デイリースポーツ「KEIRIN屋」 YGP覇者 20年さらなる飛躍へ「GⅠ突破したい」

2020.02.10

※この記事は、2020年2月7日付けのデイリースポーツ「KEIRIN屋」に掲載されたものです

 

 

YGP覇者20年さらなる飛躍へ 「GⅠ突破したい」

デイリー軍団 松本 19年S級1班昇格で才能開花

注目の〝飛び級ルーキー〟がいよいよデビューする。

今回のKEIRIN屋は昨年末のGⅡ・ヤンググランプリ(立川)で優勝した松本貴治(26)=愛媛・111期・S1=を特集。

デビューから逸材と目されていたが、2019年にS級1班へ昇格して才能が開花。
今年はGⅡ覇者としてワンランク上のステージに臨む。

GⅠ・全日本選抜(8~11日・豊橋)など今年の意気込みを存分に語った。

(取材、構成=森田新吾)

 


デイリーロゴを胸に2020年も飛躍する松本貴治

 

 

今年最初のGⅠ・全日本選抜競輪

111期生は逸材の宝庫。
17年7月にデビューして2年2ヵ月だが、61人中22人がS級に昇格している。
その中でも、今期S級1班は4人。
山崎賢人(長崎)、南潤(和歌山)に先を越された感があった松本が、ヤンググランプリを優勝したことで、実績面で一枚上になった。

 

デビュー当時、最下級のチャレンジステージ(A級3班)ではベテラン相手に勝てるものの、同期相手で苦戦を強いられた。
だが、4ヵ月後に特別昇班。
実戦で力を付けた松本は、A級1、2班戦でいきなり優勝。
2場所目に決勝で落車したが、3~5場所目はいずれも完全優勝。
15走で14勝と驚異的な数字をたたき出し、デビューから6ヵ月でS級2班へと特別昇班を果たした。

 

S級デビューは18年1月の松山FⅠ。
予選でいきなりS級初1着を飾った。
続く高松記念では22④2着と準決に進出。
3月のルーキーチャンピオンレース(玉野)は南潤に屈して2着も、4月の川崎記念で決勝に進出するなど、S級でも上位で通用するパワーを持つことを証明した。

 

8月のオールスター(平)でGⅠ、9月に共同通信社杯(高知)でGⅡに初出場。
11月からデイリーロゴを胸につけ、年末にはヤンググランプリに出場したが8着。
上位相手でも果敢に風を切るものの、テクニシャンにさばかれるシーンも目についた。

 

松本は師匠の浜田浩司だけでなく、いろんな人から教えを請い、吸収していくのがとても早い。
本人は「トップスピードに達するのが遅いんです」と言うが、持続力はすごい。

後ろに付く選手からは「グングンと加速していくんです」との声をよく聞く。
本人も「ダッシュ力を強化するのが課題ですが、粘りはあると思いますよ。ここまでは大きなケガもなく、順調に来られましたからね」。

現在の競輪界は中四国勢が元気。「松浦悠士さん、清水裕友君の活躍は刺激になっています」。
その2人が獲れなかったヤンググランプリを松本は優勝した。

「今年はGⅢを獲りたいというのもありますが、やっぱりGⅠで2次予選を突破したいですね」。
準決進出だけでなく、その先の「優勝」も見据えて駆ける松本。
2020年はさらなる大仕事をやってのけそうだ。

 


ヤンググランプリを制して胴上げされる松本貴治

 

松本貴治(まつもと・たかはる)
1993年12月22日生まれ、26歳。松山市出身。朝日大卒。
172cm、81kg。
2016年に日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)に111期生として入学。在校時は19勝で9位。17年に卒業。同7月に松山でデビュー。同じ11月にA級2班へ特別昇班、18年1月にS級2班へ特別昇級。19年1月にS級1班に昇格。同12月のGⅡ・ヤンググランプリ(立川)で優勝した。
通算獲得賞金は5800万9200円(6日現在)。

 

記者のポケットメモ

20年は「笑う男」の笑顔をたくさん見たい

記者はGⅡ・ヤンググランプリ2019で本紙予想を担当した。
本命には松本か松井宏佑(神奈川)か…最後まで迷ったが、GⅢ優勝経験を持つ松井を指名。
結果は松本が優勝をさらった。
レース後に「本命に推さずごめんなさい」と謝罪したが、松本はデイリーロゴを指さし「やっと貢献できました」と満面の笑み。
これで胸のつかえが一気に晴れた。

ヤンググランプリの表彰式で松本に笑顔がなかった。
その影響で、ラグビー日本代表の稲垣啓太みたいに「笑わない男」と呼ばれてしまった。
ただ、先にも記したように、松本は笑わない男でなく「笑う男」。
喜怒哀楽をちゃんと顔に出せる。
表彰式が寒すぎて笑えなかっただけと思う。
2020年はGⅠ、GⅡでも好走しそうな松本。
笑顔をたくさん見せるはずだ。

(競輪担当・森田新吾)

 

S級S班中心に激戦必至

20年ビッグレース展望
全日本選抜(豊橋)を皮切りにGⅠシリーズは6開催。
優勝すればKEIRINグランプリ2020(平塚)の出場権を獲得できる。
全日本選抜では脇本、新田の東京五輪出場を目指すナショナルチーム組は不在だが、S級S班の7人を中心に、今回特集している松本もGⅠ初制覇を狙い激戦を繰り広げる。

5月はトップレーサー162人が静岡に集結して日本選手権が開催。
6月には和歌山では初のGⅠとなる高松宮記念杯が行われる。
その後はオールスター(名古屋)、寬仁親王牌(前橋)、競輪祭(小倉)と昨年と同じ開催場でグランプリ出場を懸けた激戦が続く。

ナショナルチームに所属する選手は出場機会が限られるが、東京五輪のトラック個人種目でメダルを獲得した選手は特例でグランプリに出場することができる。

 

◆ 2020年の競輪ビッグレース日程

開催日 開催場 レース名 前年の優勝者
2月8~11日 豊橋 GⅠ・全日本選抜競輪 中川誠一郎
3月26~29日 福井 GⅡ・ウィナーズカップ 脇本雄太
5月5~10日 静岡 GⅠ・日本選手権 脇本雄太
6月18~21日 和歌山 GⅠ・高松宮記念杯競輪 中川誠一郎
7月10~12日 いわき平 GⅡ・サマーナイトフェスティバル 村上博幸
8月12~16日 名古屋 GⅠ・オールスター競輪 新田祐大
9月18~21日 伊東 GⅡ・共同通信社杯 郡司浩平
10月15~18日 前橋 GⅠ・寬仁親王牌 村上博幸
11月18~23日 小倉 GⅠ・競輪祭 松浦悠士
12月30日 平塚 KEIRINグランプリ2020 佐藤慎太郎

 

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