新田祐大選手
2023.03.28

競輪界最強の“S級S班”。
約2,200名いる競輪選手(男子)の中で「GⅠ優勝」と「獲得賞金」でその座を勝ち取った者だけが君臨できる、競輪界の最上位ランクです。
2023年S級S班の9選手をインタビューで紹介します!
第8回目は、新田祐大(にった・ゆうだい)選手です。
小学生の頃から高校生と練習
幼少期は水泳を中心に色々なスポーツをやっていました。
自転車に乗ることも好きだったので、小学生の頃にはトライアスロンを始めて、自転車競技の大会にも出るようになりました。
水泳だと地区大会で表彰台に上がれる程度でしたが、自転車競技ではどの大会でも入賞することができて、だんだんと自転車競技中心になっていったんです。
いまになって思うと、“成績を求めていた”のかもしれないですね。
高校の自転車競技部でコーチをしていた元競輪選手の店で自転車を購入したのがキッカケとなって、小学生の頃から高校生と一緒に練習をさせてもらっていました。
先輩たちを追いかけて白河高校に入り、その先輩たちが競輪選手になっていくのを見ることで、競輪選手が近い存在になりましたね。
それまでは競輪に触れる機会は全くありませんでした。
高校で目標としていたインターハイ優勝(1kmタイムトライアル)をして、競輪選手になろうと決めました。
2010年GⅠ初優勝
競輪学校(現:日本競輪選手養成所)には、特別選抜試験で入学しました。
デビューして最初の目標は「1年以内にS級の点数(競走得点)を取ること」でしたが、自分の競走スタイルは曲げないようにしようと決めていました。
S級に上がってからは、「徹底的に先行して主導権を握らせないこと」をテーマに走っていました。
先行して勝てば優勝、優勝し続けるとGⅠの出場権が得られる。
自分のやるべきことをやり続けることで、思い描いた目標が達成できるという手応えも感じていましたね。
2005年にデビューして、2008年頃からはGⅠにコンスタントに出場するようになりました。
2010年には「競輪祭」で決勝2位になり、翌年のS級S班になることが決まりました。
「※SSカップみのり」(GⅠ)では、(佐藤)慎太郎さんと成田(和也)さんと連携して優勝しました。
初めて“自ら獲りに行ったレース”だったので、すごく達成感がありました。
※2008年〜2010年の3年間、KEIRINグランプリの前日に行われた一発レース。
S級S班18人のうちKEIRINグランプリに出場しない9人によって行われた。
日本⇄オーストラリア
オリンピックを目指して、ナショナルチームに在籍していました。
2012年 ロンドンオリンピックに初出場しました。
子供の頃から憧れていた舞台に上がって、想像以上の大歓声の中で走ることができて本当に良い経験でした。
でも、海外の強い選手たちとの圧倒的な体力や技術の差に「これでは戦えない」と感じたんです。
「世界一を目指すためには、どうすべきか?」
海外の自転車競技のトップ選手が短期登録で競輪を走ると「無敵状態になる」ところを見ていたので、「世界一を目指すことが、必然的に競輪でもトップ選手になれること」でもあると思っていました。
そんな思いを色々な人に相談して、オーストラリア・アデレードへ行くことを決めました。
ロンドンオリンピックが終わって、2012年12月から2016年までの間、日本とオーストラリアを行き来する生活をしていました。
競輪開催の合間が中4日以上空けば行くようにしていたので、年間に24回は行っていました。
飛行機はエコノミークラスでしたが、乗り過ぎてファーストクラスにまでアップグレードしてくれるようになりました笑
全て自費でしたが、強くなるための“前投資”でした。
行く前からワクワクして、現地での時間はあっという間に過ぎて、興奮が収まらずアドレナリン出っ放し!!
そんな約4年間を過ごしました。
競輪での成績も良くなったのは一目瞭然で、2014年には共同通信社杯でGⅡ初優勝。
2015年の日本選手権競輪で、(4日制以上の)GⅠで初優勝することができました。
競技引退とこれから
2016年からはブノワ(・ベトゥ)さんがナショナルチームのヘッドコーチになったので、拠点を伊豆に移しました。
チーム体制がガラリと変わり、肉体的にも精神的にも大変でしたが、すごく密度の濃い時間を過ごしましたね。
2021年には東京オリンピックにも出場。
負けてしまいましたが、オリンピックに出場することの影響力を改めて実感しました。
自転車競技をやっていた時は「常にオリンピックの選考をされている」ような状況だったので、「落車やケガが致命的になる」という思いもありました。
いまは競輪一本。
まずは「勝つためにどういう戦い方をすべきか」、しっかり考えたいです。
力でねじ伏せられる能力は持続させていきたいですし、それ以外でもしっかり戦える状態を毎日作り続ける。
そして結果に繋げられるように、一戦一戦頑張っていきたいです。
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