也)さんが『植原、そんなに強くないんだ』みたいなことをつぶやいていたのを見て、スッと楽になった。自分もそんなに強くない。一つ一つやれることを頑張っていこうと思えた。そこから自然に走れるようになったんです」
力みが取れれば結果が付いてきた。
11月防府で初優勝を決めると、その後も決勝進出が続き、フレッシュクイーンの出場権をつかみ取った。
「デビューして最初の目標がフレッシュクイーンに出ることだった。出場権が取れたので、ここからは優勝を目指して頑張る」
と意気込む。
3月4日から18日の日程で、親交のある先輩レーサー・簗田一輝の元へ出向き、合宿を敢行。
脚力だけでなくメンタル面も鍛えた。
「最近は仕掛ける勇気が足りなかった。簗田さんは気持ちが強い選手。一緒に練習をして刺激をもらえたし、普段と違う環境で練習してリフレッシュできた」
合宿の成果を振り返った。
合宿直後の3月久留米ではナショナルチームに所属している太田りゆに先着。
静岡合宿の成果は抜群だ。
フレッシュクイーンでは先輩相手でも気後れすることなく攻め上げて、116期旋風を巻き起こすつもりだ。
山口伊吹(やまぐち・いぶき)
1999年8月24日生まれ、20歳。長崎県松浦市出身。県立鹿町工高卒。
161センチ、55キロ。
日本競輪学校116期生として19年7月大宮でデビュー。
通算成績は54走14勝、2着9回、3着12回。優勝は1回。
通算獲得賞金額は592万100円(27日現在)。
久米詩 自力勝負
愛らしい笑顔が魅力的な久米詩
S級父譲りのセンス生かす
選考順位7番手でギリギリ滑り込んだ久米。
父はかつてS級の競輪選手として活躍し、今は日本競輪選手養成所で教官をしている康徳さん。
目元はそっくりで一目で親子とわかる。
センスあふれるレース運びもDNAのなせる業だろう。
「フレッシュクイーン出場はデビューしたときの目標だった。出場できるのはうれしい」
と喜ぶが、現状には全く満足していない。
昨年7~12月の優勝2回(10月大宮、11月松戸)は同じくフレッシュクイーンに出場する吉岡詩織と並んで116期最多だったが
「展開に恵まれて優勝しているだけ。予選で大きな着を取ってしまい、決勝に乗れないこともある。今年は自分の力で勝ちきれるようになりたい」
と明確な目標を掲げる。
レベルアップへ向けて、今後は出稽古も検討している。
普段の練習は日本競輪選手養成所がメイン。
「フレッシュクイーンまでには間に合わないけど、石井寛子さんのいる京王閣で練習をしてみたい。自分は学生時代テニスをしていたので、自転車経験が少ない。寛子さんは自転車経験が豊富だし、勉強になることが多いと思う。時間が合えば行ってみたい」
と話す。
彼女の持ち味は機動力。フレッシュクイーンでも戦法に迷いはない。「2月に西武園を走れたのは有利。バンクの特性をつかめた。自分の力を出し切ることに集中したい」と自力勝負に徹する構えだ。セールスポイントの速いSを決めて、好位確保し、積極策でタイトル奪取を目指す。
久米 詩(くめ・うた)
1999年9月3日生まれ、20歳。京都府向日市出身。私立園田学園高卒。
160センチ、60キロ。
日本競輪学校116期生として19年7月奈良でデビュー。
通算成績は56走10勝、2着10回、3着16回。優勝は3回。
通算獲得賞金額は596万1000円(27日現在)。
114期勢が中心 柳原V筆頭、佐藤違い見せつければ
2年連続出場となる柳原、佐藤の114期勢が中心になる。
柳原は18年10月に引退したGⅠウイナー・市田佳寿浩氏の指導で着実にステップアップ。
今年は優勝こそ3月福井の1回だけだが、予選での1着は目立っている。
スピードある自力脚は優勝候補の筆頭だ。
佐藤は昨年後半に腰痛が出てしまい、勢いが止まっている。
しかし、ガールズグランプリ出場経験があるのは佐藤だけ。
底力と、戦ってきたステージの違いを見せつければ、あっさり優勝する場面もある。
初出場の116期勢は山口、吉岡が狙い。
山口はしぶとく踏める脚がある。好位確保なら逆転まで狙える。
吉岡はダッシュ力が武器。長い距離を踏む展開では苦しいが一瞬の切れ味は見逃せない。
野本は自在戦、比嘉はマーク策、久米は速いSを生かした前々戦でレースに臨む。
◆ 第2回ガールズフレッシュクイーン(4月19日 西武園)
得点 | 選手名 | 年齢 | 登録 級期 |
脚質 | 決V | 前回成績 2場所前 |
S B | 123複 逃捲差マ |
|
△◎ | 55 | 柳原真緒 | 22 | 福井 ー114 |
両 | 93 | 井11❶ 園11❻ |
0 12 | 14 6 4 71 4 16 0 0 |
▲○ | 54 | 佐藤水菜 | 21 | 神奈川 ー114 |
両 | 82 | 川11❹ 豊51❻ |
0 5 | 8 3 4 50 3 7 1 0 |
△ | 54 | 吉岡詩織 | 25 | 広島 ー116 |
両 | 80 | 宇15❻ 四12❸ |
0 18 | 12 5 3 60 8 9 0 0 |
◎▲ | 53 | 山口伊吹 | 20 | 長崎 ー116 |
両 | 80 | 久31❺ 宮23❺ |
3 6 | 5 7 7 44 2 4 3 3 |
50 | 野本怜菜 | 21 | 埼玉 ー114 |
両 | 40 | 佐13❺ 防72❹ |
0 6 | 2 3 3 27 3 1 1 0 |
|
51 | 比嘉真梨代 | 31 | 沖縄 ー114 |
両 | 90 | 川23❻ 防51❼ |
9 1 | 2 6 8 24 0 2 2 4 |
|
○ | 51 | 久米詩 | 20 | 静岡 ー116 |
両 | 61 | 名42❺ 塚34❸ |
15 12 | 3 4 9 25 3 1 2 1 |
期待してしまう〝持ってる〟山口
在校1位には相当なプレッシャーがのしかかるという。
山口のデビュー戦となった大宮で取材をしたが、右も左もわからない検車場で次から次へとマスコミの取材に応じ、レースに集中できる環境ではなかったかもしれない。
案の定、デビュー戦は全く見せ場をつくることなく7着敗退。
2走目はかろうじて3着に入線。
予選で他の選手と7位で同ポイントとなったが、抽選で決勝進出をつかみ取るなど勝負運を持っていると感じた。
勝負事には運が大事。
〝持ってる〟山口なら初の大舞台で見せ場をつくるだけでなく優勝する場面も、つい期待してしまう。
(関東競輪担当・松本 直)
◆ ガールズフレッシュクイーン
次代を担うスター選手の登竜門となるレースの開催を目的に19年に創設。
デビュー2年未満のガールズ選手から品性、技能ともに優秀な選手を選抜して実施する。
出場選手は日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)114、116期の中から選考期間(19年7~12月)の平均競走得点上位者を選抜。
また、選考期間内の出走回数が24走未満でも、国際大会に出場した選手は運営調整部会の審議により出場が可能。
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