「ケイリン」は日本が生んだ世界のスポーツ
2018.09.11
オリンピック正式種目でもある「ケイリン」は、公営競技「競輪」から生まれた日本発祥のスポーツです。
では、どのようにして普及して、オリンピック種目にまでなったのでしょうか。
——中野浩一選手の活躍により「ケイリン」が世界選手権の種目へ
自転車競技「ケイリン」誕生の背景には、競輪界のレジェンド・中野浩一(なかの・こういち)選手の活躍があります。
1975年に競輪選手としてデビューした中野選手は、1977年世界選手権自転車競技大会のスプリントという種目で日本人史上初の金メダルを獲得します。
この功績を受けて、同年に日本自転車競技連盟が、国際自転車競技連合に世界選手権での「競輪」の開催を打診し、1980年から採用されることになりました。
公営競技「競輪」とはルールが大幅変更したため「ケイリン」と表記を変えていますが、日本語の「競輪」が語源の世界共通名称となったのです。
——オリンピック正式種目として採用
2000年のシドニーオリンピックより「ケイリン」がオリンピック正式種目として採用されたのです。
日本発祥のスポーツとしては、1964年の東京オリンピックで初採用された柔道以来36年ぶりの出来事でした。
正式種目となって2大会後の2008年の北京オリンピックで、現在も競輪選手として活躍している永井清史(ながい・きよふみ)選手が日本人初となる銅メダルを獲得しました。
——第1回アテネオリンピックから実施
「ケイリン」の採用は2000年のシドニーオリンピックからですが、自転車競技は1896年にアテネで行われた第1回オリンピック競技大会から実施されています。
現在もオリンピックで実施されている競技の中で、第1回大会から途切れることなく行われているのは、自転車・陸上・競泳・体操・フェンシングの5種目だけです。
——自転車トラック競技
公営競技「競輪」のように、競技場のトラックを周回する自転車競技を“トラック競技”と言います。その中でオリンピック種目に採用されているのは「ケイリン」、スプリント、チームスプリント、チームパシュート、オムニアムの5種目です。
この中の「ケイリン」、スプリント、チームスプリントの短距離3種目に、現在も「競輪」選手が“トラック競技日本代表”として選出されています。
「競輪」と「ケイリン」の違い
——「ケイリン」は個人戦
公営競技「競輪」は、選手同士がラインと呼ばれる“チーム”を組みます。
一方、自転車トラック競技「ケイリン」は完全な個人戦。各選手がお互いにけん制し合いポジション取りをし、最後は迫力のスプリント勝負。ゴールを目指します。
この個人で戦うルールはガールズケイリンでも採用されています。
——競技場(バンク)の作りも異なる
「競輪」と「ケイリン」は、競技場(バンク)も異なります。
「競輪」のバンクはコンクリート、「ケイリン」のバンクは板張りで出来ています。
またバンク1周の長さも「競輪」は333m〜500mとバリエーションがあるのに対し、「ケイリン」は250mと短いです。
バンクのカーブには、スピードを落とさずに曲がれるように“カント”と呼ばれる傾斜がついているのですが、「競輪」の傾斜は約30度なのに対し、「ケイリン」は約45度に設定されています。
TOKYO2020
2020年、56年ぶりに東京でオリンピックが開催されます。
「ケイリン」を含む自転車トラック競技は、静岡県伊豆市にある伊豆ベロドロームが会場となります。
東京オリンピックでのメダル獲得のために、2016年10月 日本自転車競技連盟は “メダル請負人”ブノア・ベトゥ氏を招請しました。
ブノア・ベトゥ ヘッドコーチ就任から約1年後の2017年12月、脇本雄太(わきもと・ゆうた)選手がワールドカップ「男子ケイリン」で金メダル、2018年3月には、河端朋之(かわばた・ともゆき)選手が世界選手権「男子ケイリン」で銀メダルを獲得しました。
2020年の東京オリンピックでのメダル獲得への期待は高まるばかり。
日本発祥のスポーツ「ケイリン」に今後も大いに注目していきましょう!
次回も競輪トリビアをお楽しみに!
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