女子ケイリン / 太田りゆ選手
2019.12.12
2020年東京オリンピックまで、あと8ヶ月。
ラストシーズンを迎えた自転車競技の日本代表選手たちは今、東京オリンピックを目指して、世界を舞台に日々戦っている。
「自転車競技で東京オリンピックを目指すなんて、1ミリも想像できなかった」
そう話すのは、自転車競技歴3年半の新星・太田りゆ選手。
昨シーズンは、ワールドカップ女子ケイリン種目で日本女子選手初の銀メダルをもたらした実力者である。
“日本代表候補選手”としてプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、まっすぐ気丈に振る舞う太田選手が今抱く、リアルな想いを聞かせてもらった。
日本代表になるまで、激動の3年間
「お金を稼ぐために」競輪選手になることを決意。
自転車に乗り始めた2016年2月から3年半、驚異のスピードで日本を代表する自転車競技選手の1人となった。
―――自転車競技と競輪の違いもわからなかった
まったくの自転車競技未経験でしたが、家庭の事情でお金を稼ぐためにガールズケイリンの選手になると決意して、2016年に競輪学校(現:日本競輪選手養成所)に入りました。
学校で好成績を残した選手はHPD(ハイパフォーマンスディビジョン)のセレクションを受けることになっていて、そこでブノアが私を選んでくれたのが、すべての始まりです。
当時はまだ、“自転車競技”と“競輪”の違いもまったくわかってなかったですから。
「自転車に乗ることを、強くするんだろうな!」っていう理解で、(伊豆)ベロドロームに行っていました(笑)
―――気持ちが入った瞬間
競輪学校在学中に、アジア選手権の日本代表選手に選ばれてインドに行きました。
そこで、チームスプリントの日本記録を出したんです。
今思えばすごい記録ではないんだけど、当時の私にとってはすごく刺激的な体験でした。
初めての海外だし、海外選手の桁違いな速さも衝撃的だったし…
今まで見たことのない景色にワクワクが止まらなくて!
「ブノアについて行ったら、私もこんな風になれるのかな?!」って、本当にただ好奇心で突き進んだ感じです。
―――改めて、どんな3年半でしたか?
環境が早く変わりすぎて…
一時期は追いつけない自分がいましたが、今は状況も理解しているし、日本代表としての責任も感じています。
「自転車競技経験が浅い」ことは変えられませんが、他の選手達と同じ土俵でやっている以上は言い訳にできないので、自信を持って頑張っていきたいです。
「ケイリン」に出るために走る「スプリント」
オリンピックの自転車トラック競技・短距離種目である「ケイリン」と「スプリント」
東京オリンピック出場に向けて女子日本代表の現状、そして自身の一番注力している種目とは?
―――女子短距離種目「ケイリン」と「スプリント」の出場枠
「ケイリン」「スプリント」ともに、国別ランキングの上位7カ国に、出場枠が「1枠」与えられます。
もし「ケイリン」で7位以内だったら、「スプリント」にも出場できるんです。逆も同様です。
でも、どちらも同じ選手しか出られません。
今、私たち日本は、「ケイリン」が5位で安全圏にはいます。
でも、優香ちゃん(小林優香選手)と私、2人で出場するためには、「スプリント」でもポイントを稼いで7位以内に入らなくてはなりません。
※女子スプリントは現在15位
―――太田選手が注力している種目は?
もちろん「ケイリン」です。
でも、優香ちゃんと2人で「ケイリン」に出るためには「スプリント」でのポイントが必要なんです。
なのでオリンピックポイントを獲得できる国際大会では、ケイリンのために、スプリントを走っています。
―――「スプリント」に対して想うこと
「スプリントでポイントを取らなくちゃ、オリンピックに出られない」っていう、今ものすごい“圧”を感じながらレースをしなくちゃならなくて、すごくプレッシャーを感じてしまっています。
今シーズンはワールドカップ第1戦・第2戦の結果がよくなさすぎて(※取材日は11月21日)、気分的にも落ち込んで…なんとか立て直したところです。
ケイリンでは個人の世界ランキングで2人とも10位以内なのに、「なんで1人しか出られないの?」って思うことも正直ありますけど、決まりだから仕方がなくて。
とにかく頑張らなきゃっていう気持ちで、走っています。
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